Ka Lehua I Milia

Ka Lehua I Milia






https://www.youtube.com/watch?v=7jBKdMATh8Q


 ʻIke maka i ka nani o uka
 Ka lehua i milia e ka ua noe

 (私が)目にした、あまりに美しい山手の風景。
 (それは)レフアの花が、驟雨にやわらかく包まれる姿(でした)。

 He welina na ke aloha e hoʻonipo nei
 E hōʻoni nei ia loko o ka puʻuwai

 (その様子は)まるで恋するひとが愛の仕草で語りかけるようにみえて、
 こころのなかは、(喜びに満ちて)うちふるえている(に違いないと思われたのでした)。

 可憐なLehuaの花が、やわらかく空気を満たす雨に包まれる光景に、愛をささやき合う恋人たちの姿を重ねて歌われる『Ka Lehua I Milia』。しっとりと露にぬれ、微かにふるえるようにも見える(e ho’oni nei)花の姿は、まさしく恋する喜びに満たされたひとの似姿にふさわしい……なんとも詩的な表現ですが、lehuaとともに語られる恋物語といえば、自ずと思い起こされるのはohia-lehuaの名の由来。悲恋の末に木の姿で生まれ変わった恋人たちと、Peleにまつわる悲恋のストーリーです。破壊と再生をめぐるハワイの自然そのものを語るようにも思われる伝説ですが、ここでそのあらましを少し振り返っておきたいと思います。
火の女神Peleに愛され、その気持ちを受け入れることを拒んだことで命を落としたOhia。彼の恋人Lehuaが、あまりに嘆き悲しむのをさすがにあわれに思ったPeleは、ohiaを木としてよみがえらせ、Lehuaにはそこに咲くlehuaの花として永遠の命を与えた……。ハワイのひとびとは、溶岩の大地に力強く根を張るohia-lehuaのことを、そんなふうに語り伝えてきました。ハワイ島の島花として愛されるohia lehuaは、溶岩流に焼き尽くされた黒い大地に、まっさきに芽吹く力強い植物。深い絆で結ばれた二人の恋物語は、Peleの破壊力にも負けない、自然の生命力を語るものでもあると考えられます*。

 Kuʻu lei, kuʻu pua nani mae ʻole
 Nohenohea i ka maka a ka ipo

 大切なlei、私が愛する花の美しさは、決して失われることはない。
 (まるで)ひょいっと恋人が顔をのぞかせたようなその花に、
 (あなたの姿を重ね合わせるのです)。

 驟雨にかすむlehuaの花のように、うっとりと夢見がちなその姿(nohenohea i ka maka)。いつもこころのなかに住まうそのひとの面影は、決して消えることはない(ku' lei, ku'u pua nani mae 'ole)……。こうして、「ku’u lei」「ku’u pua」と「ku’u」(私が大切に思う)が連なるあたりには、愛しすぎて逆につらくなってしまうような、その思いの深さの半端なさも感じられます。Leiといえば、ハワイ語で愛するひとが語られるときに必ず登場することば。首にかけるとその香りにたちまち包まれ、気分を高揚させもするleiは、恋するときの夢のようなこころもち、あるいは二人の親密さの象徴として、ほかのことばには代えがたい意味合いがあるのだと思われます。

 E hoʻolale mai ana e naue aku
 E kui a lei i kō aloha makamae

 (あなたは)いきなりやってきて、(その思いを)伝えようとするはず。
 (そう、私は)あなたのかけがえのないalohaをつないで(その思いを受け止めたいのです)。

 このバースでは、前半のうっとりとまどろむような感じが一転し、「急いで来て」(ho'olale mai)、そして「迫ってきて」(e naue aku)とも訳せるような、相手を軽く促すフレーズではじまります。また先のバースでは、「ku'u lei, ku'u pua」と私の大切な(ku'u)leiのことが歌われていましたが、ここではその愛する相手に対して、「あなたの愛」(ko aloha)をleiにしてつなげたい(e kui a lei i ko aloha)とも語られ、視覚的ではない、愛する対象との具体的な交わりも予感させます。愛の形にもいろいろありますが、二人の腕がそれぞれに円環を描いて美しいleiのようになり、相手をしっかりと包みこんでいる……みたいなイメージが、ここではぴったりではないかと思われます。

 Haʻina ʻia mai ana kapuana
 Ka lehua i milia e ka ua noe

 この歌のメッセージは、(あなたの)こころに響いたでしょうか。
 Lehuaの花が驟雨に抱かれているその姿をみれば、
 だれもが感じるあの切ない気持ちが……。

 先のPeleとohia-lehuaの物語には、実はまだ続きがありました。Lehuaの花が摘まれると決まって雨が降るのは、Ohiaとの別れに心を痛めるLehuaを不憫に思い、神々が雨を降らせるからだと……そう、驟雨によってlehuaの花がやさしく包まれる(i milia)というタイトルには、そんな意味が含まれているんですね***。それにしても、なんと美しくも悲しい物語なのか……大切なひとをpele(溶岩流)のために失った多くのひとびとの悲しみや、大いなる自然に対する畏れの気持ちとが、長い年月を経るなかで形を与えられた、そんな物語なのかもしれません。

by Mary Kawena Pukui and Maddy Lam

*:ハワイ語の「pele」はKi*lauea火山に住むとされる火の女神の名前であるとともに、溶岩流を指す普通名詞でもあります。
**:「mili-a」の「mili」は、ペットをかわいがるときにも用いられることばで、スキンシップにも通じる「愛する行為」を連想させる表現です。それに受け身の意味を付加する「a」がついた「milia」は、「愛されている」状態、観念的にではなく皮膚と皮膚がふれあっている感じが伝わってくることばでもあります。
***:あらゆる命の源である雨(ka ua)は、大地の豊饒さが語られるハワイの物語空間において、重要なポジションをしめる要素でもあります。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。