Aloha ku‘u home a i Ke‘alohi Ka ‘a*ina i hi'ipoi 'ia e na* ku*puna Ua la'i ka nohona a o ku'u home I ka malu o nä pali o ke Ko'olau
O'ahu島の東側、Ka*ne'ohe湾にはり出した小さな半島、「Ke'alohi」。Ka*ne'oheの中心部から車で10分ほどのところにあり、地図でみると、海岸づたいに細く平らに広がるHe'e'iaの向こう側に、ほどよい距離でKo'olau山脈が連なっています。現在は「He'e'ia State Park」として公的な組織によってその自然環境が守られ、地域のコミュニティのための場として機能してもいる、そんな場所のようです。 Ka*ne'oheをはじめO'ahu島の東側には、魚たちが繁殖する豊かな海があり、かつてはfish Pond(養魚場)が連なるなど漁業がさかんな地域でした。欧米資本の台頭とともにかつてのハワイアンたちのくらしが失われ、ハワイ各地が開発の波にのみ込まれていくなか、そんな漁場も姿を消していったわけですが、Ke'alohiのfish Pondは、He'e'iaを守るべく活動を続けてきたNPO組織(Friends of He'e'ia)によって守られてきたようです。海と山と、そのすべてを包む青い空……そんな美しい環境もさることながら、その場所で営まれていた古代のハワイのひとびとの暮らしの、せめて痕跡だけでも残したい―そんな思いをかりたてるなにかが、He'e'iaという場所にはあるのではないかと想像しています。
Hea aku o Ma*'eli'eli he kupa o ka 'a*ina He hale, he 'ai, he i'a no ka*kou I laila au i 'ike aku ai Ka nani kamaha'o o Häwai'iloa
「Ma'eli'eli」は、Ke'alohiにほど近い場所にある小さな山。「Hawai'iloa」はその対岸にあるMo*kapu半島にある小山です。ずっと昔からそこにあり、Ke'alohiを昔もいまも見守ってきたそれら自然の風景は、その土地の守り神的な存在として意識されているのかもしれませんね。そして、その土地の精霊が、先祖や家、poi、そして魚も、みんなわれわれのものだと訴えている、そう、私にはその土地のあるべき姿が、見えるのです(~au i 'ike aku ai)と続くあたりは、自然が訴える声であると同時に、作者のこころの叫びであるとも言えそうです。
Lei ana ka 'a*ina i ka nani pua hau Pulu pe* i ka 'ehukai o Malulani Ku'u 'a*ina ha*nau
He'e'iaのMalulaniには小さな小山が点在しており、洪水が起こるなど水位が上昇すると、それらが尖った島々にみえるところから、He'e'iaといえばKo'amokumoku(「mokumoku」、切り立った)(「ko'a」、さんご礁)と呼ばれてきたようです。ときに変貌する風景に驚きながら、自然のあるがままをいつくしんできた、そんな海辺の暮らしが想像される地名だと思います。 ここにいたって、少し迷うことがあります。ふつうは「私の生まれた場所(ふるさと)」といった訳がつけられるであろう「ku'u 'a*ina ha*nau」ですが、この歌に限って言えば、そこで先祖の暮らしが営まれていたことが重要で、必ずしも生まれ育った場所ではないようにも思われるからです。 He'e'iaは、実は私にとっても思い出深い場所だったりします。この歌の作者であるKawaikapuokalani Hewitt氏のハラウに所属していた数年間、毎年8月に行われていたho*’ike(発表会)のリハーサル&セレモニーで訪れたのが、He'e'ia State Parkだったからです。旅行者の目には、緑豊かな環境が限りなく自然のままに残されているように思われたHe'e'iaだったのですが、州立公園になっているという時点で、もうひとびとの暮らしとともにある場所ではなくなっているんですね。そして、そこから一望できるKa*ne'ohe湾は、アメリカ海兵隊の船が行き来する場所でもあった……思えばあのとき、失われた多くのものの存在抜きには語れない、負の部分をいっぱい抱えたハワイに出合っていたのだと、いまさらながらに思い起こされます。 自らが先祖とのつながりのなかで生かされていることへの意識とともに、命の源が大地にあることが強烈に感じられてもいる、そんな『Aloha Ku'u Home A I Ke'alohi』。淡々と連なるメロディのなかに込められたその熱く切実なメッセージは、先祖にルーツのある土地と引き離されて生きる、多くのハワイのひとびとのこころの声でもあるのかもしれません。
参考文献 Elspeth P Sterling, Catherine C Summers: Sites of Oahu. Honolulu, Bishop Museum Press, 1978
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