He Lei No Kamaile

He Lei No Kamaile




A Special Evening with Keali'i Reichel...Halau Kala'akeakauikawekiu Wahine dancing to He Lei No Kamaile at the Kahilu Theater in Waimea on June 14, 2014.



 祝福の雨に飾られるようにぬれるKohalaの大地。
 (そこには)'A*pa'apa'aの風が吹きもして。
 そう、まるでKokoikiのまちを讃えるように。
 (そして、そんなすべてを)つなげ大切に守ってきたのが、
 あなた、(愛する祖母)Kamaileそのひとなのです。

 Lei Kohala i ka ua
 Ka 'A*pa'apa'a
 E papahi ana ia* Kokoiki
 I hi*pu'u 'ia
 Hi'ilei 'ia mai
 E 'oe
 E Kamaile e*

 静かに目を閉じるだけで記憶の底から立ち上がってくる……そんななつかしくも美しい風景が、ことばがわき上がるままに描写されているように思われる『He Lei No Kamaile』。大地が雨にぬれるさまを、leiに飾られているようだと表現する冒頭のフレーズが美しすぎて、しばらくその詩的空間にひたっていたいと思ってしまう……そんな不思議な魅力が、この歌にはあるように思ったりします。しかも、なにか途轍もなく深い思いが表出されそうな予感もただよっていて、慎重に選ばれたことをうかがわせることばの連なりが、一語、一語重ねられるたびに気持ちがかき立てられていきます。そうして、いつの間にか、すっかり歌の世界に引き込まれてしまうのですが、重要なのは、そのKokoikiという場所に堆積してきたすばらしさがまるごと守られ(hi*pu'u 'ia)、大切にleiに編むようにつなぎ、引き継がれてきたのも(hi'ilei 'ia mai)、祖母、Kamaileのおかげであるということ……そんな、作者Keali'ileichelの熱い思いが、おだやかに、でも不思議な力強さをともないながら語られていきます。

 Pa*'iaのまちは穏やかさただようところ。
 ココナツの林に飾られ守られてもいるようで。
 そして、いつも海の水しぶきに包まれてもいる。
 (そんなすべてが)連なって、
 この世界が(命を)与えられてもいるよう。
 (そして)それもあなた、
 そう、(私の祖母)Kamaileのおかげなのです。

 Lei Pa*'ia i ka malu
 I ka ulu niu
 Ha*inu mau 'ia
 Me ka huna kai
 I huia mai
 A puia* no* ke ao
 E 'oe
 E Kamaile e*

 一番に登場したKokoiki*は、ハワイ島の北西部、Kohalaにある海沿いのまちなのですが、二番でも海に近いまちの様子が描かれているようです。ですが、「(海辺に)ココナツの木がまちをleiで飾るように連なっている」とされるところは、ハワイ島ではみられない風景かもしれない……そんなことを思いながら調べてみると、このPa*'iaというまちは、マウイ島の北側、島が窪んだような形をしているあたりにあることがわかりました。そして、Kokoiki同様、このPa*'iaについても、「(自然の)leiに飾られている」といいたくなるほどのすばらしさが保たれてきたのは、祖母であるKamaileのおかげなのだと歌われます。
 こんなふうに、Kokoiki、Pa*'iaのそれぞれについて、その土地ならではの風物が描かれているのですが、Kokoikiでは雨(ka ua)とそれを巻き上げもするであろう風('A*pa'apa'a)、Pa*'iaでは海から立ち上がってくる水しぶき(ka huna kai)と、いずれも水(ka wai)のある風景が選ばれていることがわかります。水といえばこの世界を循環するものであり、地表の大部分をおおうものでもあって……とイメージは尽きませんが、「この世界にしみこんでいく」(puia* no* ke ao)のところに、まるで原始の海や大地から命が誕生する瞬間を思わせるような、壮大な光景をみたような気がしたことから、「この世界が(命を)与えられて」と訳してみました。そんな太古の昔から連綿と続いてきた命の連なりのはてしなさを連想させる一方で、その連なりを「(祖母)Kamaileのおかげです」といってしまうのもどうなんだろう!?と思わないでもありません。でも、彼はそう感じているんですね。というか、直接、感謝を述べることができるのは彼女だけ、ともいえるでしょうか。その連なりのいわば末端のところに生かされている、この「わたし」にとっては……。
 
 あなたの愛はleiのように連なっている。
 それは、まるで(命の)装飾品のよう。
 そう、生きとし生けるものの美しさそのものでもあるような。
 (そのすべてを)しっかり抱きしめて、
 すばらしき(伝統の)宝を身につけようと思う。
 (そして、それを可能にするのも)あなた。
 (私の祖母)Kamaileのおかげなのです。

 He lei ho'i ko* aloha
 He ka*hiko ia
 E nani ai ke ola
 Ke pu*'ili 'ia
 E lei 'ia mai
 Ia wehi kamahoi
 E 'oe
 E Kamaile e*

 CDのブックレットにある説明によると、Keali'i Reichelの祖母、Kamaileにささげられたこの歌は、彼女が生まれ育った土地、および彼女に連なる家族の系譜が語られているものだといいます。だとすると、『He Lei No Kamaile』(文字通りの訳は「Kamaileのためのlei」)というタイトルには、いくつもの意味があるのかもしれませんね。祖母Kamaileに伝えたい思いを表現することばの連なりであると同時に、KamaileもKeali'i Reichelも含めた、大きな命の連なりでもあるようなlei……。そこまでイメージをふくらませてみると、「lei Kohala i ka ua」(雨のleiに飾られたKohala)といった美しい表現の、ホントウの意味がみえてくるような気もしてきます。

 (chant)
 Poli'ahuはleiに身を包んでいる。
 Maileの大きな葉や小さな葉、
 香りのいいものや、丸い葉(といった、あらゆる神聖さに)……。
 さぁ、そしてもう一度あなたの名を呼ぼう。
 どうか、答えてほしいと……。
 
 大いなる感謝の気持ちでもって風景をながめたとき、この世の大切なことのすべてが、まるで愛する祖母につながっているように思えた祝福すべき瞬間……そんな稀有なひとときの感動が表現されているのが、このPoli'ahuのoliではないかと思ったりします。そして、それぞれに形を異にするmaileの描写は、祖母Kamaileへのさまざまな思い、あるいは思わず見上げたくなるその存在への敬意をあらわしているのではないかとも……。
Poli'ahuといえば、白い雪をいただくMauna Kea山を象徴する女神の名。晴れた日には、その荘厳な姿が、Kohalaのまちからも見わたせるのではないかと思われます。そんな、彼方に広がる空間も、まるで手が届きそうなほどくっきり見えたりするハワイの風景は、誰のものでもない大地の記憶さえ、なつかしく思い起こさせてくれるような、そんなところがあるのかもしれません。

*:Kokoikiは、Kamehameha一世生誕の地として知られている場所でもあるようです。

words: Puakea Nogelmeier
music & oli: Keali'i Reichel
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。