'Aia la* i ka nani e* I ka malu pumehana i ka la'i e* E maliu mai i ka leo e* ka leo heahea i na* manu e*
目を閉じると、おだやかで温かい空気におおわれて(i ka malu pumehana i ka la'i e*)と歌われるその場所に吹く風が、美しいメロディにのっていまにも届きそうに思われる『He Lei No 'Aulani』。2011年にオープンしたWalt Disney Companyによるリゾート施設、「'Aulani, a Disney Resort & Spa」のために作られたものだといいますが、いきなりその世界に引き込まれてしまうこの感じ、一歩足を踏み入れたらそこはもう夢の国!みたいな、ディズニーの世界観そのものなんでしょうか。さぁ、鳥たちを呼ぶあの声に、じっと耳をすませてみて。鳥たちが誘われるように、ひとときこの心地よい空間を楽しみませんか、みたいな……。コマーシャルソングなんだとしても、ここまで美しいとゆるしてもいいかなって気にさせられますね。 建物などに伝統的なハワイアンスタイルを取り入れるといった、デザイン面での工夫だけでなく、ハワイ文化や伝統を理解したスタッフによるホンモノのもてなしができるよう、徹底的にハワイをリサーチするところからはじまっているという'Aulaniリゾート。ハワイアンミュージックにフラ、歴史、アートやクラフトまで、いろんな角度からハワイを楽しめるプログラムもあるようです。きっとそこには、ハワイ好きにはたまらない夢のような空間があるに違いない……と想像しています。
Ia* 'oe e* ke*ia wehi e* Puana ke aloha pau 'ole e* E kau mai i ka lei e* Nou e ke kama hele i hiki mai e*
「Maile」といえば、ハワイでは古代からさまざまな神事に用いられ、神話にも登場する植物。ここではおそらく、土地に宿るスピリットの化身的な存在として歌われているものと思われます。リアルなハワイ体験を求めるひとをターゲットにするリゾートとしては、なによりその土地そのもののよさをアピールしたい……そんな意図もこの歌には表現されているのかもしれません。先のLa'akonaに続き、O'ahuの国生み神話でもあるんだろうか(?)と思わせる「Lua」という固有名も登場し**、そこに培われてきた伝統を伝えたいという思いもありそうです。そんな由緒ある土地柄ではありますが、Ko 'Olinaが本格的にリゾート地として開発され始めたのは、1980年代半ばと近年になってからのこと。日本の企業家も深く関わっており、不動産バブルの崩壊後、開発が中断した時期もあったようですが、90年代末に再開し、現在は開発予定の26万ヘクタールのうちの約半分が完成した段階なんだとか。そんな、まだまだ成長なかばのリゾート地に、失われたハワイの記憶をよみがえらせるべく誕生した'Aulaniリゾート。生まれたてという意味では赤ん坊のようなその場所で、子どものこころでハワイを楽しんでみたい……そんな妄想をかきたられてしまったという意味では、やはり最高のCMソングなのかもしれないと思ってしまった、『He Lei No 'Aulani』なのでした。
*:Ko 'Olinaには、ハワイ王朝最後の女王、Lili'uokalaniが滞在したという記録もあるようですが、19世紀末の王朝崩壊後、Ko 'Olinaも含めEwa地域の大部分が、外国資本によるサトウキビのプランテーションに姿を変えます。その間、Ko 'Olinaはプランテーションオーナーのプライベートビーチでしたが、第二次大戦中は、米軍兵士たちのリクリエーション施設として提供されてもいたようです。 **:「ここはLuaが生んだO'ahu」('o O'ahu a Lua)と語られる「Lua」は、おそらく固有名詞であろうと思われますが、先に登場した人物、La'akona同様、詳細は残念ながら不明。
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