‘O*linolino wale ‘oe e ka ‘ilikai Ka moana i ka napo’ona o ka la* Ma*lie ka lawena o ke aheahe Moani ke ‘ala pua tubarose anuhea
このバースの冒頭は、直訳すると「あなたはただただ輝いている」(‘o*linolino wale ‘oe)となります。こんなふうに、ハワイ語のmeleの世界では、自然の事物が「あなた」(’oe)と呼びかけられることがよくありますが、ここではさらに「水平線よ」(e ka ‘ilikai)と呼びかけられていて、太陽がいまにも沈もうとする水平線の際のところを、そこに引き込まれんばかりの勢いで凝視する作者の姿が目に浮かぶように思われます。さらにバースの後半部分では、やわらかな風にのってやってくるひそやかな気配(ma*lie ka lawena o ke aheahe)のうちに、なにものかが到来するのを待ち構えているような雰囲気もあります。それが具体的になんなのかは、「tubaroseを思わせる、かぐわしくもさわやかな香り」(moani ke ‘ala pua tubarose anuhea)という描写から想像するほかないのですが、もしかすると作者自身も、なにかよきものの訪れを予感し、tubaroseの甘く強い香りに出合ったときの、どこか別の世界へいざなわれるような感覚に没頭していた……みたいな、現実と非現実の境目を体験していたのかもしれません。
He aha ka*u e ka hanu pakalana? Lana ma*lie iho nei ka mana’o He mana’o nui ko’u e puana aku I ka nani o ia lei ‘o*la’a beauty He nani no*! ‘O*la’a beauty, a he nani no*, he lei aloha, aloha e!
先のバースのtubaroseに続いて、ここではpakalanaが登場します。Pakalanaは、インドからベトナムあたりが原産地とされる植物で、「chinese violet」、中国語で「夜来香」(イェライシャン)とも呼ばれる植物。その花は、強くてあまい、レモンのような柑橘系の香りを放つといいますが、その香りの種類以上に、全身がなにか特別な空気で包まれるようだったそのひとときの感覚が、香る風として描写されているのではないかと思ったりもします。あるいは、tubaroseやpakalanaが、作者にとっては特別な誰かとの記憶を呼び覚ます象徴である可能性もあったりするでしょうか……。そんなふうに、読み手のイマジネーションが刺激されるのは、「(作者自身の)思いがふわふわ漂っていた」(lana ma*lie iho nei ka mana’o)からに違いありません。 光と闇が拮抗し、否応なくひとを立ち止まらせもするトワイライトのひととき。そこに不思議なパワーがしのび込んでくるのを感じ、強烈なインスピレーションとともにこころに刻んだ記憶が、美しいleiのようなことばでつむがれている『Lei ‘O*la’a』。個人の体験がことばで共有され、しかもメロディとともによみがえらせることができる音楽のパワーを、あらためて感じさせられる一曲でした。
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