Ku'u Ipo I Ka He'e Pu'e One

Ku'u Ipo I Ka He'e Pu'e One





Kainani Kahaunaele


 いとしいひと、あなたは(あの日ボードで)浅瀬へ乗り上げてきた。
 波を切る姿、そして、砂がこすれる音……。
 (そんなあのときの)あなたのことを、いまも追い求めてしまうこの思い。
 私たち二人、森のなかでやわらかな霧雨に包まれていたこととか……。

 Ku’u ipo i ka he’e pu’e one
 Me ke kai nehe i ka ‘ili’ili
 Nipo aku i laila ka mana’o
 Ua kili’opu maua i ka nahele

 大切な思い出をいとおしくたどるように、切ないメロディが連なる『Ku'u Ipo I Ka He'e Pu'e One』。いつだったかの遠い記憶をなぞっている感じがありますが、繰り返される「ua kili'opu ma*ua~」(私たち二人、森のなかでやわらかな霧雨に包まれていた)とはどういうことなのか……そのあたりが、2番、3番と思いが重ねられるたびに、少しずつ明かされていきます*。

 私はここよ、ねぇあなた……。
 ここにあなたの思いが届いた(ような気分)……。
 (あなたは夢のなかに)昨晩もやってきた。
 二人して森のなか、やわらかな霧雨に包まれた記憶とともに……。

 Eia la e maliu mai
 Eia ko aloha i ‘ane’i
 Hiki mai ana i ka po nei
 Ua kili’opu maua i ka nahele

 私はここよ、ねぇ聞いて(Eia la e maliu mai)……強い語感があなたへのあふれる思いを感じさせるとともに、ぎりぎりの切なさが切々と胸に響いてくるようです**。でも、あなたは、どんなに呼びかけても答えてはくれない……「昨晩やってきた」とされますが、あなたへの思いの強さがひととき呼び寄せた、夢のなかの出来事ではないかと想像しています。そう、あの霧雨の感触をよみがえらせもするような……。

 ささやくような波の音。
 そして、あなたのすてきなあの場所を楽しんだこととか。
 (そんな光景がいまも)目に浮かぶのです。
 (あのとき、まるで)二人は、森で霧雨に包まれるようだったなと……。

 Ka ‘owe nenehe a ke kai
 Hone ana i ka piko wai’olu
 I laila au la ‘ike
 Kili’opu maua i ka nahele

 楽しんだとされるすてきな「piko」とはなんなのか……人間のへそから山の頂上まで、ポイントになるあらゆる場所(部分)を指す「piko」ですが、ここではおそらく、あなたのからだの秘められた場所を暗示していると思われます***。そう、あのとき二人は、これ以上ないほどお互いを求めあった……「二人で霧雨にぬれていた」と歌われるのは、そんな忘れ得ぬ愛の記憶ではないかと思われます。

 風は届いた(のだけれども)、
 Pu'ulenaの風は吹き抜けていってしまった。
 そうしてあなたはチャンスを逃したの……そうよね。
 私たち二人、(一度は)森のなか、やわらかな霧雨に包まれたこともあったのに。

 Hiki ‘e mai ana ka makani
 Ua hala ‘e aku e ka Pu’ulena
 Ua lose kou chance e ke hoa
 Ua kili’opu maua i ka nahele

 あなたの思いは、あのとき確かにこの胸に届けられた……でも、まるでPu'ulenaの風が吹き抜けるように消えてしまったのです。そう、かすかな気配だけを残して……。ここに登場する「Pu'ulena」は、ハワイ島の東部、Waia*keaやPunaに吹く冷たい風の名称です。おそらく去って行ったあなたを暗示するであろうこの風の名は、この歌が作られた当時なら、聞けば「あぁ、あの二人のはなしね」と察しがつくような、キーになることばだったかもしれません。そして、このあと「ua lose kou chance」(あなたはチャンスを失った)と英語まじりに歌われる部分は、ここだけ霧に包まれた夢の記憶がふっと途切れたような、ややクールな印象もあります。そう、この世に覚めない夢はない。あるいは、さめない愛もない―と同時に、それでもあきらめない心にだけは、風のように不意に届けられることがあるのもまた愛ではないのか……そんなことを思いながら、かなわなかった昔の恋が思い出されもした、『Ku'u Ipo I Ka He'e Pu'e One』なのでした。

by Princess Miriam Likelike

*:冒頭に登場する「ka he'e pu'e one」(文字通りの意味は「浅瀬をすべること」)は、昔、ハワイで行われたサーフィンの楽しみ方のひとつで、海から川の河口に向かい、浅瀬に乗り上げるようなものだったようです。
**:「eia」は、ここにいる(ある)ことを強調する表現。
***:「piko」は、人間のセクシャルな部分を意味することばでもあります。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。