E Pili Mai




 (この気持ちを)伝えたい、
 夜になると思ってしまう、大切なあなたに。
 (こうして)一人過ごす夜は、寒々しくていけない。
 いとしいひとよ(と呼びかけても)、
 ともに過ごしたい(という願いはかなわぬ夢なのか)……。

 ʻAuhea wale ana ʻoe
 Kuʻu lei o ka pō
 Pō anu ho’okahi nō wau
 E Sweetheart mine
 E pili mai

 夜の問わず語りを思わせる美しいメロディに、思いを募らせる誰かの切なさが静かに響きわたる『E Pili Mai』。慣用的に「listen!」(聞いてください)の意味で用いられる「ʻauhea wale ana ʻoe」も、ことば通り「あなたはどこにいるのですか?」と訳したくなるストレートさが、このmeleの切なさをいっそう際立たせている印象もあります。
 そうして呼びかけられる対象、「kuʻu lei o ka pō」は、ことば通りに訳すと「夜に身に着ける大切なlei」。「夜になると思ってしまう」と訳しましたが、横たわるとき(身に着けるように)肌にふれていてほしいものといえば、すべてをゆだね合えるパートナーの、温かい両腕(がleiのように結ばれたサークル)だったりするでしょうか。でも、寒々とした夜に(pō anu)たった一人(hoʻokahi nō au)。それでも、結ばれることを夢見て呼びかけるんですね。「E pili mai」と……。

『E Pili Mai』(by Larry Lindsey Kimura & Peter Moon)について、zoomオンライン講座で解説しています。
アーカイブ(録画)による受講のご案内は、こちらをご覧ください。
http://sukimano.com/blog-entry-650.html

参考文献
1)Joesting E: Kauai-the separate kingdom. Honolulu, University of Hawaii Press, pp32-35, 1988
2)Andrade C: Ha'ena-Through the Eyes of the Ancestors(Latitude 20 Books).Honolulu, University of Hawaii Press, 2009, pp37-39
3)Barrere DB, Kelly M, Pukui MK: Hula-Historical Perspectives(Pacific Anthropological Records, No30). Honolulu, Bishop Museum Press, 1980, pp106-115

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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。