Ahi Wela

Ahi Wela






Ahi wela twinkle twinkle little star- IZ



 このことは私たちふたりだけの秘密。
 (こんなに)しあわせな気持ちで愛し合っているんだから。
 胸に温めている大切なこの思い……。

 'Elua no* ma*ua
 I 'ike ia hana
 La'i wale ke haunu
 Ho'onipoi ka poli

 いきなり「二人だけがその営み(ia hana)を知っている」('Elua no* ma*ua i 'ike ia hana)ではじまり、いったいなにが二人の秘密なんだろう?……って感じで歌の世界に引き込まれてしまう『Ahi Wela』。そのあとに続く「kaunu」や「ho'onipo」(いずれも「love making」に関わることば)から、すぐに愛し合う二人の関係が語られていることがわかるあたり、ハワイのラブソングにはめずらしい、かなり直球な印象があります*。そしてこのあと、「ahi wela」(熱い炎)というタイトルそのままに、熱く燃える思いが赤裸々に語られます。

 熱く燃える炎のようなこの思い。
 そう、愛のさなかに見舞われるあの感覚がよみがえる……。
 まるで私のからだが、その炎を運んでいるよう。
 そして、こころのなかのはやる鼓動はおさまる気配もない。

 Ahi wela mai nei loko
 I ka hana a ke aloha
 E lalawe nei ku'u kino
 Konikoni lua i ka pu'uwai

 「mai nei」と、「わたし」の近くをさすことばが重ねられ、しかもそれに「loko」(inside)が続いているあたり、その思いから逃れられないばかりか、その愛の記憶をなんども反芻している私のこころ模様がうかがえるように思われます。そう、「ke aloha」(love)にまつわる「i ka hana」(事が行われているときの)あの感じ……思い出すだけでからだが熱くなってドキドキしてくる、そんな感じでしょうか**。
 
 ねぇ、答えて、leiにつなげるように大切に思ってきた花のようなあなた……。
 (君は)夕暮れを思わせる雰囲気にあわせて、美しく連ねたlei(なんだ)……。

 'Auhea wale ana 'oe
 Ku'u pua i kui a lei
 I lei ho'ohiehie
 No ke ano ahiahi

 ここでは、愛するあなたは「大切な花」(ku'u pua)であり、それを「連ねたlei」でもあると語られています。ハワイ語のラブソングで恋人が美しいleiにたとえられることはよくありますが、leiを作ることは思いを連ねることでもあると考えると、leiが恋人そのものというよりも、対象を大切に思うときのその思いのなかの恋人が、leiということばで表現されているという捉えかたもできると思います。そして、そう考えてみると、そのleiが夕暮れの雰囲気にあわせて美しくleiに仕立てられた(I lei ho'ohiehie no ke ano ahiahi)とされることの意味合いもみえてくるんですね。そう、このだれかが思い起こしている恋人の姿は、夕暮れ時の―おそらく、これから大人だけの特別な時間がはじまろうとするときのそれに違いないと……恋の炎(ahi wela)を、これ以上ないほどに燃え上がらせるような。

by Lizzie Doiron and Mary Beckley(1891)

*:ハワイ語で歌われるラブソングは、古代のoli(chant、朗詠)の影響もあって、「kaona」(ことばに二重、ときにはそれ以上の意味を込める修辞法)が多用されることが多い。 
**:心臓の鼓動をあらわす「koni」が「konikoni」と重ねられ、しかもlua(double)ですから、まさに「ドキドキ」を二剰したくらいのドキドキ感かもしれません。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。