Ua lanipili i ka nani o Papako*lea He nani uluwehi ke kui puamelia
Papako*leaの美しい風景とともにある、あるいはその風景に溶け込むようなlanipiliの雨((ua lanipili i ka nani o Papako*lea)。雨のほかにも、Papako*leaにちなんだ地名がいくつか登場するものの、繰り返される「lanipili」の印象がとにかく強烈で、Papako*leaといえばlanipiliといいたくなるなにかがあるに違いない……なんてことを想像しながら訳してみました。 「lanipili」の文字通りの意味は「空に近い」なので、雲が低く垂れ込めて、手を伸ばせば届きそうにも思える低い空が想像されるのですが、「ua lanipili」そのものは、「あれっ?いつの間にかぬれてるけど……」みたいな仕方で気付かれる、繊細でひそやかな雨のようです。ということは、空の雲のほうから地上に近づいてきてくれたような雨ともいえるかもしれませんが、そんな空模様こそがPapako*lea……と歌われることからすると、ほかにはない独特の空気の流れや気象条件が、そこにはあるのではないかと思われます。 Papako*leaの町は、'Oahu島の南側、Honoluluの山側に位置するPauoa地域にあります。地図でみると、海側の平地にあるダウンタウンを山側にたどったところにあるのがパンチボールクレーター、そこをさらに山側に向かったところにあるのがPauoaで、Pauoaの東側を囲っているTantalusの丘の南の端にあるのがPapako*lea……といった位置関係にあるようです。雨がよく降ることも、もしかすると、そんな地勢的な条件からくるのかもしれません。
Hu* 'ana ka mana'o, ha'i manawa Ha'ina 'ia mai o ku'u mele o Papako*lea
Papako*leaは、ハワイにいくつかあるハワイのネイティブのひとびとのための居住地「Hawai'ian Homestead Land」と呼ばれる地域のひとつです*。ということは、ハワイの昔ながらのよさみたいなものがいまも残されている場所なんだろうか……と思ったりしますが、ともかくその外観を写真でみてみると……それほど高くはないにせよ丘陵地帯ですから、住居をはじめ町の建物は、みな丘の斜面にはりつくように建てられているようです。おそらく、一階だと思って入ったら二階だったみたいな、そんな家が多いのではないかと想像されますが、そのやや無理矢理感のある風景をみるにつけ、個人的には、どういう経緯でこの場所がハワイのネイティブのひとびとの居住地として選ばれたのかが、ちょっと気になっています。そして、実際のところ、現実のPapako*leaってどんなところなんだろうかと……。 そんなことを思いながらあれこれ調べてみてたどり着いたのが、「The Honolulu Advertiser」**のこんな記事でした(2003年5月17日)。そこには、「Papako*leaのひとびとはそのプライドを取り戻した」というタイトルとともに、「10年前は、Papako*leaといえば避けられるべき場所だった」と記されています。どういうことかというと、ひと昔前は、Papako*leaといえば治安が悪く、行き場のない若者たちがたむろしていて、壊れた車なんかがたくさん打ち捨てられていて……みたいなダークなイメージがあって、そこに住むひとびとにとっても、ホスピタリティにあふれた町とはとてもいいがたい、そんな場所だったようです。そして、この記事では、そんな町というかそこに住むひとびとが誇りを取り戻すべく続けられてきた、コミュニティセンターを中心とする地道な活動が実を結びつつある……といった話題が取り上げられていました。 過去にさかのぼれば、欧米資本の流入による資本主義化が進むなか、近代化する社会システムにうまく適応できなかったハワイのネイティブのひとびとの問題があり、その負の遺産が今日もなお尾を引いているという現実があるようです***。Papako*leaのようなハワイのネイティブのひとびとのコミュニティがあるのも、彼らのための居住地を行政のお膳立てで作らざるを得なかった、そんな社会状況があってのことではないかと想像されますが、このあたりは、旅行者として訪れただけのハワイの知識では、決して語れない部分ではあります。そう、それこそPapako*leaに降り続くlanipiliに打たれながら、雨に身を任せるしかない'Anianiku*のpuameliaの気持ちにならなければ……。 いつまでも降り続く雨にぬれる町の風景が、なぜかからっと晴れわたる軽やかなリズムとメロディにのせて歌われるって、いったいどういうことなのか……あれこれ考えてみるまでもなく、この歌のそんなあっけらかんとしたところこそが、なにより不思議ではないかという気がしてきました。と同時に、それでもPapako*leaはいいところなのよと言い切れる、そんななにかを確信しているひとにしか作れない歌ではないかとも……そうして、いくら行間を埋めようとしても語りきれないなにかがどうしても残ってしまう、『Ua Lanipili I Ka Nani O Papako*lea』なのでした。
りりーさん、Ua Lanipili I Ka Nani O Papakoleaを
さっそく取り上げていただいてありがとうございました。
ネイティブハワイアンの方々の思いなど、数年フラをやっているだけ・・・、旅行者としてハワイに行く人間には、
決してわからない事がここにはあるのですね。
でも、この場所がそういう場所であるんだという認識を持って踊るのと、そうでないとは、やはり違うのか・・・と思います。
明るいメロディだけ追っているだけでなく、やはり歌詞を掘り下げること、大事ですね~。
自分の中に取り込めるまで、じっくり考えながら踊ってみたいと思います(^^)
ありがとうございました!
コメント
Yuko
さっそく取り上げていただいてありがとうございました。
ネイティブハワイアンの方々の思いなど、数年フラをやっているだけ・・・、旅行者としてハワイに行く人間には、
決してわからない事がここにはあるのですね。
でも、この場所がそういう場所であるんだという認識を持って踊るのと、そうでないとは、やはり違うのか・・・と思います。
明るいメロディだけ追っているだけでなく、やはり歌詞を掘り下げること、大事ですね~。
自分の中に取り込めるまで、じっくり考えながら踊ってみたいと思います(^^)
ありがとうございました!
2014/04/21 URL 編集
りりー
気になっている曲だったのですが、ネイティブのひとたちのコミュニティということで、容易には書けないなぁとしり込みしていました。
思い切ってまとめてみて、わからないことがわかることも大切なのかもしれない……なんてことを考えはじめています。
またよかったら、お気に入りのmeleを教えてくださいね。
2014/04/21 URL 編集