He Punahele No* ‘Oe

He Punahele No* ‘Oe




 タイトルにある「punahele」は、「favorite」(お気に入り)や「pet」と訳されることもありますが、特別にかわいがられ大切にされている子どもという意味で用いられることが多いことばです。「あなたは両親にとって、愛でもって大切に育てられているpunahele。かわいい花のような、美しい女の子。さあ、私の胸においで、大切なレイのようなあなた」。う~ん、目に入れても痛くない、みたいな感じでしょうか。「あなたは私が誇りに思う大切な子ども。生まれたときから美しい赤ちゃんだった。かわいい花のようにあまく、そして愛らしい」。ここまで猫かわいがりするか!?という気がしないでもないですが(笑)、ともかく、子どもを大人未満の存在として厳しくしつけるような西欧的な子ども観からは、決して生まれない歌だと思います。
 ハワイ語の辞書には、punaheleについて「たとえば祖父母の肩に乗っかって、彼らのために歌が作られたりするような存在」と説明されていたりします。「punahele」の「puna」は「kupuna」(祖父母の世代)を意味しますし、文字通り、おじいちゃん、おばあちゃんが、どこへ行く(hele)にも孫を抱っこして歌いながらあやしている、そんな感じなのかもしれません。『He Punahele No* ‘Oe』の、三拍子でゆったり歌われる感じが、どことなく子守唄みたいな雰囲気を持っていることも、なるほどなぁと思われます。
 以前、ハワイのkumu(フラの先生)のお家で合宿させていただいたとき、kumuの小さなお孫さんが、いつもkumu(つまり、おじいちゃん)にまとわりつくように抱っこされていたことを思い出しました。いま思えば、あの感じがまさにpunaheleなんだろうなぁと思いますが、いまだに不思議なのは、なぜか子どもたちの近くに、彼らの両親の姿がまったくなかったこと。どうもハワイの伝統的な家族システムのなかに、代々受け継がれ大切にされてきた家族の伝統的な価値を次世代に伝えるという目的から、祖先により近いところにいる祖父母に子どもの養育および教育が託される習慣があるようなんですね。もしかすると、なによりも価値のあるものとして子どもたちが大切にされるのは、単にその子どものことだけではなくて、先祖代々、連綿と続いてきた一族(家族、ohana)のつながりが意識されてのことなのかもしれません。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。