Lei Wainiha

Lei Wainiha





 Wainihaはlaua'eの香りに包まれた美しい場所。
 そして、肌をさすような雨に見舞われもするところ。
 (見上げると)Lehuaが花ひらくLulu'upaliの峰は、
 Hi*nanoの(悩ましい)香りに包まれながらそびえている(まるで、見下ろしながらこちらを誘うように)。

 Lei wainiha I ke ala laua’e
 Pa’u* i ka ua ki*koni ‘ili
 Mo*haluhalu ka lehua o Lulu’upali
 Pali ‘a’ala i ka hi*nano

 Laua'eが生い茂り、山々にlehuaが花開くその空間の美しさが、激しく降る雨の描写とともに語られる『Lei Wainiha』*。美しいメロディとともに、自然の生命力にあふれる世界が広がるさまが目に浮かぶように思われますが、「Lulu'upali」と、それを香りで包む「hi*nano」については、この後に続く内容から考えて、それを眺める「わたし」のこころ模様として訳してみました**。高くそびえる峰を見上げながら、そのりっぱな姿になにを重ねているのか……そのあたりを想像しながら読み進めてみたいと思います。

 ひとりpala'a*が香る風に包まれているわたし。
 その香りが、あなたをふいに思い起こさせるのね。
 あの枕のあの高さ(の感触)がここにあったなと。
 そして(あのとき)、眠りをつかさどる神とともにまどろんでいたことも……。

 Ho’okahi au i ke anuhea pala’a*
 I ha*’upu ai ku’u hali’a ia* ‘oe
 I kau iho nei ke keha i ka uluna
 E hi’olani ai me Niolopua la*

 先のバースに引き続き、ここでも「pala'a*」***とともに、思いをかき立てるものとして香りが登場します。そう、みえないけれども、対象の気配を感じさせるのが香りなんですね。まるで、「'oe」(あなた)の記憶とともに訪れるものでもあるような……そして、ここでは、その思いの対象が、幸せな眠りをともにした相手であることが明かされます。それにしても、「Niolopua」(眠りを司る神)とともにあるなんて、よほど幸せなひとときだったんでしょうか……。そのとき頭を支えていた枕を表す「uluna」は、もともと(hi*nanoが咲く)pandanusで作られるものを指すことばだったと知って、ついあれこれと想像してしまいました。そう、葉っぱを枕にするということは、屋外で休憩(?)してたんじゃないかと……****。少なくとも、1番で歌われた「Pali 'a'ala i ka hi*nano」(hi*nanoの香りに包まれながらそびえる峰)は、そのとき幸せをともにしたなにかを象徴しているのではないかと思われます。

 まぁ、ここにやって来たのはだれ?
 あなたなのね、愛しいひと……。
 ずっと思い続けると、その思いの強さが恋人をつかまえることもあるのね。
 (まるで)小鳥がワナに捕らえられるみたいだわ。

 ‘O wai ke*na* i hiki maila?
 ‘O ‘oe ka* ho’i e ka huapala!
 He lei ho’ohihi ke ki’ina a kaipo
 E pili ai ka manu i k e ke*pau
 
 Maunahinaの山脈に目をやると、
 お月さまが海でくつろいでいるような光景がひろがっている。
 そして、Hanakaipoの海風があなたを連れてくるの。
 ここで私たち愛し合うのね……。

 Kau ka maka ia* Maunahina
 I ke koili iho a ka mahina i ke kai
 He Hanakaipo kai hali mai i o’u nei
 I ‘anei ka*ua e ho’onipo ai ‘ea*

 「だれなの?」('O wai ke*na*~?)ではじまる3番のバースのところで、それまでの淡々と語る感じが一変します。気持ちの高揚が感じられるそのメロディには、夢の中でふいに恋しいひとが現れたときの、その一瞬のドキドキが表現されているように思いますが、それにのせて歌われるハワイ語の歌詞がまた、グッとくるものだったりするんですね。ずっと思い続けると、その思いの連なったlei(he lei ho'ohihi)に恋人だって捕らえられてしまう。まるで小鳥がトリモチ(ke*pau)にひっかかるように……なんだか、いたずらっ子の台詞みたいな表現ですが、いい具合に歌のスパイスになっているように感じられます。
 一方、これに続く4番では、月と海が出合う一瞬の光景が、恋人たちの至福の瞬間の比喩として語られているようです。それにしても、あなたを連れてくるとされる「Hanakaipo」の風は、その名前からして恋人たちのためだけに吹く風のようですね。愛の営みを思い起こさせる風景がそこに広がっているのか、あるいは、そこに吹く風が愛の記憶を思い起こさせるのかはわかりませんが、「hana-ka-ipo(恋人の営み)」なんてことばが風の名前であること自体に、ハワイのひとびと独特の感性というか、語りの作法が凝縮されていることだけは確かかもしれません。

 恋人(の愛)の水がほしい(ってずっと思ってる)。
 それで、夢のなかでその思いを満たしているの(かしら)。
 (それでも)雨音で目覚める(こともあるわ)。
 (そんなときは)Halele'aの町も、幸せな夜にまどろんでいるように見えたりするのね。

 E ake ana i ka wai o ka hoa kaunu
 Ua ko* ka ‘i‘ini i ke kaha’ula la*
 Lana ka hiamoe i ka paka a ka ua
 Heha Halele’a i ka po* le’ale’a

 強い雨音で夜中に目が覚めて、「なんだ、夢だったの(がっかり……)」みたいな感じでしょうか。そして、窓のそとには闇に沈むHalele'aの町*****。雨の夜ですから月明かりもないはずですが、それでも喜びに満ちた(le'ale'a)夢をむさぼる気配を、そこかしこに感じたようです。そうしてまた、寝床に戻るのかもしれませんね。もう一度、あの幸せな夢の続きをみるために……。

composed by Kainani Kahaunaele

*:Wainihaは、Kaua'i島北部にある海沿いの場所。CDアルバムの解説によると、Wainihaに吹く風は32もの名前でもって語られているようで、そこにある表情豊かな自然の営みが想像されます。Laua'eはmaileにも似たハーブのような香りのするシダで、leiにもよく用いられる植物です。
**:「Hi*nano」は、pandanus(タコの木)の雄木に咲く強い芳香を放つ花。セクシャルな感情をかき立てるものとして、ハワイアンソングにもよく登場し、同じ作者による『Ka Hinano O Puna』にも歌われています。http://hiroesogo.blog.fc2.com/blog-entry-16.html
***:Pala'a*は「lace fern」とも呼ばれるシダの一種。
****:同じ作者による『Ka Hinano O Puna』に、海辺で恋人たちが特別なときを過ごすためのhala(pandanus、タコの木)の林が登場します。タコの木という呼称の通り、halaの木の根はかなり高い位置までせり上がっていることが多く、おそらくその部分が自然の小部屋みたいに用いられたのではないかかと想像される内容が、『Ka Hinano O Puna』にも歌われています。http://hiroesogo.blog.fc2.com/blog-entry-16.html

*****:4番に登場する「Maunahina」の山脈は、「Halele'a」の地域(5番)からちょうど見わたせる位置にあります。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。