Mele O Ke Ke’ena Kalaunu

Mele O Ke Ke’ena Kalaunu






https://www.youtube.com/watch?v=P9qr7C9dPBw 


 Leiを美しく身に着けておられるような、女王さま。
 かぐわしいバラの花のleiで。
 あなたのさわやかな香りを私は感じています。
 王位にある方のお部屋、まさにその方に相応しいその場所に。

 Ua wehi lei, wehi 'oe e ku'u lani
 I na* pua lei, pua rose onaona
 Ko* 'ala anuhea ka'u i honi
 I ke keʻena kalaunu kou wahi ia

 自ずとひとめを引く華やかないでたちと、それでいて品よく清らかなたたずまい。そんな、香しくも美しいバラのleiに飾られたようなひとの存在感を、すずやかな香り(ko* 'ala anuhea)を楽しむように感じている(ka'u i honi)と歌われる『Mele O Ke Ke'ena Kalaunu』。高貴な雰囲気を魅力的な花の香りにたとえる語りには、その部屋で王位にあった人物への、特別な思い入れがひしひしと感じられるとともに、王位を象徴するある場所の一室(ke keʻena kalaunu)にいるそのひとの姿が、ある午後のひとときが切り取られたような臨場感でもって迫ってくるところがあります。

 あなたさまのleiは、まさにキラキラとダイヤモンドを思わせる美しさで、
 山の奥深くの森にかがやくしずくのようでもある。
 たくさんのフリルで飾られたシルクのすそ飾りも、
 Hamohamoの引き潮のよう(に繊細で……)。

 Kohu ko* lei kaimana linolino
 Me ke ke*hau lohi o ka ma'ukele
 Ko* hu'a kalika lau nihoniho
 Me ke kai emiemi a'o Hamohamo

 光を放つダイヤモンドのlei(lei kaimana linolino)で飾られたあなた。その輝きは、神々がやどるほど遠く、奥深い森に守られた水のしずくのよう……と、ここでもそのひとの光り輝く存在感が、ことばを尽くして語られています。このバースに引き潮(ke kai emiemi)とともに登場する「Hamohamo」は、O'ahu島Waiki*ki*は'Oh*ua通り近くの地名。そこがかつてはLili'uokalani女王の所有する土地だったことから、この歌が彼女を讃えるものであることを暗示することばでもあります*。「Hamohamo」には「やさしくなでる」という意味があり、たとえばおだやかな海岸で、ささやくような波がそっと砂浜をなでるときにも似た、息をのむようなひそやかさも感じられます。繊細な手仕事がほどこされた女王のドレスが、「Hamohamoの潮が引くさまに似ている」(me ke kai emiemi a'o Hamohamo)とされるのは、シルクの質感をなめらかな水面の表情にたとえたものと思われます。

 あなたさまがカーペットを力強く歩む姿は、
 深い色合いに刺繍されたペルシャ絨毯(に映えて)、
 外からの呼びかけに、驚いたように振り返る(あなた)。
 Lili’uokalaniさま、いつまでもお元気で(とみな願っています)。

 Kou hehi kamaʻehu i ke ka*peka
 Peresia 'o*ni'oni'o uliuli
 Huli pu*'iwa i ke oho o waho
 E Lili'uokalani, e ola mau

 外からの声援に(i ke oho o waho)、なにごとかと驚いて振り向く女王(huli pu*'iwa)。前半のバースでは、女王の高貴な空気感というか特別な気配が、記憶をたどるように語られていましたが、ここでは、女王の姿がよりリアルに、その立ち居振る舞いそのものが感じられるように描写されています。とくに、民衆の声に応えようとして振り向いたとされる箇所には、その瞬間を切り取った写真を目にするような勢いもありますね。ペルシャ絨毯に印される「あなたの赤い足跡」(kou hehi kamaʻehu)といった、やや大げさな印象の表現もあって、彼女の歩みになにか女王にしか託せない願いを込めているような、思いの半端なさがあふれているようにも感じられます。
 そんなふうにたどってみると、「Lili’uokalaniさま、いつまでもお元気で」(e Lili'uokalani, e ola mau)といったあいさつのようなフレーズも、女王にとって、あるいはハワイにとってなにか非常に重要なことを願って発されたのではないか……なんてことを考えたくもなります。というのも、彼女が「王位にあるひとの部屋」(ke keʻena kalaunu)で女王として過ごしたのは、王朝末期のほんのわずかの期間だったからです。逮捕、幽閉といった苦難の時期を経て、王位を退くことになったLili’uokalani。その後、合衆国併合に至ったハワイの政治的状況を考えると、彼女に「ずっとお元気で」(e ola mau)と呼びかけることは、「あなたの時代が終わったわけではない」という含みがあってもおかしくないと思うんですね。

 守るべき王族の旗印が誇らしくはためく。
 イオラニ宮殿にそびえるポールの高みに。
 あなたをたたえるべくその高貴なお姿を思い浮かべよう。
 Lili'uokalaniさま、あなたこそわれわれの王なのです。

 われらが女王、Lili'uokalaniさまに、この歌を捧げます。

 Ku'u hae kalaunu welo ha'aheo
 I ka ni'o kaupoku o 'Iolani Hale
 Ha'ina ko* wehi e ku'u lani
 ‘O Lili'u, ke kuini o ka la*hui

 He lei wehi no Lili’uokalani,
 ke kuini o ka la*hui

 ハワイ王朝が誇った権威のシンボルである'Iolani Hale(イオラニ宮殿)。そこに、かつて天高くはためいた王族の旗印を見上げる思いで、在りし日のLili'uokalani女王の姿に思いをはせながら締めくくられる『Mele O Ke Ke’ena Kalaunu』。それにしても、ハワイのネイティブのひとびとが民族としての主権を失って久しい状況にあってもなおこの楽曲が作られ、王朝最後の女王を「永遠なれ」(e ola mau)と願い歌われるそのこころはなんなのか……。おだやかな印象とはうらはらに、単なるノスタルジーにとどまらない思いが込められている予感がするmeleでした**。

by Randie Kamuela Fong

*:'Oh*ua(文字通りの意味は「家来」)は、かつてLili'uokalani女王にお仕えするひとびとが暮らしていた場所とされる。
**:作者のRandie Kamuela FongはKamehameha SchoolsのCultural Affairs Vice President。CDアルバム『I Mua E Na* Po*ki'i』(Kamehameha Schools編集・制作)によると、この作品は1993年のHo*’ikeのために作られたものだといい、そのライナーノーツには「現代社会においてハワイのひとびとがつながり、その占めるべき地位を取り戻そうとするとき、Lili'uokalani女王は、今日においてもインスピレーションと希望の源であり続けている」(筆者訳)とあります。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。