'E 'Ike I Ka Nani A'o Poliahu

'E 'Ike I Ka Nani A'o Poliahu





9th Ho'ike at KOBE / 29th September, 2013
"our ha*lau 17 years old"
Kuhai Ha*lau O Ke'alaanuhea'o*pualani






Frank Kawaikapuokalani Hewett
& Manalani Mili Hokoana English



 Poliahuのあの美しさをみよ。
 こごえる空気のなかにたたずむ女神、Mauna Keaの霧に包まれたその姿を……。

 E ‘ike i ka nani a‘o Poli’ahu
 Ka wahine i ke anu, i ke ke*hau ‘o Mauna Kea

 ここちよいメロディとともに、どこまでもみわたせる視界がひらかれていくように思われる、『'E 'Ike I Ka Nani A'o Poliahu』。まっすぐ刻まれるビートの力強さや、「見よ、あの美しさを」(e 'ike i ka nani)といった勢いのあることばのせいか、Mauna Keaにそなわった圧倒的な存在感や、雪山を包む凛とした空気までが伝わってくるような、そんな雰囲気がこの歌にはあります*。
 ハワイ島はHa*ma*kua地域にそびえる、ハワイ諸島最高峰の山、Mauna Kea(13,796フィート)。「Mauna-kea」(白い山)という名が示すように、冬場はスキーもできるほどの雪山だったりするのですが、その山頂が雪におおわれた姿を、ハワイのひとびとは「poli-ahu」(肩から胸のあたりにかけるケープ)と呼び、その場所がかき立てるイマジネーションでもって、美しい雪の女神の物語を語り継いできました。そして、ここで歌われている女神(ka wahine)が、その「Poliahu」なわけですね。

 威厳に満ちた女神は、その高みをきわめたところにあって、
 Ma*maneの木々生い茂る姿も美しく、鳥たちはミツを求めてそこにつどう……。

 Kehakeha ka wahine i ka ‘iu o luna
 Ka*hiko ‘ia i ka ma*mane, ‘ai a ka manu palila

 Ma*maneの木々につどい、そのミツを求める鳥たち……ここに登場するma*mane(高地に生息するマメ科の植物)、およびpalila(ハワイミツスイ)は、いずれもハワイ固有の生き物です。外来種にその存在をおびやかされてきた種が多い状況にあって、Mauna Keaは、いまもハワイに古来からある自然の営みが残されている場所なんでしょうか。少なくとも、鳥の楽園として語られるその場所は、人間が容易に足を踏み入れることができる領域ではないのかもしれません。そう、「i ka 'iu o luna」(高みをきわめたところ)にあって、みるひとに聖なるものたちが住まう空間をイメージさせもするような……。

 肌をふんわり包むその水のしずくに、恋い焦がれる思いに駆られてしまう……。
 Lilinoeのやさしい霧雨の、ひんやりした感じとか……。

 Li’a au i ka wai ho’opulu i ka ‘ili
 Ka wai hu’ihu’i a ka ua Lilinoe

 (遠く眺めていると)あなたの愛が、私の胸にしみわたるような気がする。
 おだやかさに包まれてそこに住まう大切なひと、雲をいただくその姿の神々しさ(をみるたびに、そんなふうに感じてしまうのです)。

 Noe mai kou aloha pili ku’u poli
 E ka ipo noho i ka la’i i ka malu o ka ‘o*pua

 はるか遠いところにあっても、というか遠く隔たっているからこそ恋い焦がれてしまう、そんな切ない思い……Lilinoeは、Mauna Keaの頂上付近、つまり、白いケープをかけたように見える山頂部分に降る霧雨の名前で、女神Poliahuの妹でもあるとされてきました。その霧に抱かれ、やすらぎに包まれたい……ここには、Mauna Keaの山頂にこころ引かれるひとの思いが、まるで熱い恋心のような雰囲気でもって語られているようです。もしかするとそこには、Poliahuをめぐる物語が重ねられているのかもしれませんね。たとえば、Poliahuを裏切り別の女性を求めながらも、Poliahuへの思いを断ち切ることはできなかったカウアイ島の王子、'Aiwohikupuaの思いのはてしなさであるとか……**。

 Poliahuの美しさを語る、このmeleの思いが伝わったでしょうか。
 こごえる空気のなかにたたずむ女神、Mauna Keaの霧に包まれたその姿を……。

 Puana e ka nani a‘o Poli’ahu
 Ka wahine i ke anu i ke ke*hau ‘o Mauna Kea

 ごく限られたことばのなかに込められた、このmele(歌)の世界の壮大さ……それは、みるひとをただただ圧倒させる、Mauna Keaの存在そのものでもあるのだと思います。ハワイのひとびとは、ことばを失わせるほどの風景に感動したときの体験を、それでもこんなふうにことばにしてきたのかもしれませんね。そう、この世界の「知の地平」では語れないものをひしひしと感じながら、その「なにか」に別の仕方で形をあたえるために……そんなことを考えるにつけ、まるで神話が立ち上がってくる瞬間がとじ込められているようにも思えてくる、そんな『'E 'Ike I Ka Nani A'o Poliahu』なのでした。

by Kawaikapuokalani Hewitt

*:このあたり、擬人化されたPoliahuが語られる同じ作者による別の楽曲と比べても、とくに際だっているように思われます。
『Poliahu』 http://hiroesogo.blog.fc2.com/blog-entry-99.html
**:Poliahuと'Aiwohikupuaの物語についてはこちら。
『Ka 'Eha Ke Aloha』 http://hiroesogo.blog.fc2.com/blog-entry-172.html
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。