小高い場所(kuahiwi)に住んでいる、香るような面立ち(maka onaona)の、私の大切なパートナー(ku’u hoa)と、月が美しく輝くさま(’o ka pa* ko*nane a ka mahina)を眺めたい……そんな気持ちがストレートに歌われる『Ku’u hoa』。とにかく明るく元気なイメージがあって、満月の月明かりのようにまったく翳りを感じさせない曲ですが、実は、Pono Beamerがこの曲を作ったときの彼の「ku’u hoa」(パートナー)の状況は、そんなにハッピーではなかったようです。 Pono Beamerがこの歌を作ったのは、彼の奥さんであるLouiseが、culture consultantとしてメインランドに行く際に同行した旅先でのこと。Louise の仕事は、Bing Crosby主演の映画「Waikikii Wedding」*の撮影に協力することでしたが、現地でけがをしてしまい、1週間ほどスタジオでの仕事ができない……なんてことがあったようです。そんな状況で、Pono Beamerが大切なパートナーを思って作ったのが、この『Ku’u hoa』でした。仕事はいいから、もう二人で帰ろうよ(e ho’i mai no* ka*ua)……痛々しい彼女の様子をみながら、Pono Beamerはふとハワイが恋しくなったのかもしれませんね。「山に住む」(noho i ke kuahiwi)という歌詞から、高台で街が見わたせるところに住居があったものと思われるので、きっと月夜の眺めもすばらしかったに違いありません。そんな故郷を思い起こしながら、ホームシックな気分で口にする鼻歌としてはあまりに明るく軽快すぎやしないか?!とも思いますが、そんな気分さえ(だからこそ?)軽やかなメロディにのせてしまうところも、ハワイ的表現だったりするのかもしれません。
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