Manu 'O*'o*

Manu 'O*'o*




Gary Haleamau


 Ma*lamaにすまう(鳥、あの)Manu 'o*'o*。
 きみの羽はレイに編むときれいだろうなぁ(なんて思ってみたりする)。
 ずっとlehuaの花の蜜を吸い続けてるんだよね。
 (ほかの)たくさんの鳥たちに、(ときおり)あいさつなんかしたりもしながら……。

 'O ka manu 'o*'o* i ma*lama
 A he nani kou hulu ke lei 'ia
 Mu*ki*ki* ana 'oe i ka pua lehua
 Ka*hea ana 'oe i ka nui manu

 飾り気のないメロディをたどっているだけで、木陰からそっと鳥たちを見守っている、そんな誰かの様子が目に浮かぶような『Manu 'O*'o*』。その抑揚の少ない控えめな感じは、ひそかに息をひそめている誰かが鳥たちに投げかける、やさしい眼差しそのもののようでもあります。そして、お目当ての鳥はただ一人、花の蜜を吸いながら(mu*ki*ki*)、ときおりほかの鳥たちに呼びかけたり(ka*hea)もしている「'oe」(あなた)のようですね。

Hui
 (きみが)ほしい、ねぇ、こっちへおいでよ。
 きみを大切に思うこの僕が、ここにいるんだから。
 (さぁ)あふれんばかりのlehuaをきみに……。

 Ho mai 'oni mai
 Ko aloha ma ne*ia
 Ki*hene lehua

 う~ん、こっそり眺めているだけかと思ったら、「あなたの愛(の対象)」(ko aloha)が「ここにいる」(ma ne*ia)なんて、もうすっかり恋人気分みたいですね。というか彼は、鳥にたとえている誰かが、必ずや自分のもとへ来てくれる('oni mai)ことを確信しているようです。こうして(鳥である)君が大好きなlehuaの花を、バスケットいっぱい(ki*hene)たずさえてきたのであってみれば……。

 (もちろん僕は)Hiloにゆかりのあるlehua、Kanilehuaにぬれる花なんだ。
 (しかも)Hanakahiとも呼ばれる土地に美しく咲く、あのlehuaなんだよ。
 ぼくにとって一番大切なのは、そう、きみがそこにいるってことなんだ。
 (そして)きみを愛するこのぼくは、(いま)こうしてきみのもとにいる……。

 No Hilo i ka ua Kanilehua
 Pohohe lehua ai Hanakahi
 Ho'okahi a'u mea nui aia 'oe
 'O kou aloha ua hiki mai

 Lehuaといえば、Hawai'i島の象徴として、多くのハワイアンソングにも登場する花。溶岩が固まったむき出しの大地に、まっさきに芽吹くという'o*hia lehuaの力強さは、生命のはじまりであるとともに、命そのものをはぐくむ愛の営みを暗示するのかも……なんてことを思ったりしますが*、それにしても、ここに登場するlehuaと雨の描写は、それが想起させる光景が美しいだけに、なにか特別な意味合いを帯びているのでは……とあれこれ想像がふくらみますね。(鳥にたとえられる)あなたに思いを寄せる誰か自身がHiloのlehuaであり、そのlehuaは「Kanilehua」**の雨にぬれてもいる……歌詞のこの部分がなにを意味するのかについては、おそらくいろんな捉え方があるものと思われますが、ここではlehua(彼自身)をぬらして音を立てる(彼のことを噂する)のが「Kanilehua」であるとする解釈のもとで、歌のイメージをふくらませてみたいと思います***。あ~だこ~だと外野はうるさいけれど、僕の思いは変わらない……そんな決意のもとで宣言されたことばなんだと思うと、「君がいるということが一番大事なことなんだ」(Ho'okahi a'u mea nui aia 'oe)なんて歯の浮くようなせりふも、グッとこころに響いてくるような……そして、そんなせっぱ詰まった思いで彼女に会いに来たにもかかわらず、まずはもの陰でそっと見守るしかなかったんだとしたら、なんだか切ないですね****。でも、思い切って告白したんでしょうか。「君の恋人(になりたい僕)が、いまここにいるよ」('O kou aloha ua hiki mai)と……。
 いろいろ妄想は尽きませんが、トラディショナルソングとしていつからか多くのひとびとに愛されてきただけに、歌われるたびにさまざまな愛の物語が折り込まれ、いくえにも重ねられてきたような、そんなふところの深い歌ではないかと想像しています。

traditioal

*:花はlehua、木は'o*hiaと呼ばれ、火の女神Peleの怒りをかって引き離された恋人たち(lehuaが女性、'o*hiaが男性)になぞらえる伝説も語り継がれてきました。
**:Kanilehuaは、Hiloに降るやわらかな霧雨の名前で、文字通りの意味は「lehuaに雨が降って奏でる音(kani)」。
***:参考にした文献は以下の通り。
Carol Wilcox et al: He mele aloha-a hawaiian songbook. Honolulu, 'Oli'oli productions, p167, 2003
****:1番に登場し、manu 'o*'o*がすまうとされたMa*lamaの町は、Hiloの南に隣接するPuna地域の、一番南側の海辺に位置します。遠くもないけれど近くもないMa*lamaとHiloの距離関係は、もしかすると、二人のあいだにある微妙な隔たりを暗示するものだったりするのではないか……と想像しています。

※:'O*'o*は、ハワイ固有の小鳥、ハワイミツスイの一種。全身は黒い羽でおおわれているようですが、一部分だけが黄色くて、フェザーレイにも珍重された鳥です。ハワイには、欧米との接触がはじまって以降、その自然環境の劇的な変化のために絶滅した生物種が多くありますが、残念ながら'o*'o*もそのひとつであるようです。
http://www.birdinghawaii.co.uk/extinctbirdarticle2.htm

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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。