ここちよい風に身をまかせながら、思いがかき立てられるままにことばがつむがれていく……そんな、夢のような雰囲気に満ちている『Ka Hīnano O Puna』。「'O ka hīnano」(hīnanoこそが)と強い仕方で歌われる「hīnano」は、hala(英語名はpandanus)の雄の木に咲く花の呼称。その強い芳香が、恋の媚薬的な意味合いで用いられることもありますが、ここでは、「強く求める思い」(ka ‘i'ini)が、leiに編まれ形をあらわしていく(e lauwiliwili ai)ように立ち上がってくるとされ、まるでこのmeleそのものが、hīnanoのleiでもあるような印象があります。また、これに続く「nipo ninipo」(まどろむように恋い焦がれる)や、「ka lehua ha'alewa lā i ke kai」(波に揺れるlehuaの花)といった夢見るような表現は、その思いが、いままさに、遠くここではないどこかへいざなわれていることも感じさせます。そして、雄の木の花であるhīnanoが男性的、lehuaが女性的なものの象徴だとしたら、さらにイメージがふくらみそうな予感もします。このあたりは慎重に解釈する必要がありますが、いずれにせよ、思いが歌われる時点で、それが向かうなんらかの対象が存在することは確かではないかと思われます。
『Ka Hīnano O Puna』(by Kainani Kahaunaele)について、zoomオンラインレクチャーで解説しています。 アーカイブ(録画)による受講のご案内は、こちらをご覧ください。
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