Aloha i ka leo manu o Hawaiʻi Haʻaheo ʻiʻo no*, ua kaulana ko* inoa He nani poina ʻole He pumehana me ke aloha
大好きな歌声に寄せる憧れや尊敬の思いが、その声に耳を傾けるときの夢見る気持ちのままに歌われる『Ka Leo Manu O Hawai’i』。誇り高く(haʻaheo)、名高い(kaulana)と歌われ、「ka leo manu o Hawaiʻi」(ハワイを代表する鳥のような歌声)を持つとされるそのひとは、ハワイのひとびとに「Hawai'i's Songbird」として愛される、Lena Machado(1903-1974)ではないかと思われます。
He nani i ko* leo aloha ʻia A he mea like ʻole ke lohe ʻia nei la* Nahenahe he pono ia A me ka nui hanohano
「耳にすると」(ke lohe ʻia nei la*)、その「比類ない才能」(he mea like ʻole)がわかるはず……ここでは、誰もがとりこにされるLena Machadoの歌声の美しさが語られています。そして、そんな聴くとたちまち引き込まれてしまう歌唱力のすごさは、彼女が歌手として世に出るきっかけになったという、あるエピソードからもうかがうことができます。まだ学生だったころ、マンゴーの木に登ってフルーツを採りながら、ご機嫌に歌っていたLena Machado。たまたまそこを通りがかり、いきなり頭上から聞こえてきたその歌声に魅了されたのが、ハワイに最初にできたラジオ局KGUの局長、Marison Mulroneyでした。このとき、Marisonはすぐさま彼女を説得してラジオ局へ連れていき、まさかの生放送初出演となりますが、このことが、後にLena Machadoが歌手になるきっかけになったようです。学校の先生になってほしいという養母の願いもあったとされますが、彼女はプロとして契約し、家も学校も出て音楽の道へ。1920年代終わりから30年代を通して、ラジオなどで活躍することになります。KGUができてまだ間もないころで、Marisonもスターを探していたところだったのかもしれませんが、マンゴーの上で見いだされたというのが、その後、「Hawai'i's Songbird」と呼ばれ愛された、Lena Machadoらしいエピソードではあります。
Mahalo nui i ko* makana hoʻokipa nei Hauʻoli wale no*, he mau no* kou nani He nanea ke lohe aku Ua puni nei i ka honua
「あなたが(残してくれた)、ホスピタリティあふれる贈り物」(ko* makana hoʻokipa)……ここでは、Lena Machadoが残した楽曲が、その受け手の立場から「贈り物」(makana)と歌われています。多くの作品を手掛けた彼女のこと、ひとそれぞれに思い起こす楽曲は違うと思われますが、私自身、「ホスピタリティあふれる」(hoʻokipa)と聞いて一番に思い浮かんだのは、『E Ku'u Baby Hot Cha-Cha』(1935年)でした。タイトルにある「hot cha-cha」は、目にしたものが魅力的だったり刺激的過ぎたりして、思わず「いいねぇ~!」と見とれてしまうような、そんな状況で用いられることば。この歌は、Lene Machadoが演奏旅行でニューヨークやシカゴあたりを旅することが多かったころに、旅先で出合ったラテン音楽、とくにルンバやマンボと呼ばれるリズムに魅了されて作ったものだといいます。多くのハワイのひとびとにとって、いまだかつてなかった音楽体験だったと思われる『E Ku'u Baby~』ですが、Lena Machadoはその振り付けにもあたらしさを求めました。たとえば、新しいスタイルの「hela step」で前後の移動を指示したり、堅い感じできびきびした動きをする「'uehe」を考案したりとか……。彼女なりにラテンのダンスを観察し、踊りがスペイン風になるようにという意図からだったといいますが、ダンサーたちは、新しいステップをマスターするのに相当苦労したようです。でも、Lenaはあきらめなかったんですね。「大丈夫、できるわ、さぁ回って、helaの方向は変えずにね」……はずむような演奏にあわせて、ダンサーも機敏な動きが要求されたものと思われます。そんなふうに、とことんエンターテインメントを追求しようとするLena Machadoの姿勢は、観客にうんと楽しんでもらいたいという一心からだったはず。彼女のこの「ホスピタリティ」(hoʻokipa)あってこそ、『E Ku'u Baby Hot Cha-Cha』をはじめ、彼女の多くの楽曲は、客席をうっとり夢のような気分(he nanea)で包み込み、その熱気が島々をおおう(ua puni nei i ka honua)ほど、ひとびとに支持されたのではないかと思われます。
Puana i ka leo manu o Hawaiʻi Haʻaheo ʻiʻo no*, ua kaulana ko* inoa He nani poina ʻole He pumehana me ke aloha
半世紀以上前に活躍したミュージシャンですが、Lena Machadoの楽曲は現役のミュージシャンがレコーディングしていることも多く、コンテンポラリーとして新たな命を吹き込まれている印象があります。残された楽曲がすばらしいためであることは間違いないですが、彼女が人生をかけて歌で表現しようとしたことに、いまも多くのハワイのひとびとが共感し、支持してもいるからではないかと思われます。おそらく、ハワイ人としての誇り(haʻaheo)や温かさ(he pumehana me ke aloha)、そしてハワイ文化のすばらしさ(hanohano)を大切にしようとした先達として……。そんなことを考えながら、Lena Machadoを通して語られた、ハワイのひとびとの思いが歌われていることに思い至った、『Ka Leo Manu O Hawai’i』なのでした。
by Katherine Maunakea
参考文献 1)Motta P: Lena Machado-Songbird of Hawaii-My Memories of Aunty Lena. Honolulu, Kamehameha Schools, 2006, pp23-27, pp185-189
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