Hanohano Helumoa

Hanohano Helumoa





The Kaikamahine of Keolalaulani Halau Olapa O Laka perform their 'Auana "Hanohano Helumoa" at the 35th Annual Queen Lili'uokalani Keiki Hula Competition 7.10.2010



 誇り高きHelumoa。
 そこは穏やかな風が訪れる場所。
 そして、その風にいつもゆらゆらとなびいているのは、思わず見上げてしまう立派なヤシとその木陰。
 それはまるで、Kuihelaniのためにそこにあるka*hiliのように美しく、みる人をひきつけてやまない……。
 そんな、誇り高きHelumoaなのです。

 Hanohano Helumoa i ka lawe ma*lie
 A ke ahe lau makani e holunape mau nei
 'O ka ulu niu malu ku* kilakila
 Kohukohu pae ka*lihi no Kuihelani
 Hanohano Helumoa

 ヤシの木が生い茂り、いつも気持ちのいい風が吹き抜ける……そんな美しい海辺の風景が自ずと目に浮かぶ『Hanohano Helumoa』。「Helumoa」は、ピンクパレスとして有名な、ワイキキにあるロイヤルハワイアンホテルのあるあたりを指す地名で、文字通りの意味は「helu」(scratch)、「moa」(chicken)、つまり、せわしなくエサをついばむニワトリ。なんでも、昔々、その地にニワトリ*が舞い降りてきて、当時Helumoaにあったheiau**に捧げられた死体をつついてウジ虫をついばんだという伝説に由来するようです。そして、このニワトリの訪れから神のお告げ的なメッセージを受け取ったKakuhihewa(オアフ島の有名な王)が、その土地にヤシの木を植えたことから、この歌にも登場する立派なヤシの群生で知られる場所になったようです。
 後にカメハメハ一世がHelumoaの土地に家を建てるのですが、その家の呼称が「Kuihelani」だったようです。そこにあるココナツの森が、王族のシンボルである「ka*hili」***にたとえられるのは、そういう背景があるからなんですね。そんな土地の歴史を思うとき、Helumoaにまつわる記憶は、いやおうなく「hanohano」(高貴な、誇り高い)ものとして思い起こされるはず……そんな感じでしょうか。

 Kaweheweheからやってくる潮の香り。
 Li*poaは波のしぶきを受けて、夢のようにゆれている。
 そして、偉大なPauahi ali'iがこころから愛し、大切にしたのがその場所だった。
 先祖たちが生まれ育ち、骨をうずめたその場所、そして、いまもそこにやどるであろう彼らの魂のために(なることを彼女は願っていた)……。
 そんな、誇らしさに満ちたHelumoa。

 Ka moani 'a'ala o Kawehewehe
 Li*poa i milia i ka 'ehu o ke kai
 I laila ka 'i'ini o Pauahi ali'i
 No ke ola mauli hiwa l ke kuka*iwi
 Hanohano Helumoa

 Helumoaの土地は、代々王族たちに受け継がれていきますが、カメハメハ5世の死後、Ruth Ke'eikolani王女が引継ぎ、その後、彼女の従妹であるBernice Pauahi Bishopに遺贈されました(1983年)****。Pauahi王女はその翌年に亡くなりますが、ハワイの子どもたちの教育をつねに案じ、学校設立を夢見ていた彼女の意志は、夫のCharles Reed Bishopによって受け継がれる……*****2番には、そのあたりのことが歌われているようです。
 Li*poaの海草がゆれると歌われる「Kawehewehe」という地名は、現在、ワイキキのハレクラニホテルがあるちょうど東側にあるGrey’s beachあたりを指します。そこはその昔、病に苦しむひとびとが水浴をしてからだを癒すような、特別な場所だったようです。王族たちに愛された事情は、そのあたりにもあったのかもしれませんね。
 
 私の大切な歌は、やしの葉のささやきそのものなのです。
 そう、Waiki*ki*の緑豊かな大地にささげるための……。
 さぁ、なんども、なんどでも繰り返そう。
 誇り高きHelumoa、私が知りうる限りのHelumoaのことを……。

 Ka nehenehe lau niu ku'u mele ia
 No ka 'a*ina uluwehiwehi o Waiki*ki*
 Ha'ina ka puana e lohe mau 'ia
 Hanohano Helumoa i ka'u 'ike

 風になびくヤシの群生、夢のように波にゆれるli*poa……まるで、いま、その光景を目にしているかのように生き生きと描かれるHelumoaの風景ですが、残念ながら、現在はすべてホテルや商業施設に姿を変えています。それでも、いやだからこそ、私が知りうる限りの、あるいはこころの目で見ることができる(i ka'u 'ike)Helumoaのすべてを語ろう……そんな思いで作られた『Hanohano Helumoa』ではないかと思います。そう、Helumoaにきざまれた土地の記憶を、「ka nehenehe lau niu(ヤシの葉のささやき)」からさえ聞き届けようとする「ku'u mele(私の大切な歌)」は、波の気配や風の薫りからさえなにかを感じ取らずにはいられない、繊細で土地へのalohaに満ちたことばの宝石なのです。

composed by Manu Boyd

*:「Ka'auhelumoa」という神的な力を持つニワトリ。その名が示す通り、ホノルル北部のPa*lolo渓谷の頂上近くにあるKa'au Craterに住んでいたとされます。
**:古代のハワイのひとびとが神事などを行ったり生け贄を捧げるなどした場所。
***:「ka*hili」は、古代のハワイで王族の印として用いられたもの。長い柄の上部に赤や黄のロイヤルカラーの鳥のはねが贅沢に飾り付けられている感じが、木のトップにだけ葉がついているヤシの木を思わせる形状をしています。ビショップミュージアムの王族の歴史を紹介する展示室には、歴代の王、王女の肖像とともにたくさんのka*hiliが飾られていたのですが、おそらく王族=ka*hiliといっていいくらい重要なシンボルなのだと思われます。
****:Pauahi王女はカメハメハ一世の曾孫にあたる。
*****:彼の尽力によって設立されたのがカメハメハスクール、およびビショップミュージアムです。

参考文献
Pukui MK et al: Place names of Hawaii. Honolulu, University of Hawaii Press, 1976
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コメント

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隙間のりりー

7月もお待ちしています!
Leipuaさま


さっそくコメントいただきありがとうございます。
お役に立てたようで、私もうれしいです~今日のレッスンはいかがでしたか?

ホントにすばらしい歌ですね、Hanohano Helumoa。いい機会をいただきました。あらためて感謝申し上げます。
7月も木曜日に2回ほど開催しようと思っていますが、都合のつく週があれば教えていただけるとうれしいです。
もし、木曜日以外でも、調整できる日ならあわせますので遠慮なくおっしゃってください。

そして、リクエストもぜひ!

よろしくお願いします。

隙間のりりー

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隙間のりりー

7月のメレを読む会について
大前様


ご連絡ありがとうございます。
11日の会場の都合を聞いて、あらためてご連絡いたします(たかうち珈琲がOKなら開催します)。
4日はお店はOKなのですが、私の仕事の都合で未定です。一両日中にはご案内できるのですが……お待ちいただけると助かります。

よろしくお願いします。

隙間のりりー

Leipua

りりー様

  お手数です。またお知らせください。
 
                大前

隙間のりりー

7月のmeleを読む会
Leipua さま

7月11日(木)、19時から、新大阪たかうちコーヒーにて「ハワイ語のmeleを読む会」を開催いたします。

リクエスト曲があればぜひお持ちください。

よろしくお願いします。

隙間のりりー

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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。