Waipi'oの緑生い茂る大地には、
豊かな水があふれんばかりにある。
(そうして)大地に命が育まれるんだ。
そこで僕が目にするのは、
二つの対になった滝。
そう、HakalaoaとHi'ilawe……。
おだやかな大自然に包まれるここちよさが、ゆったりと連なるメロディラインでまるごと表現されているような、なんとも満ち足りたものを感じる『Waipi'o Pāeaea』。Waipi'oは、Hawai’i島Hāmākuaの最北部が、Kohala側にせり出しているあたりにある緑豊かな渓谷。その背後にそびえるKohalaの山々から集まった水が、海までの約6マイル(約10キロメートル弱)ほどの土地を刻みつつ流れ、豊かな水が育んだ美しい景観で知られる地域です。ハイキングコースとしても人気があり、なかでも、約440メートルの高さから流れ落ちるHi'ilaweの滝は観光客にも人気のスポット。それと対になって流れると歌われる「Hakalaoa」は、雨が降るなどして水量が多いときにだけ現れる滝のようです。
愛すべき、いとおしい、
‘Umialiloaにゆかりがあるその土地は、
(誰もが)いいなと思う、おだやかで(海のような)静けさに包まれたWaipi'o渓谷。
この繰り返しの部分では、Waipi'oについて「’Umialīloaにゆかりのある土地」(ka ‘āina o ‘Umialīloa)であると歌われ、古代にハワイを治めた有力者が、Waipi‘oを拠点にした時代があったことがうかがわれます。また、Waipi'o を描写することばとして選ばれている「pāeaea」は「(海のような)おだやかさ」を表すこともあり、山側の土地でありながら、海を連想させるものがそこにありそうな予感もあります。なんだか、ほかのどこにもない、Waipi‘o独特のなにかがありそうですが、そのあたりのイメージを少しふくらませてみると……たとえば、海へ向かう水の流れがそこを起点にしているという意味で、Waipi'oには水のはじまりがあるともいえます。そして、その水が、生きとし生けるものの命の源であることを考え合わせると、あらゆる命の起源があるとされる、ハワイの創世神話『Kumulipo』で語られる海を思わせるところもあります。そんなふうに考えをめぐらせてみると、生命力あふれるその空間は、「誰もが愛する」(he aloha)ところであるとともに、その場所そのものが命を生み出す愛である、ともいえそうです。もしかすると、ここに登場する‘Umialīloaが子宝に恵まれたチーフであったことも、愛(he aloha)とともに語られる、Waipi'oらしさのひとつだったりするのかもしれません……。
『Waipi'o Pāeaea』(by Kuana Torres Kahele )について、zoomオンライン講座「メレで学ぶハワイ語」で解説する予定です。講座の詳細については以下をご覧ください。
http://sukimano.com/blog-entry-647.html
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