Aloha Maunalua

Aloha Maunalua





https://www.youtube.com/watch?v=0zmPd8AncxM


 水しぶきに包まれた、愛すべきMaunalua。
 Naupakaの茂みにおおわれ(た感じが、平和そのもので)。

 Aloha Maunalua i ke kai paki*
 I ka malu o ka lau naupaka

 気持ちよく晴れた海辺でのひとときが、寄せては返す波の音とともに、いまにもよみがえってきそうな『Aloha Maunalua』。Maunalua Bayは、O’ahu島の南東部、Diamond Headから東に続き、Hawai’i KaiからKoko Headに至る海沿いのエリア*。ひとときも形をとどめることのない波打ち際で(i ke kai paki*)、「なんてステキなMaunaluaなんだろう」(aloha Maunalua)とうっとり眺めたnaupaka**のある風景。その茂みに守られるかのように(i ka malu o ka lau naupaka)、こころ穏やかに過ごしたある日の海辺の風景が、いとおしい記憶をたどるように語られていきます。
CDのライナーノーツによると、作者が彼の妻とともにMaunalua Bayで過ごしたときのことが語られているようです。きっと、その日のMaunaluaでの体験は、大切な思い出としてしまっておきたくなるような、なにか特別なものだったに違いありません。

 ふと見るとKalamaの山手の風景が見えて、
 ぽっかりと雲がかかっている、それはそれは美しい眺めだったんだ。

 'Alawa na* maka i uka o Kalama
 Ka*hiko nani maila i ke ao 'o*pua

 なだらかに弧を描き、東西に長く連なるMaunalua Bay。まずは輝く海のひろがりや、水平線を一望できるパノラマが魅力ではないかと思われますが、ここでは、山手のKalamaのほうをみたときに、雲をいただく山側の風景が美しかったことが語られ、位置関係からすると、Hawi’i Kaiあたりから北東方向を眺めたのではないかと考えられます。比較的新しい溶岩の噴火でできたKalamaは、高さ約10メートル、クレーター部分は深さ約15メートル。おそらく、低く連なるクレーターの壁のところを飾るように(ka*hiko nani maila)、雲がぽっかり浮かんでいるのが見えたのではないかと思われます。

 Kawaihoaのほうに向きをかえてみたら、
 サーフィンを楽しむひとたちがいたりとか。

 Huli aku ke alo ia* Kawaihoa
 Kai he’e nalu no* ia e le'a ai ka*naka

 Kawaihoaは、Maunaluaの東の端にあるKoko Headが、最も海に突き出ているあたり。サーフィンを楽しむひとびとが集う岬の先端あたりですから、大きくうねる波しぶきとともに((ke kai paki*)、歓声を上げるひとびとの姿が遠くに見えたりしたのかもしれません。

 Maunaluaの海岸線を遠く(たどってみると)、
 (島を)訪れるひとにも人気のLe*'ahi(が見えたりもしたね)。

 Ma 'o* aku o ke kaha o Maunalua
 Le*'ahi kaulana i na* malihini

 ここでは「うんと遠くを(見ると)」(ma 'o* aku)と歌われ、長く連なるMaunaluaの海岸線を、西の端のLe*'ah(Daiamond Head)までたどっていることがわかります。彼らがMaunaluaのやや東よりにいたのだとすると、Le*'ahiまでは結構、距離があったはず。おそらく、かなり晴れて見通しのきく、気持ちのいい日だったのではないかと想像されます。

  (ぼくらのあのすばらしい時間を)歌にしてみたんだ。
 水しぶきに包まれた、ホントにすてきなMaunaluaでのひとときだったなと……。

 Ha'ina 'ia mai ana ka puana
 Aloha Maunalua i ke kai paki*

 こうしてたどってみると、海や山、そして空に向けて、さえぎるものなく広がるMaunaluaの空間を、作者のまなざしを通して追体験しているように思えてくる『Aloha Maunalua』。さまざまに語られる風景は、SNSあたりで発信される旅の記録に近いような気もしつつ、meleという形式には、写真や映像といった視覚表現にはない豊かさがあるようにも思われます。たとえば、作者がMaunaluaで感じた空気や音、水しぶき、風の感触や潮の香までが、ことばとメロディ&リズムの織り成すハーモニーの力で、ある気分さえともなって再現されているように感じられるからです。
 公園が整備されているあたりは、カヌーやボート遊び、ピクニックを楽しむひとたちで賑わう観光スポットだったりもするMaunalua。サーフィンをするひとたちの描写にその気配がありますが、作者自身のアプローチは、そんな「すること」が主役の休日とは対極にあり、フル回転の五感がとらえた風景描写には、まるで大地の呼吸とシンクロするような、深い思索の痕跡が残されているようでもあります。そうして、ひととき世界の中心だったMaunaluaでの感動を、meleならではの仕方で伝えてくれる『Aloha Maunalua』。観光のまなざしには映らない、リアルハワイを感じさせる一曲です。

by Nicholas Keali'i Lum

*:Maunaluaの名(文字通りの意味は「二つの山」)に含まれる山は、湾の東に位置するKoko CraterとKoko Headを指すようです。
**:Naupakaはハワイ固有の多肉植物。ここで歌われる海辺の砂地を好むものと、山手に育つものとがあります。
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コメント

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隙間のりりー

コメントくださったRA様へ
RAさま

コメントいただきありがとうございます。
ご質問の件、十分なお答えができそうにないのですが、コメントを非公開でいただいており、直接のご連絡先もわからないため、こちらに書かせていただきました。
今後、お問い合わせなどいただく場合は、公開扱いのコメントにしていただくか、もしくは直接メールしていただければ幸いです。
※メールアドレスは、zoom講座のご案内ページに挙げております。

よろしくお願いいたします。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。