ここに登場するUluhaimalamaは、O’ahu島の南側、Pauoaの山手のパンチボールにもほど近い場所で、Lili'uokalani女王が自らの土地を植物園として提供したエリアがある場所。そして、そのUluhaimalamaの丘に育つ花たち(nā pua o ka uka o Uluhaimalama)の美しさをいつもみている('ike mau i ka nani o~)と歌われる背景には、この歌を作ったとき、Uluhaimalamaから届けられる花だけを楽しみに、日々、無為にやり過ごすしかなかったというLili'uokalani女王が置かれた過酷な状況があったりします。どういうことかというと……1895年1月からの8カ月間、新政府に対する謀反を主導した疑いで罪に問われた彼女は、'Iolani宮殿に閉じこめられていたんですね。暫定政府のガードのもと宮殿を訪れるひともなく、届けられるものは、手紙も含めすべて検閲されるという生活を送っていた彼女に、かろうじて許されていたことのひとつが、Honolulu周辺に所有していた土地から花を届けてもらうことでした。そして、それはたいていPauoaのUluhaimalamaのものだったようですが、ある日のバスケットに、Paokalaniにある女王の私邸に育つ花が入っていた……という、そんなちょっとした出来事にこころ動かされて生まれたのがこの歌のようです。囚われの身で家にも帰れず、届けられるお花を包む新聞だけが情報源という、なんともこころ細い日々を過ごしていた女王にとって、その花たちとの再会は、なつかしさに胸がいっぱいになるひとときだったに違いありません……。
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