Maunaloa

Maunaloa






https://www.youtube.com/watch?v=aGiUDPnsPdI


 どこへいったの、Maunaloa号
 あの船の大きな後ろ姿(を思い出す)
 私のあのひとを連れ戻してよ。
 どうかお願い……(私がいる)このKa’awaloaまで。

 ‘Auhea wale ‘oe e Maunaloa la*
 Ki*kala nui
 Ho’iho’i mai ‘oe i ku’u aloha la*
 E*, e*, e*, Ka’awaloa nei

 いまにも旅立とうとする船を岸壁で見送りながら、その船尾(ki*kala)にしがみつかんばかりの勢いで手を振る女……そんな、港町で繰り返されてきたであろうお決まりのドラマが、自ずと目に浮かぶ『Maunaloa』。「(あのひとを)連れ戻して」(ho’iho’i mai ‘oe)といった具合に、楽し気な曲調からは想像もつかないシリアスな歌詞が並んでいることに驚かされますが、次のバース以降、さらにドキッとするような内容が連なっていきます。

 あなたはやって来たと思ったら、もう行ってしまうのね。
 (しかも)わけありの恋人と一緒に。
 そして私は、ひとり悶々とするのよ。
 あぁ、なんてこと……二人でともにしたベッドの思い出(しか残らないなんて)。

 Ua hiki no* ‘oe a e hele ana la*
 Me ka ipo manuahi
 A na’u no* ia ‘oni ho’okahi la*
 E*, e*, e*, kahi pela a’o ka*ua

 あぁ、あのひとは別のひと、しかもわけありの相手(ka ipo manuahi)と行ってしまった……。「私といったら(まったく)」(na’u no* ia)、「どうしろっていうの!?」と続けたくなるようなフレーズですが、二人でともにしたベッド(kahi pela a’o ka*ua)でひとり身もだえている(‘oni ho’okahi)のであれば、すさんだ気分になるのもいたしかたないかもしれません。それにしても、「やって来たと思ったら、もう行ってしまう」とは、なんて逃げ足の速いやつ(!?)って感じですが、そんな抜け目のないやつのどうしようもなさは、次のバースでさらにユーモラスに語られていきます

 あなた(が残したのは)うすぎたないハンカチだけ。
 (まったく)ゴキブリに食べられちまったって気分だわ。
 で、私といったら(そのボロ雑巾みたいなもので涙を)ふくわけよ。
 まったく、なんてこと……あなたの逃げ足の速さといったらないわ。

 Ko* hinaka* popopo la*
 ‘Ai ‘ia e ka ‘elelu*
 A na’u no* ia e* ka*wele nei la*
 E*, e*, e*, ko* ka*ma’a miomio

 まったく、あの逃げ足の速さといったら、まるでゴキブリみたいじゃないの……。ここでは、そのたちの悪い虫に食べられた(‘ai ‘ia e ka ‘elelu*)うらみ節が、ユーモラスに歌われているようです。そう、あいつは涙をふくハンカチさえろくなものを残していかなかった……

 この歌に込めた思いが伝わったかした。
 あなたはやって来たと思ったら、もうこんな仕方で行ってしまうのね。
 そして私は、ひとり悶々とするのよ。
 あぁ、なんてこと……二人でともにしたベッドの思い出(しか残らないなんて)。

 Ha’ina ‘ia mai ana ka puana la*
 Ku* ‘oe a hele pe*la*
 A na’u no* ia ‘oni ho’okahi la*
 E*, e*, e*, kahi pela a’o ka*ua

 ここでは蒸気船の名前であり、歌のタイトルにもなっている「Maunaloa」は、いまも活動を続けるハワイ島の火山の名前。そして、彼女が置いてきぼりにされたまち、Ka’awaloaは、ハワイ島西部Kona地域の海沿いにあり、その山側にそびえるのがMaunaloa山という位置関係にあります。18世紀末にキャプテンクックがやってきたKealakekua湾があるのもこのまちで、古い港町であることがうかがえますが、もしかすると、海をわたってやってくる男たちと彼らを迎えるハワイのひとびととの間で、数々のドラマが繰り広げられたまちだったりするのかも……なんてことをあれこれ想像させられる、『Maunaloa』なのでした。

by Helen Lindsey Parker
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。