Nani Nani Nani Venuse

Nani Nani Nani Venuse





Na* Palapalai


 なんて美しい、そして気高さに満ちている。
 いとしいあなたは、美そのものなのです。
 さぁ、そばにいて、いつだってあなたはわたしのもの。
 そうして、ずっと(ふたりして)愛をはぐくむのです。

 Nani nani ha'aheo
 He nani no 'oe ku'uipo aloha
 Come be with me, always my own
 A pulama mau ia ke aloha

 のびやかでくもりのないメロディとコーラスが、愛する喜びを高らかに歌い上げている……そんな印象のある『Nani Nani Nani Venuse』。「いつだってあなたはわたしのもの」といえる恋人とともにする幸せを、世界中に向けて叫びたい、そんな晴れやかな気分が、あふれるほどに感じられる歌だと思います。そして、「美しい、とにかく美しい」と「nani」が重ねられる部分は、その表現の素朴さでもって、逆に美しいと讃えられている存在を前にしたときの感動をストレートに伝えてもいる……そんな感じでしょうか。

 美をそなえたあなた、Venuseよ。あなたは誇りに満ちていまここに……。
 天高く輝いて、雲の切れ間から顔をのぞかせている。

 He nani kou e Venuse e kau ha'aheo nei
 'Olinolino mai i luna i ka maka o ka 'opua

 あれっ?恋人じゃなくて「Venuse」(ビーナス)だったの?って感じですね。先のバースで語られた「ku'u ipo aloha」(大切な恋人)のことを、美の女神ビーナスに置き換えて語っているという見方もできそうですが、文字通りたどると「天高く光輝く」('olinolino mai i luna)ですから、ギリシア神話のビーナスというよりも……そう、天空に輝く「金星」のビーナスなんですね。

 突然わき上がりふるえる思いが、(こうして)胸にあふれてくる。
 いとしいひとがやってきたことを告げる聖なる歌が、
 いま、まさに聞こえてきたように……。

 He mana'o ho'ohali'a ho'onape ana i ka poli
 I kau ha'i ana mai eia a'e ku'u huapala

 夜空に輝く金星を見上げながら、そのひときわ明るい美しさに、まるでそこに愛するひとの面影をみたような気分になってうっとり……そんな感じでしょうか。突然、立ち上がってくるような(ho'ohali'a)、そして揺さぶられもするような(ho'onape)仕方で胸にわき上がってきた高揚感(he mana'o)。聖なる歌にたとえられてもいるこの出来事は、おそらく神の啓示にうたれる衝撃にも似た、特別な経験だったのではないかと思われます。

 わたしの大切なパートナーは、静かな光を放つ宵の月と肩を並べている。
 そう、海の方ほうからやってくる、ささやくような波の音につつまれて。

 Ku'u hoa kuikui lima o ka po mahina la'i konane
 I ka nehe mai a ke kai hawanawana i ke one

 ここでは、「わたしの大切なパートナー」(ku'u hoa)に重ねて語られる金星(Venuse)が、宵の月(ka po* mahina)とともに移動している(kuikui lima)と歌われています。ん?金星が月と一緒、ということは……そう、ある条件が整ったときに、金星と月が並んで夜空に現れる、そんな幻想的な光景が描かれているようですね。

 (Venuseは)雨にもたっぷり愛され、風に祝福されてもいる。
 (そうして)そこにそなわった、はじまりの美しさみたいなものが、しっかりとした手応えでもって感じられるのです。

 Pili 'ia me ke aloha i ka ua nui me ka makani
 Kama'ia a pa'a pono ua kumu i ka pu'uwai

 Venuseは愛に包まれている(pili 'ia me ke aloha)……それはなんとなくわかりますが、雨、しかも大降りのなかで(i ka ua nui)、風に吹かれたりしようものなら震え上がってしまいそう……でも、おそらく、ハワイのひとびとの感覚では、ゆたかな雨や風とともにあることは、自然のalohaに包まれ祝福されていることでもあるんですね。一方、西洋絵画のモチーフとして登場するビーナスを思い浮かべてみると、一糸まとわず、生まれたての姿でもって自然のままの美を象徴している、そんなイメージがあります。ここで「kumu」(origin)と語られているのは、そんなビーナスの誕生を思わせるこの世界の美の起源であり、おそらく、金星と月がシンクロする姿に感じたであろう、宇宙の神秘でもあるのかもしれません。

 Venuseの美の崇高さが、あなたの胸にもひびいたでしょうか。
 天空でひときわ輝き、雲の切れ間から顔をのぞかせる、あの存在のすばらしさが……。

 Ha'ina mai ka puana no ka nani o Venuse
 'Olinolino mai i luna i ka maka o ka 'opua

 恋人のことを歌っているのかと思ったら、月と手をたずさえた金星が描写されていて、しかもそれはギリシア神話のビーナスにつながっているようでもあり……と、ひと連なりの歌詞にいくつもの知の地平が折り重なっているようにも思われた、『Nani Nani Nani Venuse』。そして、その重なり全体を反芻するためにこそ繰り返されるのが、「Ha'ina mai ka puana」であることを思うと、ハワイアンソングではお決まりのこのフレーズも、いつになくこころに響くように思えてくるから不思議です。というか、そもそも「Ha'ina~」には、「歌のテーマを繰り返しなさい」という文字通りの意味以上の含みがあるのかも……そして、このことを指摘したそのひとが、この歌の作詞者でもあることに単なる偶然以上のものを感じさせられた、そんな『Nani Nani Nani Venuse』なのでした。

*:Mary K Puku'は、彼女の著書『The eco of our song』のなかで、「Ha'ina~」のフレーズを「歌のメッセージをこころに響かせましょう」(Let the eco of our song be heard)と訳しています。

by Mary Kawena Puku'i and Maddy K


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コメント

nao

昨日この曲を習いました。
リリーさんの歌詞や解説を読んで、フリに表現されている意味が
より深く理解できて、感動します☆
有難うございました。
また参考にさせて頂きます。

隙間のりりー

naoさま
naoさま

いつもありがとうございます!
参考にしていただけてうれしいです。
実は、書いてから一年も経つと、読み直しながらあ~書き直したい!とか思ってしまうこともけっこうあるので、こんなコメントいただくと、うれしいやら、恐縮するやら……なのですが、これからもどうぞよろしくお願いします。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。