Ke Anu O Waimea

Ke Anu O Waimea 





"Ke Anu O Waimea ", sung by Na Palapalai featuring Shawn Ishimoto.
This video was shot on11-20-10 at the "Mahalo Ke Akua 2010" concert in Castro Valley, California.


 Waimeaの美しい姿がみえる。
 Kipu'upu'uがふきまくる光景もすばらしい。
 (思わず)身ぶるいする寒さ(もWaimeaならでは)。

 'Ike au i ka nani o Waimea e
 Ki*pu'upu'u nani makani pahili
 Ke anu ha'ukeke e

 Waimeaの風景を、ひとつ、またひとつと思い起こしながら、感じるがままをことばにしている……そんな印象のある
『Ke Anu O Waimea』。シンプルな語りが、逆にストレートにこころに響くとともに、大切にことばを選んでいる感じが、土地への愛をあふれんばかりに感じさせもする、そんな作品だと思います。
 ハワイ島北部、Kohala地域にある街、Waimea。地図でみると、北西にのびるKohala山脈のふもとにあり、街の南側も低めの小山に囲まれていて、日本語でいうところの、いわゆる盆地に位置するようです。そんな地形によるのかどうかはわからないのですが、歌に登場する「Ki*pu'upu'u」は、WaimeaといえばKipu'upu'uといわれるほど、この地域を特徴づける雨風のようです。冷たく肌をさすような雨まじりの風らしく、「cyclonic」(旋風、竜巻)という形容がなされているのを見かけたことから、こころみに「ふきまくる」と訳してみました。Waimea出身のカウボーイの投げ縄さばきのカッコよさを、このKi*pu'upu'uにたとえている歌もあったりするので*、おそらくいきおいよく巻き上げるような風であるだろう……とは思うものの、このあたりは、実際に体験してみないとわからない部分ではあります。

 キスするようなやさしさで包んでくれる雨にぬれながら(歩く、そんな)朝には、
 ふわっとただよってくるいい香りが訪れもする。
 あれっ、ジンジャーだったのかな?みたいな、そんな感じで……。
 
 I ka poli o ka ua e honihoni ana e
 Kakahiaka he moani ke'ala
 Ke awapuhi ho'i e

 「'Ike au i ka nani~」とWaimeaを目にしたときの印象からはじまった1番に続いて、2番では「awapuhi」(ジンジャー)の香りがどこからともなくただよってくる、さわやかな朝の空気が語られています。それにしても、「i ka poli o ka ua」(雨にいだかれて)とされる雨が、「e honihoni ana」(キスしている)ように感じられるなんて、いったいどんな雨なんだろうと思ってしまいますが、繊細でふわっとしていて、やさしく包むような感じではないかと想像しています。少なくとも、Waimeaといったって、肌をさすようなKi*pu'upu'uばかりではないということですね。そんな、Waimeaを知り尽くしたひとだけが知っている土地の描写が、視点を変えてさらに続いていきます。

 霧にすっぽり包まれている(姿が美しい)、
 高くそびえる名高い山、Ka*nehoa。
 (そんなふうに)繰り返し驟雨に(なでられ)包まれている(姿もいとおしい)。

 Ua uhi pa'a 'oe me kapohina e
 Ke kuahiwi kaulana i ka luna
 Kanehoa, milika'a e

 道行くひとを包む驟雨は山をも包む……というか、「kuahiwi」(山)が「'oe」と呼びかけられ、ひとと同じように語られているところに、ハワイのひとびにとっての自然のありかたが現れているといえるかもしれません。しかも「milika'a」**ですから、まるで山が霧のなかでうっとりくつろいでいる感じもあります。もしかすると、いつも心のどこかにいる大切なだれかが、思わずだぶってみえたりしたのかも……。

 Kamuelaのまちの端正なたたずまいには、
 決して色あせることのない美しい花が、キスで迎えてくれるような華やかさがある。
 そう、黄色いlehuaのleiのような……。

 Aia i ka nani o Kamuela e
 a ua kiss ka pua never-fading
 beauty e lei

 「Kamuela」は「Samuel」をハワイ語読みしたもので、Waimeaの市街地を指す地名です。ハワイには、その土地にゆかりのある外国人の名前が地名として残っていることが結構ありますが、この「Kamuela」にも、ハワイに欧米の文化が入ってきたころのWaimeaの歴史が、さりげなく刻まれているわけですね***。もしかすると、「(決して色あせない)花がキスで迎えてくれる」(ua kiss ka pua)が歌われるときのノリのよさ、そして「never-fading beauty 」といったしゃれたことば選びには、古くから外来の文化を根付かせてきた土地ならではの心意気みたいなものが、さらりと表現されているのかもしれません。

 この土地を美しくかざる、あれやこれやを歌ってみました。
 朝の風景がとびきり美しいふるさとだから……。
 そう、あの思わず身ぶるいする空気感こそがWaimea。

 Waimea、それは美しさそのものといってもいいほど、語り尽くせぬ場所なのです。

 Puana e ka wehi
 o ka 'aina e
 Ka home nani wale i kakahiaka
 Ke anu o Waimea e

 Waimea, he nani nani wale e

 Waimeaのよさを伝えるために選ばれたあれやこれやが語られたあと、高らかに歌い上げられる感じが印象的な最後のフレーズは、もう理屈抜きに感動的でこころにひびきます。直訳すると、「Waimeaはただただ美しい」くらいになるハワイ語ですが、「he nani nani wale」とことばが繰り返されている感じを出したくて、「語り尽くせぬ」と訳してみました。ですが、それこそどんなにことばを尽くしても語れない思いがいっぱいつまっている、そんな歌ではあります。ことばにすると同時に、次から次へとわき上がってくる思いがこぼれ落ちていくような……そして、この途方もない思いの深さは、「kama'a*ina」****にしか語れないものなのだと思ってしまう―ハワイには、「'a*ina」(土地)の「kama」(子ども)として、その土地の自然にいだかれ生かされてきたひとにしか語れない、大地の息づかいみたいなものがあるようです。

*:『Waiomina』 http://hiroesogo.blog.fc2.com/blog-entry-145.html
**:「mili」(なでまわすようにかわいがる、ペットや子どもに用いられることも多い)、「ka'a」(回る、繰り返される)ということばから連想すると、「milika'a」に含まれる語感が伝わってくるように思われます。
***:Waimeaは、18世紀末に、カメハメハ1世が英国人から牛をプレゼントされたときにまでさかのぼる、牧畜の歴史がある場所です。また、Kamuela(Samuel)は、この土地に牧場を作るべく命を受けたJohn Palmer Parkerの孫にあたる、Samuel Parkerにちなんでつけられたもの。
****:「kama'a*ina」は「native-born」であることを意味するハワイ語。

composed by Kuana Torres
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。