Pa*pa*lina Lahilahi

Pa*pa*lina Lahilahi






Genoa Keawe





Makaha Sons of Ni'ihau



 僕はきみの恋人なんだよ
 (He aloha wau ia* 'oe)
 きみの繊細なpa*pa*lina(が大好きさ)
 いつもしっとりぬれてるんだよね
 そう、波のしぶきでさ……

 いきなり恋人宣言(?)みたいなせりふではじまる『Pa*pa*lina Lahilahi』。「pa*pa*lina」(頬)ということばが、「壊れやすくて繊細」(lahilahi)であるとされるのはともかく、いつも波に「ぬれている」なんて、なんだか水遊びでもしているみ子どもみたいですが、ともかくその形態からイメージをふくらませてみると……頬のようにふたつ対になっていて、丸みをおびた体の部位といえば、そう「お尻」。しかも、繊細でいつもぬれていて……ということであれば、おそらく外側の見えやすいところではなく、大切にしまわれている部分かも……。こんなふうに、核心部分をオブラートに包みながらも、特別な関係にある二人のやりとりが、目に浮かぶような仕方で生き生きと描かれていくのですが、これに続く部分では、熱い視線をいきなり向けられて戸惑い気味(?)な彼女の様子がうかがえる、こんなせりふが続きます。

 あなた、なにやってるのよ?
 (He aha no* ho'i ka*u)
 そんなに急いで向かってきて……
 (’O ke alawiki ’ana mai?)
 もうわかってるでしょ
 あなたは(私に)摘まれた花なんだから。

 この歌は、Alice Johnson*という女性が、恋人に向かって思わず次のように言ってしまったという、二人の間に起こったちょっとしたエピソードがベースにあるようです。「なにを焦ってるわけ? 愛を確かめあってからは、時間があるときに関係するものなのよ」みたいな……。それにしても、「he pua 'oe ua ‘ako 'ia」(あなたは私に摘まれた花)なんておしゃれな表現が、いかにもハワイ語らしくていいですね。そう、あなたが言うように、私はあなたの恋人よ。だけど……。

 すべては(あなたに)与えられているの
 そう、あたまから隠された部分(ka hi'u)まで、全部……。
 (でも)だからって、なんなの……?
 そんなに急いで迫ってくることないのに……
 (’O ka pu*lalelale ’ana mai?)
 
 この前のバースでは「ke alawiki ’ana mai」**と、彼がなにかを急いでいることが漠然と歌われていましたが、ここでは「ka pu*lalelale ’ana mai」***と、彼が彼女を求めていることをより感じさせることばが使われています。こんなふうに、バースを重ねるごとにより状況が明確になっていって、最後に歌のテーマ(ka puana)として、冒頭でも歌われた「He aloha wau ia* 'oe」が繰り返される……「ねぇ、僕は君の恋人なんだよ、なんでそんないじわるするのさ?」みたいな感じでしょうか。すべてを許しあった二人だからこその、この絶妙なやりとり……もしかすると、特別な関係になったばかりだったのかもしれませんね。いいなぁ、若いって……それはともかく、恋人たちの二人っきりの世界にただよう甘い空気があふれんばかりに感じられる、そんな『Pa*pa*lina Lahilahi』なのでした。

参考文献
Kanaheke: Hawaiin Music And Musicians-An Ilustrated History. The University Press Of Hawaii, 1979

*:1898年からロイヤルハワイアンバンドにボーカリストとして加わるなど、この時代に活躍したひとのようです。
**:「alawiki」の文字通りの意味は「ala」(道)を「wiki」(急ぐ)。
***:「pu*lalelale」には、単に急いでいるのではなく、対象に触れたり自分のものにしようとしているようなニュアンスがあります。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。