'Auhea wale 'oe e ka ua Ke nihi a'e nei i na* pali
静かに記憶をたどるように、愛するひとのおもかげが語られているような雰囲気のある、『Pua Lilia』。そんなゆっくりした語り口に反して、いきなり「つまれたその花」(ia pua i 'ako 'ia)の話がはじまるあたり、かなり直球で思いが表現されている印象もあります。そう、ハワイ語のラブソングで「つまれた花」といえば、「意中のひとと思いをとげる」みたいなニュアンスがありますから……それにしても、冒頭の「'Auhea~」のところで、その花にではなく「雨」(ka ua)に呼びかけられているところは、あれっ?て感じなのですが、これについては、同じ作者によるラブソング、『Ka Ua Loku』(文字通りの意味は「どしゃぶりの雨」)のなかで、雨が作者自身の恋心の象徴として語られていることが理解の助けになると思われます*。『Ka Ua Loku』には、山々の峰に白くもやった雨雲が、彼自身の欲望そのものとして登場します。つまり、あの日あのとき、思いを寄せるあのひとを抱きしめたことなんかを思い起こさせる、そんな雨なわけですね。
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