Tuahineの雨が降るなか、 天からの涙のような恵みを感じながら(わき上がるこの思い)。 Aloha aku, aloha mai, aloha e
海も山も遠くまで見わたせる高台、あるいは空がまるごと目に飛び込んでくるほど視界が開かれた空間で、不意におとずれたなにかを全身で受け止めつつことばがつむがれたような、静謐な緊張感がある『Aloha Aku, Aloha Mai』。はらはらと降っている(helele’i)とされるTuahineの雨(ka ua Tuahine)が、天からの涙をともなう(me he wai maka o ka lani)という描写には、なによりハワイのひとびとならではの自然観があらわれているように思われ、繰り返される「aloha aku, aloha mai」も、「愛は与えれば自分にも返ってくる」とだけ訳したのではなにか足りない気がするのですが、ここでは、不運な最期をとげた娘を思い、その母、Tuahineが嘆き悲しんで流す涙がManoaに降るとされる伝説に、人間と自然とが同じ地平で語られる、ハワイ的物語空間を確認しつつ、次を読み進めたいと思います。
空はときにひろびろと天高く、ときに(雲が)垂れ込めもするけれど、 山手のほうから海にいたるまで、おだやかで平和そのもの。 Aloha aku, aloha mai, aloha e
晴れわたる日には太陽が時を刻み、夜になると星々が瞬きもする天空。「広々とした天(空)」(ka lani ākea)というフレーズは、水平線を越え、どこまでも高くはてしなく続く宇宙を思わせるところがあります。一方、それに続く「低い空」(ka lani ha’aha’a)は、雲が垂れ込め、ときには手が届きそうにも思われるほど空が近くに感じられる、いまにも泣き出しそうな空模様を思わせます。ですが、それに続く「山手のほうから海にいたるまで、おだやかで平和そのもの」(mai uka ā ke kai ‘olu mālie)という描写からすると、曇り空がマイナスの意味で捉えられているわけではないことがわかります……。
『Aloha Aku, Aloha Mai』(by Michael Lanakila Casupang and Keo Woolfordi)について、zoomオンライン講座で解説しています。アーカイブ(録画)による受講のご案内は、こちらをご覧ください。 http://sukimano.com/blog-entry-650.html
コメント