'Auhea wale 'oe pili aloha Ku'u hoa i ka ua i ka ua loku A he loku no wau la* i laila Kilihune mai nei i Namolokama He kama ke aloha ka i hiki mai Ho'olale nei i ka pu'uwai O 'oe a'o wau la* i laila E puehu i ka hulu o ka manu E puehu i ka hulu o ka manu
大切なひと(pili aloha)の面影をたどりながら、しぼりだすように思いが語られているような、そんな印象のある『Pili Aloha』。そのひとの姿は、雨にぬれ(i ka ua)、しかもその雨は降り続く雨(i ka ua loku)でもあるあたり、途方もない悲しみに包まれていることの暗示のようでもあります。そして、その雨は、この私に(no wau)降る雨でもある……そうしてその悲しみを共有することで、愛するひとがやってきたようにその存在を感じることができるなら(he kama ke aloha ka i hiki mai)、いつまでもその雨にうたれていたいと思う。そう、まぼろしでも、あなたがこの胸に飛び込んできてくれるなら(ho'olale nei i ka pu'uwai)……でも、悲しいかな、まぼろしは手を伸ばすとすぐに消え去ってしまうんですね。まるでひとに驚いた鳥たちが、空を舞う羽だけを残して飛び去ってしまうように(e puehu i ka hulu o ka manu)……。 こうして、いとしいひとの不在からくるうつろな気分が、Kaua'i島はNamolokamaの山々に降る雨の風景に重ねられているわけですが、次のバースでは、少しだけ二人の状況をにおわせる内容が語られます。
E 'imi aku 'oe i makua hou Eia ho'i au i ka*pena hou 'O ka lei mokihana ka'u i aloha He lei hi'ipo'i 'ia na ku'u poli Me 'oe ke aloha a mau loa He lei poina 'ole ia* na'u He lei ho'oheno Wai'aleale Hiwahiwa Kaua'i i ka mokihana Hiwahiwa Kaua'i i ka mokihana
まず、ここでは、冒頭の表現がやや謎だったりします。あなたは新しいひと(i makua hou)を探す……「makua」といえば、自分より一世代上のひとを指すことばで、親ではないとしても養ってくれるひとのニュアンスがあることからすると、「恋人」というよりは「旦那」と訳したくなるような雰囲気があるからです。一方、私はというと、「こうしてキャプテンになって待っているよ」(eia ho'i au i ka*pena hou)なんていうせりふが、もう強がりなんだか本気なんだかわからない印象があります*。そんなことを考え合わせてみると、もしかすると、対等ではない力関係のもとで彼女を奪われてしまったんだろうか……なんて深読みしたくなるんですね。ですが、いったいどんな状況のもとで二人が引き離されたのかについては、これ以上歌詞からもうかがうことはできないようです。 一方、なんとも思いを断ち切りがたい切なさだけは、このあとの描写からもひしひしと伝わってきます。まず、ここに登場するWai'alealeは、先に雨とともに語られたNamolokamaの山々にもほど近い、Kaua'i島最高峰。小さく香りのよい緑の実をつけるmokihanaとともに、島の象徴として語られることも多い山です。そのWai'alealeのことを、Kaua'i島のlei、つまり、島の美しさや価値そのものであると歌い(he lei ho'oheno Wai'aleale)、最後にはmokihanaあってのKaua'i島でもあると締めくくられているわけですが(hiwahiwa Kaua'i i ka mokihana)、一見、Kaua'i島の風物詩を語っているこの部分にも、しっかり作者の思いが投影されているように思われます。もういちど「ka*pena hou」以下の歌詞をたどってみると……「mokihanaのleiこそ私が愛したあなたの象徴であり」('o ka lei mokihana ka'u i aloha)、「それは忘れ得ぬlei」(he lei poina 'ole)であるとともに、「(Kaua'i島にとっての)愛すべきlei、Wai'alealeにも匹敵する」(he lei ho'oheno Wai'aleale)とされて、いつのまにか私にとってのmokihanaが、Kaua'i島の話にすりかわっていることがわかります。そのあたりを考えあわせてみると、「mokihanaあってのKaua'i」(hiwahiwa Kaua'i i ka mokihana)については、「(mokihanaである)あなたを失った私には、もうなんの価値もない」とも読めるように思われるんですね。なんにせよ、ことばが重ねられるたびに、ぽっかり空いた作者の空虚な思いが際だってくる『Pili Aloha』。出せない手紙にしたためた思いほどゆき場のないものはないことを、しみじみと感じさせる一曲でした。
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