Makakilo

Makakilo







 私が大切に思うMakakiloの家。
 それはそれは、素敵なまちにあるのよ。

 大切に思うとある家のある風景を、祝福とともに歌い上げているような雰囲気を感じる『Makakilo』。Makakiloは、O’ahu島の南東部、島の西側に南北に連なるWaianae山脈の、南の尾根のふもとに位置するまち。そこにある「私の大切な家」(ku’u home)が思い入れたっぷりに歌われていて、わが家への思いが語られているのかと思いきや、なんでも作者がお世話になったファミリーへのプレゼントとして作られた楽曲なんだといいます。

 その(家族の)名は、Barbers Pointではみな知っていて、
 船乗りたちをいつも温かく迎えてくれるような家なの。

 Barbers Pointは、O’ahu島の南東の端、Makakiloのまちからは徒歩圏内にあり、海浜公園もあるような海辺に位置します。そしてここでは、作者が大切に思うMakakiloの家が、「船乗りたち」(ka sela moku)をいつも迎え入れてくれるような、ホスピタリティあふれるところ(home ho’okipa mau ia)であると歌われます。また、Barbers Pointといえば、地域のランドマークともいえる灯台があることでも知られるところ。遠く海を越えてやって来る船乗りたちにとっては、旅の終わりを告げるホットスポットでもあるその風景が重ね合わされて、Makakiloに暮らす家族の温かい心根も伝わってくるように感じられます。

 Makakiloのことを思う気持ちがよみがえってくる。
 いつも訪れるひとを迎えてくれるあの家のことを……。

 この歌の作者Ho*ku*lani Meatogaは、1960年代に活躍したミュージシャン。Kaua’i島のひとですが、脊髄の手術を受けるためにO’ahu島にやってきて、6カ月間、身動きができない状態で、Honolu*lu*で療養していたようです。そのときに、なにかと彼女を助けてくれたのが、Makakiloのまちに住むKekoaファミリーで、その女主人、Caroline Kekoaにプレゼントされたのがこの歌だといいます。いかにもミュージシャンって感じですが、そんなふうに感謝の気持ちを歌に込めて贈るのは、伝統的なハワイアンスタイルでもあるようです。

 あの(家のある)美しい風景はどこにあるのかというと、
 そう、山手の美しさとともにあるのよね。

 この熱い思いが伝わったでしょうか。
 Makakilo(のファミリー)に感謝する思いがよみがえってくるわ……。

 ふと振り返ると目に入ってくる美しい光景といえば、山を背にして広がるMakakiloのまちと、そこに暮らすKekoaファミリーの家……おそらく、Waianae山脈のことだと思われるその山に抱かれ、おだやかさと美しさをたたえたその空間は、住み慣れないまちで、しかも体の自由もきかず沈みがちだったであろうHo*ku*laniの気持ちに、ポッと灯りをともしてくれるような存在だったのではないかと思われます。そうして、彼女にとっては、どれほど感謝してもしきれないKekoaファミリーの温かい心遣いと、生涯忘れられないものになったMakakiloのまち。個人の記憶を越えて、物語られる風景の空気感が聴くひとの心にもじんわり伝わってくる、そんなハートフルな一曲でした。

by Ho*ku*lani Meatoga
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。