Aloha ka nohona o ke kuwahiwi I ke alo o ka 'o*pua kau kualono Mo*hala ke aloha i ka 'Ulalena I kiawe ha'aheo i ka nahele
I laila ka 'ano'i i ka malu o ke ao Noho i ke onaona i ka ua
いつからか、こころの引き出しにそっとしまってある大切な思いを、ひとつ、またひとつ取り出しながらことばが選ばれているような感じがあって、なんとなくmeleが生まれる瞬間に立ち合っているような気にさせられる『Kawaiokalena』。次のバースに登場する場所、Pi'iholoがこの歌の舞台のようですが、ひそやかな'Ulalenaの雨が、誇りに満ちてただよう流れになって(i kiawe ha'aheo)、森の木々のなかを(i ka nahele)ただようなんて、いったいどんなところなんでしょうか……。
Ka*kua Pi'iholo i ka 'o*nohi Hoa 'ia e ka makani, he Kiu 'A'ahu i ka ua lei koko 'ula Uhia a ha*li'i lua i ke kula
Pi'iholoは、Maui島の東側、Ha'iku*地方に位置する山の名前。2,260フィート(約700メートル)とそれほど高くはないものの、Kiu(Kiumoenahele)と呼ばれる北風の通り道であるその場所は、ひんやりとした空気がただよい、雲におおわれたかと思うとふいに'Ulalenaの雨にやさしくつつまれもする、そんな自然にいだかれた(hoa'ia)空間がひろがる場所のようです。そして、ときには、その山肌が虹に(i ka 'o*nohi)いろどられ、色づいた水滴の帯が、まるでleiのようにかかることもある(i ka ua lei koko 'ula)*……。「Ka*kua 」(ドレープ状になった、ひだを寄せる)や、「'a'ahu」(ケープをかける)といった、衣服を身につけるさまを連想させることばも用いられていて、なんとなく、Pi'iholoの山を貴婦人のようにながめているような、そんな雰囲気もあります。
E maliu mai 'oe, e ku'u aloha Ku'u hoa i ka hau anu o ia uka Puana ke aloha poina 'ole 'O Kawaiokalena la* he inoa
最後に、「聞いてください(listen!)」(e maliu mai 'oe)と、愛するなにものかへの呼びかけ(e ku'u aloha)で締めくくられる『Kawaiokalena』。「Ku'u hoa」とも呼ばれるその愛の対象は、ここまで語られてきたその山の(o ia uka)、ひんやりとした空気につつまれている(i ka hau anu)といいますが、結局、Kawaiokalenaってなにものなんでしょうか……。「'O Kawaiokalena la* he inoa」(この歌はKawaiokalenaに捧げるhe mele inoaです)**なんて締めくくられかたもするので、山の上に住んでるひとなのか?!と思ってしまいそうですが、CDにある作者のことばを読むと、実は「ka-wai-o-kalena」、つまり、Kalenaという名の泉のことが歌われているようです。 そのPi'iholoにあるKalenaの泉は、その昔、旅する貴人(ali'i)がその極上のわき水でしばしくつろいだような、美しくも荘厳な場所だったといいます。そして、そんな何世代にもわたって伝えられ、そこにたたみこまれてきた歴史を感じつつその場所にたたずむときに呼び覚まされる思いが、『Kawaiokalena』には表現されてもいるようです。「ぼくらは、すばらしい宝物みたいなものを求めて世界を旅するけれど、心というか精神的な部分では、いつも先祖たちの歴史がきざまれた場所により所があるものだと思う」(Keali'i Reichel、訳は著者)。こんなふうに、自分のルーツがある場所は、父、母(makua)にはじめて出会った頃の記憶さえ越えて、はてしなく遠い、でもなぜかわが家のようになつかしくもあるような、深く静かな精神の古層へといざなうようなところがあるのかもしれません***。そう、そこではじめて「na* akua」(神々)に出会いもするような……****。おそらく、Keali'I Reichelが「さぁ、われわれが生を受けた場所への愛をともに味わおう。われわれがhomeと呼ぶ、この場所への思いを」(著者訳)と語ってもいる場所は、ひとびと(ka*naka)と神的なもの(akua)との結節点となるような、場所('a*ina)のなかでもとびきり神聖で特別なところではないかと思われます。というわけで、どう考えても、ハワイには美しい風景があるというだけの歌ではなさそうな気がしてきた『Kawaiokalena』。自分が暮らしてきた場所や、そこにかつて生きたひとびととの時間を超えたつながりみたいなものを、これまであまりにも意識してこなかった私ですが、それでも、遠い記憶のなかに確かにある原風景のようなものを思い起こしながら、あれが私にとっての「Kawaiokalena」でもあるだろうか……なんてことを考えはじめています。
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