Lei ‘O*la’a

Lei ‘O*la’a






https://www.youtube.com/watch?v=1_X1XpahgFc&t=43s


 おだやかに浮かぶ雲はただただ美しく、
 ‘O*la’aのleiのように両の肩(を紫に染める)。
 そんなひとときに訪れる幸せな気分は、
 こうして集まったぼくらの記憶にとどめられることになる。

 Nani wale ke ao ‘o*pua i ka la’i
 Me he lei ‘o*la’a kau po’ohiwi
 Kau mai nei ka hali’a aloha
 Ia* ma*kou e hui hau’oli nei

 夕日に輝く大海原をみわたしながら、なにものにもとらわれない開放感に満たされるひとの、こころおだやかな感動がじんわり伝わってくる『Lei ‘O*la’a』。ここでは、海辺にたたずむひとをleiで飾るように差す陽の光が、まるで‘o*la’aの花のleiのようだったと回想されており、それを体験したひとびとの胸に(ia* ma*kou)、そのときの幸せな気分がしっかりと刻まれたことがうかがえます。
 黄昏時を染める色の象徴とされている‘o*la’a beautyは、学名をtorenia fournieri(アゼナ科)、和名では「はなうりくさ(花瓜草)」や「なつすみれ(夏菫)」とも呼ばれる植物。青の濃淡、ピンクから黄までと花の色にはバリエーションがあるようですが、いまにも沈もうとする太陽に染まる雲が描写されているところから、深い紫の光に包まれる夕暮れ時の風景を想像しながら訳してみました*。
 「集まった私たちにとって」(ia* ma*kou e hui)とあり、作者のほかにも複数のひとびとがそこに居合わせたことがわかります。CDのブックレットにある作者のコメントによると、サンセットが美しいビーチで友人たちとともに過ごした幸せなひとときに、輝く水平線を眺めながら不意にかぐわしいleiのイメージがわき上がってきて、思わずメモしたことばがもとになってこの歌が作られたようです。

 あまりにキラキラ輝き美しい水平線(に向き合っていると)、
 日没とともに(夜に向かう)大海原(は驚くべき美しさ)。
 やわらかな風がひそやかに運ぶのは、
 Tubaroseを思わせる、かぐわしくもさわやかな香り。

 ‘O*linolino wale ‘oe e ka ‘ilikai
 Ka moana i ka napo’ona o ka la*
 Ma*lie ka lawena o ke aheahe
 Moani ke ‘ala pua tubarose anuhea

 このバースの冒頭は、直訳すると「あなたはただただ輝いている」(‘o*linolino wale ‘oe)となります。こんなふうに、ハワイ語のmeleの世界では、自然の事物が「あなた」(’oe)と呼びかけられることがよくありますが、ここではさらに「水平線よ」(e ka ‘ilikai)と呼びかけられていて、太陽がいまにも沈もうとする水平線の際のところを、そこに引き込まれんばかりの勢いで凝視する作者の姿が目に浮かぶように思われます。さらにバースの後半部分では、やわらかな風にのってやってくるひそやかな気配(ma*lie ka lawena o ke aheahe)のうちに、なにものかが到来するのを待ち構えているような雰囲気もあります。それが具体的になんなのかは、「tubaroseを思わせる、かぐわしくもさわやかな香り」(moani ke ‘ala pua tubarose anuhea)という描写から想像するほかないのですが、もしかすると作者自身も、なにかよきものの訪れを予感し、tubaroseの甘く強い香りに出合ったときの、どこか別の世界へいざなわれるような感覚に没頭していた……みたいな、現実と非現実の境目を体験していたのかもしれません。

 (たとえば)Pakalanaの気配は、何を伝えようとしているんだろう?
 (こうして)ぼくのイマジネーションは軽やかに広がっていく……。
 (そのとき思った)大切なことは、
 ‘O*la’a の花のleiの美しさ(が空間をみたしていたあの感動)。
 あまりに美しすぎるあの光景。
 ‘O*la’a beauty、美しき、その深い思いの象徴(をイメージさせた、あの忘れえぬ瞬間……)。

 He aha ka*u e ka hanu pakalana?
 Lana ma*lie iho nei ka mana’o
 He mana’o nui ko’u e puana aku
 I ka nani o ia lei ‘o*la’a beauty
 He nani no*!
 ‘O*la’a beauty, a he nani no*, he lei aloha, aloha e!

 先のバースのtubaroseに続いて、ここではpakalanaが登場します。Pakalanaは、インドからベトナムあたりが原産地とされる植物で、「chinese violet」、中国語で「夜来香」(イェライシャン)とも呼ばれる植物。その花は、強くてあまい、レモンのような柑橘系の香りを放つといいますが、その香りの種類以上に、全身がなにか特別な空気で包まれるようだったそのひとときの感覚が、香る風として描写されているのではないかと思ったりもします。あるいは、tubaroseやpakalanaが、作者にとっては特別な誰かとの記憶を呼び覚ます象徴である可能性もあったりするでしょうか……。そんなふうに、読み手のイマジネーションが刺激されるのは、「(作者自身の)思いがふわふわ漂っていた」(lana ma*lie iho nei ka mana’o)からに違いありません。
 光と闇が拮抗し、否応なくひとを立ち止まらせもするトワイライトのひととき。そこに不思議なパワーがしのび込んでくるのを感じ、強烈なインスピレーションとともにこころに刻んだ記憶が、美しいleiのようなことばでつむがれている『Lei ‘O*la’a』。個人の体験がことばで共有され、しかもメロディとともによみがえらせることができる音楽のパワーを、あらためて感じさせられる一曲でした。

by Manu Boyd


*:ハナウリ草
https://www.weblio.jp/content/Torenia+fournieri

http://www.missouribotanicalgarden.org/PlantFinder/PlantFinderDetails.aspx?kempercode=a613
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。