E ka wai puna hoa 'inau Hoa pa*kau ho'i i ke aloha Awaia*ulu 'ia ke aloha No ku'u pua, ku'u mea aloha
どうにも抑えられない胸の高鳴りと高揚感が、晴れやかなメロディにのせて歌いあげられている、そんな印象のある『Ku'u Mea Aloha』。冒頭の呼びかけにある「wai puna」「hoa 'inau」(いずれも「sweet heart」)にはじまり、「hoa pa*kau」「ku'u pua」「ku'u mea aloha」と、たたみかけるように「愛するひと」を意味することばが連なっているあたり、もうあなたのことしかみえないみたいな状況も連想させます。もっとも、どんなにことばを尽くしても、こころ引かれるひとのことをまるごと語ることはできないのかもしれません。でも、というかだからこそ歌わずにはいられない……みたいな、最高に幸せな気分に満ちている、そんな雰囲気がこの歌にはあります。 それにしても、「愛するひと」を表すことばがこんなにあること自体が驚きかもしれません。しかも、あふれる水を思わせる「wai puna」は、みずみずしさや生命力を連想させますし*、「ku'u pua」は、そっと触れなければ消えてしまう、そんな繊細さの象徴でもありそうで、それぞれが微妙に異なるニュアンスを含んでもいます。こんなふうにハワイ語では、形のないことがらが具体的な物事に置き換えて語られることが結構あるわけですが、なかでも興味深いのが、「hoa pa*kau」という表現。「hoa」**に続く「pa*kau」は「置く」とか「テーブル」を表すところから、「hoa pa*kau ho'i i ke aloha」の部分を文字通り訳すと、「(私の)alohaが戻っていく場所」となります。相手に対する信頼、あるいは自分をまるごと受け入れてくれるという期待感なしにはありえない表現だと思われますが、各バースの最後は、ややクールな印象のある「ku'u mea aloha」***でさらりと締めくくられます。「ku'u mea aloha」といっただけでは伝えられない部分がさまざまに語られているのが、この『ku'u mea aloha』であるともいえるでしょうか……。
E aloha a'e ana no* au I ke 'ala o ko* 'ili ma*'ila 'Alohaloha mau no* au ia* 'oe Ku'u pua, ku'u mea aloha
冒頭の「e aloha a'e ana」の「a'e」は、物事が次へ、次へと連なっていく感じを表すことばであることから、「(愛する)気持ちがあふれてとまらない」と訳してみました。そして、そんな思いをかきたてるのは、あなたの(ko*)「小麦色の肌」('ili ma*'ila)の香りなわけですが、このなんともいえず愛の対象を直接感じさせる表現が、ドキッとするほど官能的なんですね。そして、「'alohaloha」(make love)が「mau no*」(ずっと、いつも)と強調される部分には、「未来永劫」といいたくなるような迫力も感じられます。 こんなふうに、五感をフル回転させて、相手の存在をまるごと感じつつ全身で受け止めようとしているひとの、まるで雷にうたれたような状況が伝わってくる『Ku'u Mea Aloha』。特別な出会いとともにおとずれるときめき、恍惚とも覚醒ともつかない幸福感……そんな晴れやかな気分とともにやってくるのが、人生の節目ともなるような、新たな「はじまり」なのかもしれません。そう、そのはじまりそのものが、未来を呼び寄せる情熱でもあるような……。 それにしても、「私はあなたが好きだ」という、ただそれだけのことが歌われていること自体が不思議に感じられるほど、美しく豊かな表現が連なっている『Ku'u Mea Aloha』。それは、「あなたが好き」のなかに含まれている、無限の可能性や未来が表現されているからだろうか……なんてことを思ったりもします。そして、そんな幸福なはじまりは、まるで風が頬をなでるような仕方で、自然に、ふいにおとずれるものではないかとも―そう『Ku'u Mea Aloha』のメロディが、さわやかなハワイの風にも似たやさしさで、心地よくこころに響くように。
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