Hawai‘i Pono‘i*

Hawai‘i Pono‘i*




2011 Merrie Monarch
Ka Leo Wai, Waiakea High School


 ハワイがハワイであること。
 (そのルーツを)あなたの王に求めるのです。
 天にも届かんばかりの高貴なその存在に……。

 Hawai'i pono'i*
 Na*na* i kou mo*'i*
 Ka lani ali'i
 Ke ali'i

 おごそかな雰囲気でたたみかけるように歌われる感じとも相まって、間違いなくなにかとても大切なことを伝えようとしているように思われる『Hawai'i Pono'i*』。いきなり「Hawai'i pono'i*(ハワイがハワイであること)」ではじまるあたり、かなり直球でメッセージを投げかけている印象もあります。それにしても、このフレーズで「あなたの王」と歌われているのは誰なのか……そのあたりについても、繰り返し歌われる歌詞の中ではっきり表明されています。

 天にあって(われわれを)お守りくださる、Kamehameha王よ。
 (ハワイは)戦いによって守られた。
 そう、槍でもって……。

 Makua lani e*
 Kamehameha e*
 Na kaua e pale
 Me ka ihe

 戦いによって守られ、輪郭を持つに至ったひとつの「Hawai'i」。ここに語られていることがらは、Kamehameha一世によって、ハワイの島々がひとつの王国として統一された事実であると思われます。島ごと、地域ごとに、それぞれリーダー的存在によって治められていたハワイの島々が、王国としての歴史を歩み始めた19世紀初頭。そんな、いわば「新しいハワイ」の始まりところに、ハワイのアイデンティティを求めようとしているわけですね。
 もっとも、過去を振り返ること自体が目的ではなく、あくまでも重要なのは「Hawai'i Pono'i*」。それを守るために必要なことが、このあと具体的に語られています。
 
 ハワイがハワイであること。
 リーダーたちにそれを求めよう。
 そう、(ハワイには未来を託すべき)同胞たちがいる。
 (たのもしくも)若い世代のひとびとが。

 Hawai'i pono'i*
 Na*na* i na* ali'i
 Na* pua muli kou
 Na* po*ki'i

 過去を振り返りつつ未来を思い描くこと-そんな、過去と未来のはざまにあることを引き受けるところで担われるのが責任であり、そこに生まれるのが人間の歴史であることを、静かに、でも力強く語っているように感じられます。そう、ハワイのこれからを担う若い世代に向けて……。

  ハワイがハワイであること。
  (このハワイを大切に思う)同胞たちよ。
  (それこそが、あなたがたの)重要な使命なのです。
  (さぁ、ハワイがなんたるかを)問い、(それをKamehamehaの伝統に)求めよう!

 Hawai'i pono'i*
 E ka la*hui e*
 'O ka*u hana nui
 E ui e*

 Hawai'i pono'i*とはなにか?……そのはじまりを印したKamehameha王を讃えてはいますが、それだけではないんですね。そう、この歌に込められた最も重要なメッセージは、「Hawai'i pono'i*」を問い続けることなのです。
 この歌はもともと、Kala*kaua王が王位を継承した1872年に作られ、彼自らがそれに歌詞を付けたとされているようです。その後、20年あまりの間はハワイ王国の歌として歌われ、王国が消滅したあとも、今日に至るまで合衆国国歌とともに演奏されてきました。このことは、ハワイ王国が消滅してもなお続いてきた、もうひとつの「Hawai'i」の歴史を感じさせる事実ではあります。「Hawai'i pono'i*」への問いかけとともに、これからも守られていくであろう「Hawai'i」―『Hawai'i pono'i*』は、ハワイが「Hawai'i pono'i*(ハワイそのもの)」であることを願いつつ歌われる、祈りと決意の込められた歌なのかもしれません。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。