Me 'oe ka 'i'ini pau 'ole A'u e dream mau nei I ka po* mahina la'ila'i I hoa no ia uka lipo
「ぼくの尽きせぬ思い」(ka 'i'ini pau 'ole)は、あなたとともにある(me 'oe)……ここでは、繰り返されるhuiのテンションにも負けぬ激しさで、いとしいひとを求める思いが語られています。「いつも夢に見て」(a'u e dream mau nei)とさりげなく英語が用いられているところは、作者の教養や卓越した才能を示すとともに、Leleio*hokuの時代ならではの、ちょっと粋な表現だったのかもしれません。そしてここでも、恋の舞台は「山手の闇」(uka lipo)とされ、木立生い茂る深い闇のイメージが、この作品に描写される心象風景そのものであることがうかがわれます。
Noenoe ka hikina 'ana mai A ka makani Pu'ulene Ho'olale mai ana e pili Me ku'u hoa i ke alo
このバースには、Pu'uleneの風がもたらす「霧のおとずれ」(noenoe ka hikina 'ana mai)のあと、「さぁ、早く来て一緒になろう」(ho'olale mai ana e pili)と恋人をうながすようなフレーズが続き、先の「すずしい森を感じさせる風」(ka hikina mai anuhea)同様、霧が立ち込める風景(noenoe)もまた、愛し合う行為を暗示することばであることがわかります。「早く来て」(ho'olale mai ana)の部分には、結ばれる(e pili)その瞬間が待ち遠しくて仕方ない……そんな感じもありますね。 霧をもたらすとされるPu'ulenaは、辞書によるとHawai'i島のKi*laueaやPuna地域に吹く冷たい風のこと。霧が登場するのはこのバースだけですが、山手のすずしい空気に包まれた空間が、徹底して非日常的な思いにふける甘美なイメージでとらえられていることがわかります。というかもしかすると、夜更けの森は、恋人たちが人目を忍んで逢ったりする場所でもあったのでしょうか……。実際のところはわかりませんが、先のバースにあったフレーズも、「静けさに満ちた明るい月夜の晩に」(i ka po* mahina la'ila'i)、「月明りだけをたよりに、山手の闇の中で寄り添う二人」(i hoa no ia uka lipo)なんて想像をふくらませると、まるで映画のワンシーンをみるような雰囲気もあります。こんなふうにたどってみると、まるで恋愛小説のハイライトが、ぎゅっと凝縮されているようにも思えてくる『Ka Malanai Song』。フィクションなのかどうかはともかく、当時流行りのことばが散りばめられた、(いま風に言えば)クールなラブソングだったのではないかと想像しています。
Prince Wm P Leleio*hoku/music by Kamakoa Lindsey Asing
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