Ka Pua 'Ano Lani

Ka Pua 'Ano Lani






KUANA TORRES KAHELE



 (まるで)あなたがいまここに、ひんやりする雨に包まれている(ように感じる)。
 (その)肌を(喜びに)ふるわせながら。
 そんなしなやかな花(のようなあなた)こそ、
 気高く美しい、私がもとめてやまない存在なのです。

 Aia la* ho'i 'oe i ke anu o ka ua
 Ma*'e'ele ka 'ili
 He pua palupalu
 Ku'u makake*hau hiluhilu

 朝の空気のようにすがすがしいメロディにのせて、大切なひとへの思いが切々と歌われる『Ka Pua 'Ano Lani』。ある日めざめて窓を開けたら、不意に目にとまった可憐な花が、いとおしいあなたに見えてきて……みたいな情景をつい思い浮かべてしまうのですが、そんなイマジネーションをかきたてるところが、このmeleにはあるように思います。そう、ことばを尽くして語られる花の描写が、妙にリアルなんですね。たとえば、「aia la* ho'i 'oe」のところは、その視線の先に、しっとりとぬれながら(i ke anu o ka ua)かすかにふるえる花びら(ma*'e'ele ka 'ili)の気配が感じられるように思えたりとか……。

 すがすがしい風にそっとなびく花(のようなひと)。
 気持ちよさそうにゆれている(その姿は)、
 まさに天に届かんばかりの神聖さに満ちてもいて……。

 He pua pu*lamahia
 E ke ahe peawini
 Kapalili i ka 'olu
 He 'ihi lani po*'iu'iu ho'i kau


 すがすがしい風のそよぎによって(e ke ahe peawini)やさしくなでられている花が(he pua pu*lamahia)、気持ちよさそうにゆれている(kapalili i ka 'olu)……なんというか、花をみつめるまなざしがやさしさにあふれていて、いくらでもことばがわき上がってくる、そんな雰囲気があります。それにしても、この満ち足りた感じはなんなんだろう?!って感じなのですが、思い起こすだけでやさしい気持ちになれる、そんなひとなのかもしれませんね。天からの授かりもの(he 'ihi lani)かと思われるほどすばらしく輝きに満ちたそのひとは、きっと大きな愛でもってなにもかも包んでくれる、そんな特別な存在に違いありません。

 こころのなかに、ムクムクっとわき上がってくるようなこの感じ……。
 それが、もういとおしい恋人そのものってところかな。
 特別なleiというか、天にすまう(神聖な)花というか。
 そう、誇らしく捧げ持っていたくなるような……。

 'O ke ko'i'i o loko
 Ku'u huapala
 He lei hiwahiwa, ka pua 'ano lani
 Kau i ka hano o luna

 ここまで、花(pua)にたとえられてきたあなたのことが、ここでは「huapala」と呼ばれています。「Huapala」は、恋人や愛するひとを意味することばですが、文字通りの意味は「熟れた果実」。そう読むと、かなり官能的な表現のようにも思えてきますが、その恋人の存在が、こころのなかにわき上がってくる思い('o ke ko'i'i o loko)そのものだと歌われているわけですね。そして、この「ke ko'i'i」は、男性のからだのある部分が立ち上がってくることを暗に意味するものでもあるようで……そんな生々しい表現のあとだからでしょうか、その特別なひとをleiにたとえて(he lei hiwahiwa)、それは「天のように神聖な場所に咲く花みたいなものかな」(ka pua 'ano lani)*と、ちょっと距離をおいて眺めているような描写が続きます。そして、そのleiを「うやうやしく捧げ持つ」(kau i ka hano o luna)とおさめられるあたり、歌詞そのものがフラのモーションのようにも思えるところがありますね。

 ここでこの歌のテーマを伝えようと思う。
 特別な花(であるあなた)のために……。
 かぐわしさ(と魅力)に満ちた花(のその香りを)、
 こうしてそっと楽しんでみたりしながら……。
 
 Eia ka puana aloha e*
 No ka pua auali'i
 'O ku'u pua 'ala onaona
 I ka ihu

 愛するあなたに、(この気持ちを)届けたい。
 いつも思い続けているあなたへ、この歌を捧げます。

 Hui
 Ku'u lei aloha, 'auhea 'oe
 E ku'u pilialoha, he mele nou

 多くのハワイアンソングと同様に、ここでも歌のテーマ(ka puana)ということばが登場します**。でも、あれっ?!と思ったのは、ここまでの歌詞には含まれていない内容が歌われていること。そう、花の香りです('ala onaona)。「I ka ihu」(鼻で)で締めくくられているせいか、ただ眺めるだけでなく、その花にうんと近づいて、かぐわしい空気を思いっきり吸い込んでいるような、なかば夢見心地の情景も目に浮かびます。そして、ハワイ語では、「ka ihu」が「kiss」の意味で用いられることもあることからすると、思いを遂げたことの象徴だったりするのかも(?)と思ってみたり……。なんにせよ、これ以上にはないと思われるほどに美しい表現が、その思いのまっすぐさの証(あかし)でもあるように思われる『Ka Pua 'Ano Lani』。じっくり味わうほどに、生きた思いを伝えることばの心地よさが堪能できる一曲です。

by Kuana Torres Kahele

*:このフレーズに含まれる「'ano」に「a kind of」「a sort of」(ある種の~)という意味があることから、「~みたいなもの」というニュアンスで訳してみました。
**歌の最後で「ka puana」(テーマ、大切な内容)が語られる際、ハワイアンソングでは1番の歌詞が繰り返されることが多く、とくにトラディショナルソングにその傾向が強いような印象があります。もっとも、「ka puana」が繰り返されるもともとの意味は、歌全体に込められた思いをもう一度感じてほしいという呼びかけでもあるので、表現方法は若干違いますが、『Ka Pua 'Ano Lani』のなかにも、そんなmeleの伝統的な形式は生きているものと思われます。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。