Moanike'ala

Moanike'ala





Ku'uipo Kumukahi with Dr. Isaac Akuna on steel, Joe Winchester on 'ukulele, and Kimo Stone on bass


 どこにいるの?Moanike'ala。
 ぼくにとっては一番身近なパートナー(なんだけど)。
 で、なんなの?知らないよ~みたいなそのそぶり。
 Pu'ulenaの風さん(それはないんじゃないかな)……。

 'Auhea 'o Moanike'ala
 Hoa pili o mi* nei
 A he aha ka*u hana e pa*weo nei?
 E ka makani Pu'ulena

 いまにも踊りだしそうな喜びに満ちた感じから、恋の予感に胸躍らせる誰かの、人生最高のトキメキみたいなものが伝わってくる『Moanike'ala』。それにしても、「なんなのその態度!?」なんて呼びかけている相手が風(makani Pu'ulena)っていうのが不思議な感じ。しかも、Pu'ulenaは、Ki*lauea火山に吹く硫黄臭をともなう風で、おそらく、決して心地よいとはいえないものだと思われます。もしかすると、ときには視界をさえぎるようなこともあったりするかもしれませんね。そんなあまりありがたくない風なのだとしたら、ホントは恋路をじゃまする誰かのことだったりするのかも……。

 (hui)
 僕はこれでいいと思ってるんだ。
 きみはためらい気味なんだけれども。
 (だめだよ)早く僕のもとへ、二人がちゃんと結ばれるように。
 僕にやすらぎをおくれよ、ねっ、いいだろ……。

 Kuhi au a he pono ke*ia
 A*u e 'apa'apa mai nei
 E wiki mai 'oe i pono ka*ua
 I 'olu ho'i au e ke hoa

 ねぇきみ、急いでよ(e wiki mai 'oe)、ぼくら二人がちゃんと結ばれるように(i pono ka*ua)……う~ん、この誰かさん、かなりじらされてますね(笑)。そして次のバースでは、そんなはやる気持ちを抑えられないまま、悶々と(?)妄想しているあれやこれのことが、美しい描写でもって語られているようです。
 
 僕はもう、みたくてうずうずしてるの。
 その踊るようにわき上がるという泉の水を……。
 (あるいは)虹をいつもともなうKuahineの雨とか。
 高くそびえる彼の地(にみられるあこがれの風景さ)。

 Ho'ohihi aku au e 'ike
 Ia wai ma*punapuna
 Ua Kuahine pi'o a*nuenue
 O ia uka 'iu'iu

 まだみぬ愛の対象のことを、見て確かめたくて仕方ない、そんな感じでしょうか。知らないからこそ燃え上がる恋心……知らないならそのすばらしさのこともホントウにはわかっていないはずですが、人間の欲望には、どうも理屈を超えた不思議なところがあるようです。それはともかく、ブクブクとおいしい水がわき上がる豊かな泉って、いったいなんの比喩なのか……きっと、尽きることのない欲望を満たしてくれる、とびきりすてきな何か(?)のことだと思われます。一方、後半の虹をともなうKuahine、小高い丘に降るとされるそれは、O'ahu島のMa*noaに降る雨の名前。Ma*noaといえば、Kahalaopunaという、その土地に降る雨と風との間に生まれた伝説の美女で知られる場所でもあります。そんな、誰もがその美しさを認める女性のイメージとだぶらせたりもしながら、この誰かはいとしいひとに恋い焦がれているようです。高嶺の花というよりは、ごく身近なひと(hoa pili o mi* nei)と歌われていますが、好きになったひとのことは、やっぱり世界でただひとりの女神のように思えるんですね。

 さぁ、きみを讃えたこの歌(もそろそろしめくくり)。
 (きみのその)香りにやられちゃったんだよね。
 Lehuaの花の蜜みたいな(きみの魅力に)……。
 鳥たちが無心に求めたりする、おいしいごちそう(みたいなものかな)。

 Eia ho'i au ua wehi
 Ua li'a i ke onaona
 Ia wai 'ono a ka lehua
 Wai mu*ki*ki* a ka manu

 Lehuaのあまい蜜(wai 'ono a ka lehua)と、それを無心に吸い求める鳥の姿(wai mu*ki*ki* a ka manu)……ここでは、愛し愛される関係、いくら求め与えあっても尽きない欲望が、美しい自然の風景に重ね合わせて語られているようです。それにしても、この歌の曇りのない無邪気な感じ、まるで香る風(moanike'ala)とたわむれるような雰囲気は、どんな人間観、あるいは世界観からくるんだろう?と思ってしまいます。男女の性愛を包み隠すべきものとするような価値観とは無縁の、人間の生をまるごと肯定する倫理観みたいなものが、しっかり根を下ろしているというか……。そんなことを考えながら、人間の愛の営みも、この世界にある無数の交わりのひとつであること、そして、本来は生まれたての子どものように自由で、もっとおおらかなものなのかもしれないと思ったりもした、そんな『Moanike'ala』なのでした。

by Leleio*hoku
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。