Kaulana Kawaihae




 Kawaihaeといえば、
 ささやくような波の音で知られるところ。

 Kaulana ‘o Kawaihae
 I ke kai hāwanawana

 (こうしていると)時空を超えた物語が聞こえてきそう(な気がする)。
 Puaka'ilima(にのって運ばれてくる、無数の声たちとともに)。

 E 'ōlelo mai kahiko mai
 O Puaka'ilima

 ささやくような波の音に身をゆだねながら、こころの奥底に響いてくる何ものかの声に、じっと耳を傾けている……そんな静かなひとときを思わせる『Kaulana Kawaihae』。冒頭の「kaulana ‘o Kawaihae i ke kai hāwanawana」というフレーズは、ハワイ語の詩的表現やことわざを集めた『'Ōlelo No'eau』(Pukui MK, 1983)にも掲載されていて、Kawaihaeといえば波の音が語るように聞こえると言いたくなるほど、おだやかな海で知られる場所であることがうかがえます。
 Kawaihaeは、Hawai’i島の北西側、Kohala地域の南部に位置し、東方向にKawaihae Rdを進むとWaimeaに通じるあたりにある港町。Kawaihaeといえば、なにはともあれ海のある風景なのだと思われますが、その特別な存在感がうかがえるのが、繰り返し歌われる波の固有名「Puaka'ilima」(’I’i JP, 2013)*。'Ilimaといえば、鮮やかなオレンジ色の、薄く繊細な花びらが印象的な花ですが、「海がささやくように(おだやか)」(i ke kai ha*wanawana)なことで知られるという描写も考え合わせると、ちらちらとゆれながら陽の光を反射したりするさまが、'ilimaの花弁を無数につないだleiを思わせる美しさだったりするのかもしれない……なんてことも想像されます。しかも波ですから、はじまりも終わりもないその心地よい繰り返しが、ひとのこころをどこか遠いところへ連れ去ってしまうようなことだってあるのかも……。そしてここでは、波にのせて「遠い昔から物語が聞こえてくる」(e 'ōlelo mai kahiko mai)と歌われるわけですが、移り変わるときのなかで、変わらず時を刻むようにただそこにある波には、個も時空も超えて積み重なっていく「大文字の記憶」みたいなものの断片が、無数に漂いながら共鳴し合っているのかもしれません……。


*:John Papa ‘I'iの記録には、「Kapuailima」と表記されています。

1)Pukui MK: 'O*lelo No'eau-Hawaiian proverbs & poetical sayings. Honolulu, Bishop Museum Press, 1983
2)’I’i JP: Fragments of Hawaiian history (Bernice Pauahi Bishop Museum Special Publication) Revised, Subsequent Edition. Honolulu, Bishop Museum Press, 2013, pp135

『Kaulana Kawaihae』(by Kailihune Alama Na’ai) について、zoomオンライン講座で解説しています。アーカイブ(録画)による受講のご案内は、こちらをご覧ください。
http://sukimano.com/blog-entry-650.html
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。