風の気配に面影を探してしまうほど、その愛するひとと(物理的に、あるいは気持ちのうえで)遠く隔たっているんだろうか……そんなことを思いながら聞くと、冒頭の「'auhea wale ana 'oe」(聞いてください)*という、ハワイアンソングのお決まりのフレーズも、いつになく心に響くように感じられます。そして、この慣用句が元々持っている意味を考え直してみたくなりました。あなたはどこにいるの?私はここにいるのに……相手との距離がかきたてる切ない気持ちが、短い歌詞のなかにギュッと凝縮されている、そんなギリギリのところでことばが選ばれている感じがこの歌にはあるように思います。そう、だれだって大好きなひととは、いつだって一緒にいたいもの。そしてできれば、こころを通わせたいと思うはず(noho ‘oe a mana’o mai)……。1916年に作られた歌だといいますが、人間のこころの基本的なありかたは、百年やそこらで変わるものではないようです。
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