Henehene Kou 'Aka

Henehene Kou 'Aka
 




 きみが笑顔でいる(のをみてると)、
 あ~うれしいんだなぁって思う。
 いつものことなんだけどね、
 きみとぼくにとっては。

 Henehene kou 'aka
 Kou le'ale'a paha
 He mea ma'a mau ia
 For you and I

 軽快に刻まれるウクレレの音色にのせて、ある日の気分が鼻歌みたいに歌われたような感じのある『Henehene Kou 'Aka』。印象的な「he mea ma'a mau ia」(いつものことなんだけどね)というフレーズからも、なんてことのない日常が描写されていることがうかがえますが、それにしても気になる「for you and I」と繰り返される二人の関係。いったい、どういう間柄なんでしょうか……。

 バス(に乗ったらさ)、
 きみのからだが揺れたりしてね……。
 (でも)どうってことないさ。
 そう、きみとぼくにとっては……。

 Ka'a uila ma*ke*neki
 Ho*'oni'oni ku kino
 He mea ma'a mau ia
 For you and I

 このあとに続く地名からわかるのですが、ここに登場するバス(ka'a uila ma*ke*neki)は、O'ahu島のHonoluluあたりを走る路線バス。そして、「きみとぼく」と歌われる二人はKamehameha Schoolの学生で、バスに乗って学校からKaka'akoへ向かっていたようです*。1920年代はじめのころといいますから、まだでこぼこ道が多かったんでしょうか。バスに乗るのが初めてだったという女の子(Louise)がバスに揺られてバランスを崩し、男の子(Pono Beamer)が思わず彼女のからだに腕をまわしたところ、バスよりも彼の行動に驚いた彼女は、いきなりバスを飛び出してしまったんだとか。放課後のデートだったとしたら、Kamehameha Schoolの学生がたくさん乗り合わせていたはずで、ひとめを気にして恥ずかしくなったのかもしれません。一方、びっくりさせてしまった彼も相当困ったはずですが、こんな殺し文句で彼女をバスに連れ帰ったといいます。「ねぇ、ぼくらおばさん特製のビーフシチューを食べに行くところだったよね?」。う~ん、いかにもティーンエイジャーって感じ……。

 ぼくたちKaka'akoでね、
 ビーフシチューを食べたりするんだ。
 といっても、どうってことないんだけどさ。
 そう、きみとぼくにとっては。

 I Kaka'ako ma*ko
 'Ai ana i ka pipi stew
 He mea ma'a mau ia
 For you and I

 ぼくたちWaiki*ki*でね、
 海水浴をしたりするんだ。
 (でも)これもいつものことだよね。
 きみとぼくにとっては……。

 I Waiki*ki* ma*kou
 'Au ana i ke kai
 He mea ma'a mau ia
 For you and I

 ぼくたちKapahuluでさ、
 Li*poaの海藻を食べたりとかね。
 (というか)これもいつものことなんだ。
 きみとぼくの関係だもの。

 I Kapahulu ma*kou
 'Ai ana i ka li*poa
 He mea ma'a mau ia
 For you and I

 ぼくら目と目で見つめ合ったことはあるけど、
 まだ唇を重ねたことはないよね。
 あぁ、でも、君ってなんていとおしいんだろ。
 きっと迎えに行くからね。

 Our eyes have met
 Our lips not yet
 But oh, you sweet thing
 I'm gonna get you yet

 「Kaka'akoでぼくらは(シチューを食べた)」(i Kaka'ako ma*ko)と同じ仕方で、あとに続くバースにも、「i Waiki*ki* ma*kou」「i Kapahulu ma*kou」と、場所だけが変わって「ぼくら」(ma*kou)でしたことが語られています。海だって食事会だって、大好きなひとと一緒ならそれだけで楽しいはずですが、注目したいのは「ma*kou」(三人以上の代名詞)で語られていること**。ということは、まだ二人きりでデートする間柄じゃなかったのかも……そう思うと、はじめのほうで語られた、バスの車中でのハプニングもなるほどなぁって感じです。そして、「ぼく、きっと君をゲットするからね」(I'm gonna get you yet)のところは、日記が淡々と読まれているようなほかのバースとはちょっと雰囲気が異なりますが、そのことば通り、この二人はのちにめでたくゴールイン***。なるほど、そんな若い恋人たちの、ハッピーエンドの恋物語のはじまりが語られている歌だったんですね。

 さぁ、もう一度ぼくのこの思いをこころに響かせてみて。
 きみがうれしそうにしてる(ってことがぼくの幸せで)、
 それが日常だなんて、もう最高って感じ。
 そう、きみとぼく二人にとっては……。

 Ha'ina mai ka puana
 Kou le'ale'a paha
 He mea ma'a mau ia
 For you and I

 バスでゆられたこと、一緒にシチューを食べたこと、Waiki*ki*の海辺で遊んだこと……そんなドキドキ、ワクワクの楽しいデートは、まだちょっと距離のある恋人たちだけに許されるもの。そして、そのとびきり特別なときを過ごしながら、二人の関係が少しずつ近くなっていくときの、天にも昇るような幸福感が歌われているように思われる『Henehene Kou 'Aka』。と同時に「これっていつものことなんだよ」(he mea ma'a mau ia)なんていいながら、ちょっと背伸びをしている姿が微笑ましくもあります。そうやって、少しずつ、いいときも、うまくいかないときもすべてをともにする二人になっていった、そんなステキなカップルだったに違いないと想像しています。

※歌にまつわるエピソードついては、以下のサイトを参考にしました。
http://www.huapala.org/Hea/Henehene_Kou_Aka.html

*:Kaka'akoはWaiki*ki*の西側、Ala Moanaにも近い海沿いにあるエリア。
**:二人の場合は「ma*ua」が用いられます。
***:彼らの娘、Winona Desha Beamer(1923- 2008)は、約40年間、Kamehameha Schools で教鞭をとるなど、ハワイ文化を継承する活動を生涯にわたって続けたようです。また、彼女の父Pono Beamerの家系は、多くのミュージシャンを輩出していることでも知られています。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。