Lei ‘Ilima

Lei ‘Ilima




Mahi Beamer (1959)


 「大切なイリマのレイは、いつも心のなかにいて、私の体を美しく飾ってくれる。私はその美しさをいつもみていたい……」。そんなふうに、’ilimaのleiにたとえられた愛する人への思いが歌われる「Lei ‘Ilima」。「私こそがあなたのパートナー」と宣言されもする、熱い愛のメッセージが込められた歌です。
 ’Ilimaの花が歌われるものとしては、「Na* pua lei ‘ilima」のほうが有名かもしれませんが、こちらで歌われるlei ‘ilimaは「’O ka ‘ui ho’oheno o Ka*kuhihewa」(Ka*kuhihewa*の土地の愛すべき美しさ)の象徴であるとされ、恋人といった個人的な相手ではなく、Ka*kuhihewaの後に続くオアフの島の子どもたち(子孫)への思いが込められているようです。そのあたりの違いは、lei ‘ilimaの「na* pua」(花々)と、レイ単体ではなくレイを構成する花ひとつひとつが意識されているような、この歌のタイトルそのものにも表れているように感じます。こんなふうに、よく似たタイトルの歌でも、まったく内容が違うんですね。
 「Lei ‘Ilima」の歌詞からうかがうことはできませんが、この曲を作ったChales E. Kingは、クォーターながら、自分がハワイ人の血筋を受け継いでいることを大切にしていた人だったらしく、彼が音楽活動において大切にしていたのは、個人的な思いよりも、まずはハワイの文化を継承していくことだったようです。王族を祖母に持ち、リリウオカラニ女王が音楽の先生だなんて、なんだかスゴすぎ……ハワイ語はもとよりハワイ文化を深く理解するミュージシャンの一人として活躍するにいたったことも、なるほどって感じです。
 「ハワイのことを歌っていても、ハワイ語を数語用いているだけの歌はハワイアンソングとは言えない」……そんな彼の言葉がいまも伝えられています。ハワイの音楽をハワイ文化として守ることにプライドを持とう―それが、彼が「ハワイアン(ソング)」という言葉に込めた思いだったようです。この歌が作られた1926年といえば、アメリカ文化の影響を受けるなかで、haole song**が全盛だったころです。そんな時代に高い意識を持って活動していたミュージシャンがいたことで、後々まで歌い継がれるようなトラディショナルソングが、たくさん生み出されることになったのかもしれません。

* :オアフ島の有名な王族の名前で、オアフ島そのものを表わす言葉としても用いられる。
**:英語で歌われるハワイアンソング。

参考
Kanaheke: Hawaiin Music And Musicians-An Ilustrated History. The University Press Of Hawaii, 1979
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。