Po*hai Ke Aloha

Po*hai Ke Aloha





 あふれる愛が(あなたを)とりまいてる。
 (それで)あなたの微笑みは、(なぜか)涙目になってしまうのね。
 (まるで)天からもたらされる雨が、あなたの頬をぬらすように……。

 Po*hai ke aloha la* i ke kino
 Ko* mino'aka mai me ka waimaka
 Kehakeha ka waipu'ilani
 Ho'opulu ana i ou papa*lina

 「愛が(あなたの)存在をとりまいている」(po*hai ke aloha la* i ke kino)という描写に、身もこころも満たされているだれかの、幸せいっぱいの笑顔が目に浮かぶような気がする『Po*hai Ke Aloh』。ですが、このフレーズに続く「ko* mino'aka」(あなたの笑顔)には、なぜか「ka waimaka」(涙)がともなうとされるのが不思議な感じ……*。もっとも、うれし泣きというのもありますし、悲しみや痛みだけでなく、ときには喜びや感動とともにあるのも「涙」でしょうか。少なくとも、「天からもたらされる水」(ka waipu'ilani)にたとえられていることからすると、その涙が「あなたの頬を」(i ou papa*lina)伝うさまは、涙のわけを知るひとにとって、どこか神々しさを思わせるものだったのかもしれません……。

 かみなり雲が近づいてきたわ。
 あの三本のhauの木のあたりにね。
 Kamanui(はお父さん)、Kamalani(はお母さん)、そしてKamaiki(は彼らの息子)……。
 海に生きるひとたちにとっては、家(のようにホッとする)風景だわ。

 Ka ne'e mai a ke ao hekili
 I ke alo o na* kumu hau 'ekolu
 Kamanui, Kamalani, Kamaiki
 Ka home o na* ali'i holokai

 「ほらみて、かみなり雲が近づいてきたわ……」。そんな感じで急に視界が広がって、ひろびろと風景を見わたすときの気持ちよさが感じられるフレーズが連なっています。1番のバースの、ある人物をクローズアップする感じとは少し雰囲気が異なりますが、この風景描写には、作者Lena Machadoと深いつながりのあった、あるファミリーへの思いが重ねられているんだとか。そう、「Kamanui、Kamalani、Kamaiki」と、それぞれ高さの異なる3本のhauの木が登場する箇所です。そして、先のバースで涙を流しつつ微笑んでいるとされた人物は、その家族のお父さん。つまり、「Kamanui」(大きなひと・木)にたとえられている、Mekia Kealaka'iそのひとなんですね。
 Mekiaは、Lena MachadoがRoyal Hawaiian Bandでソロシンガーとして活動をはじめた1920年代から、そのバンドマスターとして活躍していた人物です。まるで実の娘のように接してくれるMekiaは、Lenaにとって、音楽の師であるとともに精神的な支えでもあり、公私にわたって後ろだてになってくれたひとだったようです。Lenaが結婚してからも家族ぐるみのつきあいが続いたらしく、彼女にとっては、まさにお父さん的な存在だったのではないかと想像されます。
 Mekiaたちの家は、古くからハワイのネイティブのひとたちが暮らしていた海辺のコミュニティにあり、そこには漁業をなりわいとする漁師たちが多く暮らしていたようです。そして、この歌に登場する3本のhauの木は、Mekiaが家を建てたときに、庭の海から見える位置に植えられたものだったといいます。やがて大きく育ったそれらの木は、陸へ戻る船乗りたちにとって、いつしか海岸までの距離を測る目印になっていたとのこと。その3本の木が、「海に生きるひとたちには家のよう(に思える)」(ka home o na* ali'i holokai)ということは、海から帰ってきたときに、その木立をみながら「あ~帰ってきたんだなぁ」としみじみ思う……みたいな、家族の温かさの象徴でもあるような風景が、そこにはあったのではないかと想像されます。そしておそらく、Lena自身にとっては、愛にあふれるMekia家族への思いがわきあがる、そんな光景でもあったに違いないとも……。

 ねぇ、ぼくの大切なあなた、Mauiのバラのlei、
 まるで愛でもってつなげられたようなひと……。
 私のこころのなかにいつもいて、
 愛を満たしてくれている(そんなあなたを思いながら歌います……)。

 E o* mai ku'u lani, lei loke o Maui
 I ma*nai 'ia me ke aloha
 Mali 'ia iho i ka houpo
 A ke aloha i ho'oko* ai.

 ねぇ、ぼくの大切なひと(ku'u lani)……ここでは、作者Lena Machadoが、Mekiaになりかわり、その妻、Meleに呼びかけているようです。先のバースに登場した、二番目に大きなhauの木「Kamalani」は、この「ku'u lani」ということばにリンクしていると思われますが、さらに彼女は「Mauiのバラのlei」(lei loke o Maui)といいかえられてもいます。MeleがMaui島の出身ということで、島を象徴する花にたとえられたものと思われますが、alohaでもってつながるleiとは、もう存在そのものが愛って感じのひとだったのかもしれません。そんないとしいひとのことを思うと、自ずと涙があふれてくる……そう、歌の冒頭で、笑顔なのになぜか目はうるんでいたという描写は、Mekiaが妻、Meleのことを語るときの様子だったんですね。パートナーのことを口にするだけでこみ上げてくる思いがあったなんて、よほど深いきずなで結ばれた、こころ通いあう二人だったのでしょうか。そして、まるで、Mekia本人がのり移ったような、Lena Machado自身が歌う『Po*hai Ke Aloh』を聴くと、わき上がる思いとともに涙が頬をつたう様子が目に浮かぶような、なんともこころ洗われる気持ちにさせられます。
 Lena Machadoというひと、ぐっと対象にのめり込んでなにもかも自分の歌声で表現してしまう、そんな稀有なシンガーだったのではないかと想像しています。

*:記録されている歌のクレジットの年(1941年)が、Mekiaの妻Meleが亡くなった年でもあるため、妻を亡くした悲しみの涙ではないかと解釈されることも多いようです。ですが、Lena Machadoは楽曲を作って数年経ってからコピーライトを記すのが常だったらしく、この歌が作られたとき、Meleは健在だったとされています。

by Lena Machado

参考文献
Motta P: Lena Machado-Songbird of Hawaii-My Memories of Aunty Lena. Honolulu, Kamehameha Schools, 2006, pp167-171
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。