これでもかというくらいに繰り返される「hu* ana ka makani e*」(風が吹いている)のフレーズが、風(ka makani)であらわされている事柄の、ただ事でない感じを暗示しているように思われる『Kaimuki* Hula』。しかも「私が言ってしまったこと(が原因)」(‘o ka’u no* ia 'i* aku ai la*)と強い仕方で語られているなにかは、こころが締め付けられ(‘u’umi ke aloha)、涙を流さずにはいられない(me ka waimaka)つらい状況だといいます。寒風吹きすさぶなかをひたすら耐えているような印象もありますが、いったいなにがあったんでしょうか……。
「Lei hulu」(フェザーレイ)といえば、晴れやかな場所で、とびきり誇らしい気持ちで身につけるはずの装飾品。ですが、「雨でその美しさが台無しにならないように」(o pulu i ka ua, mae kona nani)なんて心配をしなければならないのは、なにか表に出せない深い事情があるからなんでしょうか。にもかかわらず、その大切ななにか(秘密?)を公にしてしまった―最初のバースで、「私が言ってしまったことで」(‘o ka’u no* ia 'i* aku ai la*)風が吹き始めたとされたのは、そんな状況を歌っているのではないかと思われます。そう考えると、風が吹きやまないという表現は、大切にすべき秘め事を雨風にさらしてしまった、つまり、格好のゴシップネタにしてしまったことの暗喩とも読めます。冒頭にいきなり登場した涙(ka waimaka)は、どうしたものかと思い悩んだ末に、思わずあふれてしまったものだったのかもしれません。
「(噂になったって)たいしたことないわ」(mea ‘ole)なんて強がっていますが、相変わらず風は吹きやまない……どうもKaimuki*の町は、その「ある話題」でもちきりのようです。あぁ、とにかくおだやかな気持ちになることだけを願っている(ko'u makemake)のに……。水平の基準になるほどなめらかな水面(ke ana 'iliwai)のようなこころもちが戻ってくるのは、いったいいつになることやらって感じでしょうか。
真夜中に鳴り響く電話のベル(ke kapalulu nei o ke aumoe)……とうとう、直接、その噂を確かめようとするひとがあらわれたんでしょうか。「いったいなんだっていうの?」(he aha nei hana)と歌われるあたりには、もういい加減にしてよ!?といらだっているような雰囲気もありますね。「ひとの噂も75日」なんていいますが、その渦中にあるひとにしてみたら、終わりのないトンネルをひたすら歩き続けているような、鬱々とした日々だったに違いありません。
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2022/07/26 編集