Hilo Medley

Mahaolo E Hilo Hanakahi/Hilo E*(Hilo Medley)





 Hiloのまちは、ホントすばらしいところ。
 Pana'ewaのlehuaと、忘れられない旅の感動でもって……。

 Mahalo e Hilohanakahi
 Me ka lehua a'o Pana'ewa
 Me ke aloha la, poina'ole
 O ka malihini

 いきなり「Hiloってすばらしい!」(mahalo~!)*ではじまるパワー全開な感じが、その感動を伝えようとするだれかの、真っ直ぐな思いそのもののように心に響く『Mahaolo E Hilo Hanakahi』。Pana'ewaのlehuaに象徴される、美しい自然あふれるHilo……そんな、「ka malihini」(旅人)としてそこで過ごした記憶をたどると、忘れることのできない思い(ke aloha)がありありとよみがえってくるようです。きっと、胸が熱くなる思い出いっぱいの、Hiloのまちとの出合いがあったに違いありません。

 美しい景色に目をやると、まさに緑生い茂るさまがすばらしく、
 (もちろんそこには)alohaにあふれるたくさんのひとびとが暮らしてもいて……。

 Ua nani uluwehiwehi
 Ke 'ike aku i ka nani
 Me na* kini makamaka aloha
 O ka 'a*ina

 Hiloといえば、Hawai'i島の東側、海側から吹く水蒸気をいっぱい含む風のおかげで、一年を通して雨の多い地域にあります。それで、生い茂る緑がすばらしい(uluwehiwehi)土地でもあるわけですが、その美しさをより感動的にしてくれるのは、なんといってもその土地に住むこころ温かいひとびと(makamaka aloha o ka 'a*ina)……そう、旅の喜びは、なによりひととの出会いとともにあるものなんですね。

 (Hiloは)数ある花のような存在のなかでも最高といっていいかも。
 Pana'ewaのlehuaと、かぐわしいmaile……とくれば、
 それはそれはもう、忘れられない体験なのです。

 'O 'oe ka heke o na* pua
 Me ka lehua a'o Pana'ewa
 Me ka maile 'ala onaona la
 Poina'ole 'ia

 もう一度この思いをこころに響かせてみて。
 Hanakahiで名高いHiloは、ホントに素敵なところ。
 Alohaにあふれるたくさんのひとびととともに(ある幸せをかみしめながら……)。
 ホントにいい旅だったな(と思う)……。

 Ha'ina mai ka puana
 Mahalo e Hilo Hanakahi
 Me na* kini makamaka aloha
 Mahalo a nui

 Pana'ewaは、Hiloのまちの山側に広がる緑豊かな土地。実際に山にわけいって目にしたかどうかはともかく、ここでは、そこに自生する美しいlehuaと香るmaileが、幸せな旅の記憶そのものとして語られているように感じられます。もっといえば、その土地に育つlehuaやmaileは、大地にしっかり根を張って生きるHiloのひとびとのことだったりするかもしれないとも……。ここであらためて考えておきたいと思ったのが、ハワイのひとびとにとっての自然観。火の神Peleをはじめ、さまざまな名でもって語られるハワイの神々の多くが、自然にそなわった底知れぬ力の描写だったりすることからすると、自然は人間よりもはるかに神に近い存在としてとらえられていると思われます。だとすると、誰かを自然にたとえることは、そのひとへの最大の賛辞にもなりそうかなと……。
 そんなことをあれこれ思いめぐらせる一方で、「Hiloといえばlehuaとmaile」というフレーズには、美しい花を手にするときの晴れやかさや高揚感でもって、Hiloのまちを歩いたときのワクワク感なんかが表現されているように思ったりもします。そう、日常からひととき解放される、旅ならではのあの気分、あのうれしくて仕方ない感じが、この歌にはギュットつまっている……。

 Hilo、Hilo……といえばHanakahiね。
 そう、(だからこうして)あなたの名前を呼んでみる。
 Kani lehuaの雨に包まれるふるさとだもの。
 そのかぐわしさ、美しい花とともにあるような。
 
 Hilo, Hilo, Hanakahi
 Eo* mai 'oe i kou inoa
 Home i ka ua kani lehua
 Me kona 'ala, pua nani e.

 そう、(lehuaは)Pana'ewaのmaileとともに編まれるもの。
 そのうっとりする香りを、思いっきり楽しんだりとか……。

 そう、Hiloってすてきなところなのよ……。

 I wili 'ia me ka maile a'o Pana'ewa
 Me kona 'ala onaona i ka 'ihu

 Hilo nani e

 この『Hilo Medley』の後半では、John P. Watkinsによる『Mahaolo E Hilo Hanakahi』に続いて、まるでそれへの返歌のように、Kehau Tamureさんの『Hilo E*』が歌われています。もう、うれしくて楽しくて仕方ないといった雰囲気の前半とはうって変わった、ゆったりとこころに響くKehauさんの歌声。「ねっ、Hiloっていいところでしょう」みたいな語り口には、そこに暮らすひとならではの、あたりまえの日常をいとおしむ、おだやかで深い思いが感じられます。登場するキーワードは、メドレーの前半と変わらないにもかかわらず……。ですが、その表現は微妙に違ってますね。そう、Pana'ewaのLehuaとmaileは、なによりともに編まれるものであるとされます。この特別なleiは、Hiloから旅人への、alohaの贈り物だったりするんでしょうか。あるいは、まちに暮らすひとびとのこころが通う、温かいコミュニティの象徴でもあったりとか……。そんなことをあれこれ想像しながら、ふいにKani lehuaが降ってきたときの、Kehauさんのうれしそうな表情を思い起こしています。「ねっ、わかる!?これがHiloのKani lehuaの雨よ」……まるで、家族や友だちを紹介するみたいだったその雰囲気に、ハワイのひとならではの自然の感じ方があらわれていたように思い起こされます。もしかすると、あのときの私たちとKehauさんとのやりとりは、この『Hilo Medley』で表現されている、旅人(malihini)と土地の人(kama'a*ina)との応答でもあったかもしれないとも……。そんな感じで、思いがけず幸せな旅の記憶を反芻させられた、『Mahaolo E Hilo Hanakahi/Hilo E*』なのでした。

John P. Watkins/Kehau Tamure

*:「Mahalo」は、「ありがとう」と訳されることが多いハワイ語ですが、もともとは「賞賛する」「価値を認める」という意味を持つことばで、欧米化が進む過程で「thank you」の意味で用いられるようになったようです。

参考文献
Chun MN: No na* mamo-traditional and contemporary Hawaiian beliefs and practices. Honolulu, University of Hawai’i Press,
2011, p16
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。