Ku'u Ipo Pua Rose

Ku'u Ipo Pua Rose





Performing live for Hawaii Public Radio, Kuana Torres Kahele "Ku'u Ipo Pua Rose"



 いとしいひと、それは大切なバラの花のような君。
 夕暮れの(気分を連れてくる)ような僕のためのレイなのさ。
 
 He aloha ku'u ipo pua rose
 Ku'u lei o ke ano ahiahi

 いとしい恋人をバラの花のようだと讃え、その誰かが「he aloha」(愛されるひと)であるそのわけが様々に語られる『Ku'u Ipo Pua Rose』。淡々とした語りを思わせるメロディのせいか、思いをやや抑え気味に表現しているような雰囲気もありますが、「ku'u lei」(大切なレイ)とも呼ばれるそのひとが、「ke ano ahiahi」(夕暮れのタイプ、種類)だなんて、なんともドキッとする表現ではあります。きっと、さぁこれからというときのワクワク、ドキドキで、もう胸がいっぱいなんですね。そう、待ちに待った「おとなの時間」が、いままさにはじまろうとしているのですから……。
 
 そのレイは(もちろん)、この手で完成させる。
 僕のからだを美しく飾るために……。

 A he lei na'u i haku a lawa
 I ka*hiko no ku'u kino

 さまざまな植物を編みつないだレイ(lei)は、いとしいひとのたとえとしてよく登場することばですが、ここではより具体的に、そのレイがこの私にとってどういうものであるのかが語られています。まず、そのレイは「私の手で」(na'u)完成されるものである(haku a lawa)と、やや強い調子で述べられます。すでにできあがったレイを受け取って身につけるというのではなく、自分との関係のなかで形作られる、そんなレイがイメージされているようですね。そして、そのレイは、ほかの誰のものでもなく「私のからだを」(no ku'u kino)「美しく飾る」(ka*hiko)ものでもあるとされます。そして、最初に語られたように、そのレイが(おとなの?)夜を過ごすためのものなんだとしたら……レイを編んで身につけることは、肌と肌が触れ合うような、熱い愛の共同作業でもありそうです。

 (君は)もうずっとこの目で見ていたいと思う、そんなタイプかも。
 (それで)僕のこの手でなんどもふれられ、愛されてもいるわけなんだけれども……。

 He nohea i ka maka ke 'ike
 I ka milimili a ku'u lima

 「あぁ、なんてきれいなひと(he nohea)なんだろう」なんてことを思いながら、愛するひとのすべてを自分の両の瞼におさめたい……「i ka maka ke 'ike」の部分には、そんな強い意志のようなものが感じられます。そうして、その愛の対象は、「僕のこの手の」(a ku'u lima)愛撫に包まれてもいる(i ka milimili)……なんというか、もう夢中で恋人を抱きしめている感じですね。人生最高のひととき、といったところでしょうか。

 (いつも)こころのなかにいて、いとおしく思ってしまうような、そんなすてきなひとって感じ。
 この胸をあまい気分で満たしてくれるような……。

 (あれっ!?)おはようってニワトリが叫んでるのが聞こえる。
 もう夜が明けてしまったなんて(ちょっと早すぎない!?)。

 He u'i ho'oheno pu'uwai
 He aloha honehone i ka poli

 Aloha e* ka leo o ka moa
 E ka*hea mai e* ua ao

 いとおしく思うそのひとは(he u'i ho'oheno)、この胸をあまい気分で満たしてくれる、そんなひと(he aloha honehone i ka poli)……前半の休みなく手を動かす気配が感じられる歌詞にかわって、ここでは、愛するひとのうっとりするほどの魅力を、静かに反芻しているような、そんな雰囲気があります。身もこころも満たされてまどろんでいる?あるいは、もう半分夢のなかだったりするんでしょうか。でも、あれっ?もう朝なの!?……気の早いニワトリが鳴き始めたようです。時間を忘れて、というか、時計では計れない濃密なときを過ごした、そんな夜だったようですね。

 僕の大切なレイを讃える気持ちを、この歌に託してみました。
 そう、愛のレイは、朝にだって似合うものなんだなと……。
 
 Puana ka inoa o ku'u lei
 Lei aloha o ke kakahiaka

 冒頭で「o ke ano ahiahi」(夜向きの)と語られたのと同じレイ(恋人)が、ここでは「o ke kakahiaka」(朝が似合う)愛のレイであると歌われます。朝日をあびて、ひときわ輝いてみえたであろういとしいひとの横顔は、きっと穏やかな表情で、幸せに満ちていたに違いありません。それにしても、コントラストが強烈ですね。ここまで語られてきた夜のしっとりした雰囲気と、まぶしい朝の最高に晴れやかな感じ……そうして、そこになぜか恋人たちの明るい未来を確信させられもした、『Ku'u Ipo Pua Rose』なのでした。

by John K.Almeida(1946)
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。