Waioleka

Waioleka





Komakakino performing a song called Waioleka with two ukuleles and an ipu...
this song talks about different flowers which in the literal sense speaks of the
many different types of relationships that come with love.



 やぁ! Waiolekaさん。
 ぼくたち、手紙ではなじみの仲だもんね。

 Aloha, e ka pua o ka waioleka
 Ma ka leka ka*ua kama'a*ina

 いきなり、「Aloha~!」(こんにちは)ではじまる唐突な感じと、そうやって呼びかけている相手がなぜかすべて「ka pua」(お花)であるあたり、どう考えたってエキセントリックじゃないかと思ってしまう『Waioleka』。しかも、最初に登場する「waioleka」(violet、スミレ)の花にいたっては、手紙(leka)ではなじみの間柄だなんて、なに?文通でもしてるの?っていいたくなりますね。
 もっとも、「waioleka」に続いて「leka」が登場する点については、その内容以上に、ことば遊び的な要素に注目すべきではないかと思います。というのも、2番で「miulana」が二回繰り返されるのに続いて、「panini」と「'a*nini」、「manako*」と「ho'oko*」、「kuawa」と「'awa'awa」といった調子で、巧妙な音の繰り返しがみられるからです。「Aloha!」をつい「やぁ!」と訳したくなるノリのよさ満載の歌ですが、実はきわめて慎重にことばが選ばれていることがうかがえますね*。

 やあ! Miulanaさん。
 (きみは)いい香りだよね、ぼくの大切なleiみたいな……。

 Aloha, e ka pua o ka miulana
 Miulana ku'u pua lei onaona

 やあ! Paniniのお花さん。
 (きみは)つみ取ろうとするとチクチクっと痛かったりするんだよね。

 Aloha, e ka pua o ka panini
 'O ka 'a*nini a'e me ka 'eha koni

 「miulana」(mulang)はヒマラヤ原産の高木で、そのオレンジや白の香りのいい花は、leiの素材として用いられることも多いようです。モクレン(magnolia)に近い植物であると聞いて、なんとなく、ややぽってりと肉厚な、存在感のあるたたずまいを想像しています**。一方、「panini」はハワイによくみられる野生のサボテンの一種で、その実は食用でもあるらしい……でも、その花が歌われているところをみると、思わず手を出したくなるような、かわいらしいお花をつけるのかもしれませんね。でも、サボテンだから「チクリ」と痛い……そう、お花は美しいだけではないのです。
 
 やぁ! マンゴーのお花さん。
 きみの求めるがままが満たされてるよね。

 Aloha, e ka pua o ka manako*
 Ua ho'oko* 'ia ko makemake

 やあ! グァバのお花さん。
 あの最中って、(ちょっとした)苦味を感じるもんだよね……。

 Aloha, e ka pua o ke kuawa
 ‘Awa'awa na* hana a ke aloha

 マンゴーというと、あのネットリと甘くジューシーな実をまずは思い浮かべますが、写真でみるかぎりでは、そのお花のほうもかなりチャーミング。中心部分に短く細いひも状の花びらが密集していて、これはちょっと見たことないなと思うほど個性的な印象です。そして、実の印象が強いのはこれに続くグァバも同じなのですが……あれっ?グァバの花については、苦い(or すっぱい)とかいって、なにかを味わってるようですね。しかも「na* hana a ke aloha」(love makingのあれやこれや?)のことを語っているような……もしかすると、「'awa'awa」(苦い、すっぱい)とはつまり……大人の味ってことですかね(笑)。

 もうおわかりですよね、この歌の語らんとすることは。
 ぼくたち、手紙のなかではなじみの仲なんだ。

 Ha'ina 'ia mai ana ka puana
 Ma ka leka ka*ua kama'a*ina

 ここにいたって、「ma ka leka」(手紙のなかでは)と語られていることが、おぼろげながら見えてくるように思います。この歌を口ずさんだだれかは、手紙のなか、つまり実際には出会ったことのない対象(歌詞ではいろんなお花)をあれこれ想像しながら、「ka*ua kama'a*ina」(ぼくたち二人はなじみの仲)になったつもりで、あれやこれやと思い描いているんじゃないか―そう、いろんなお花たちの姿に、おそらく、それぞれ別のタイプの女性(?)を重ね合わせながら……。

traditional

*:前のことばに含まれる音(の一部分)を受けてことばを連ねていく形式は、古代のoli(chant、朗詠)から続くハワイ語の世界の修辞法のひとつ。
**:白い花を咲かせるものはChinese pak-lan(ハワイ語で「pakalana」)とも呼ばれ、Leiの素材としてもよく用いられるようです。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。