このバースでは、「海のほうをみわたすと」(huli i ke kai)と歌われていて、海に面したまちであることがかろうじてうかがえるKeaukaha。文字通りの意味は「過ぎていく流れ」(the passing current)だったりするKeaukahaは,Hawai'i島の最高峰、Mauna Kea山の南側のすそ野にあり,その沿岸は岩がちで、白砂と黒砂が混ざったHawai'i島独特の砂浜がみられる地域。海辺にはたくさんの入江や泉がわき出ており、海の生き物にとってはまたとない豊かな環境でもあります。その一方で、ひとが暮らすには自然から得られる資源は昔から限られていて、自然発生的に集落ができる土地柄ではなかったようです。そんなKeaukahaが、ネイティブの入植を促すための制度、「Hawaiian Homes Commission Act(HHCA)のもと、ネイティブのコミュニティとしての歴史を歩み始めることになったのは、1924年のこと。3番目のHawaiian homesteadとして52人ではじまったKeaukahaのコミュニティは、翌年に89人、2年後に40家族が暮らすまちとなります。ですが、もともと豊かではなかったこともあって、同じように誕生したほかのまちと比べても、人口増加ははかばかしくなく、そんな状況を受けて、HHCAに対する懐疑的な声も聞かれるようになります。それでも、厳しい自然環境にもめげずやせた溶岩の土地を耕し、自分たちのふるさととして誇れる場所に作り変えていった先祖たち。『Kaleohano』から響いてくる、風景から立ち上がってくるものたちへの深い共感は、「食べる」(’ai)ことを通してその大地(ʻāina)に根を下ろし、「kulāiwi」のもともとの意味通りそこに骨を埋めた先祖たちへの称賛や、感謝の気持ちが思わず表出されたものではないか……なんてことを思いながら訳してみました……。
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