Adios Ke Aloha




 静まり返った夜にこそふさわしい、ぼくの大切なひと。
 (あなたはまるで)月の光がそっと連れてくる気配のよう。
 そしていま、その雰囲気がただようのを感じている。
 いつになったら、(ぼくの思いは)きみに届くんだろう?って気分で……。

 E kuʻu belle o ka pō laʻilaʻi
 Ka lalawe mālie a ka mahina
 Kōaniani mai nei e ke ahe
 Āhea ʻoe e hoʻolono mai?


 (hui)
 ねぇ、いったい、いつになったら、
 この思いはきみに届くんだろう?
 こんなに切なくひびく(歌声のような)思いは……。
 アディオス、アディオス、愛するひと。

 Āhea ʻoe, āhea ʻoe
 ʻOe e hoʻolono mai?
 I nei leo nahenahe
 Adios, adios ke aloha

 しなやかに流れるメロディと繊細なことば運びが、愛するそのひとを大切に思う気持ちそのもののようにこころに響く『Adios Ke Aloha』。「いつになったら……?」(Āhea ʻoe……?)の繰り返しが、絶望的に行き場のない思いを増幅させながら、それでも歌うような声(leo nahenahe)で投げかけることばが「adios」(さようなら)だなんて……と思ってしまいますが、永遠に届かない手紙のピリオドは、別れのことばしかないんですね。そんな思いを抱えながら物思いにふける夜の、なんともわびしい気分だけがただよっているような印象が、この歌にはあります。美しすぎる月夜の晩に、いとしいひとを思いながらただひとり夜空をながめていると、夜のしずけささえあのひとの気配に思えてしまうんでしょうか……ひりひりする胸の痛みまで、こちらに伝わってくるような気がしてきます……。

『Adios Ke Aloha』(Prince William Pitt Leleiōhoku)について、zoomオンライン講座で解説しています。アーカイブ(録画)による受講のご案内は、こちらをご覧ください。
http://sukimano.com/blog-entry-650.html

参考文献
Kanaheke: Hawaiin Music and musicians-an ilustrated history. Honolulu, University of Hawaii Press, pp224-225, 1979

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コメント

バニラ

懐かしい曲です。
OUCで、習った事を思いだしました。
切なさがいいんですね~♪
アディオス、アディオス…

隙間のりりー

OUC!!
バニラさん

さっそくコメントありがとうございます!
そうですか、習いはったんですね~。
またカンレレでも聴かせてください。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。