I Ma*noa au i ‘ike ai I ka nani o nei ’a*ina He ‘upu aloha ke*ia He ali’i no*
うっとりとまどろむような空気感が、いつだったかの不思議な出来事の記憶をたどるひとの、ゆめうつつの気分を感じさせる『Ka ‘Upu Aloha』。「Ka ‘upu」は、なんどもよみがえってくる思いや憧れ、あるいは期待といった、強い感情のゆさぶりをともなうこころの動きを表現することば。ここではそれが「he ‘upu aloha」(愛することにまつわる思い)であるとされ、そのときめきは、まるで自分がなにか「上に立つ(べく選ばれし)者)」(he ali’i)になったような気分でもあったと語られます。そしてその思いは、ある日、Ma*noaで目にした美しい光景に呼び覚まされたものだったようですが(i ka nani o nei ’a*ina)、風景の美しさとそれに重ねられる思いとが混然一体となった描写からは、なにか理屈では説明のつかない体験をその訪れのままに受け止めようとする、すがすがしいまでに開かれた心のありようがうかがわれます。
Ua lohe ‘ia e na* kini Ke kani a ka manu He ‘upu aloha ke*ia He kahu no*
鳥のさえずり(ke kani a ka manu)が、なにか特別なお告げのように感じられたあのひととき。しかもその歌声を「多くのものたちが耳にした」(ua lohe ‘ia e na* kini)とあることから、おそらくそれは、世界をいきなり目覚めさせるような、驚きに満ちた瞬間だったのではないかと考えられます。そうして告げられた「he ‘upu aloha」について、ここでは自分が「he kahu」(なにか大切なものを守るひと)のように感じることでもあったとされ、先のバースで語られた「he ali’i」(選ばれし者)という表現が、誰か大切なひとを前にしたときの、ある気づきでもあったことが明かされます。
Pau ku’u aho ia* Ma*healani I ‘a*iki mai i ka ‘o*pua ‘A’ole no* i ‘upu iho ‘O au no* ke kaua*
二人して同じ側にいる(i ke kapa ho’okahi)ということは、誰かと並んでともに同じ風景を眺めていたのでしょうか。波もおだやかで静かな夕べ、雲間から顔をのぞかせるMa*healani(満月)はあまりに美しく、思わず息をのむほどに輝いていたようです。そうして、ある隔たりを一気に飛び越えるように、それまで思いもしなかった感情がわき上がってきた(‘a’ole no* i ‘upu iho)―そう、いつのまにか大切になっていた誰かの存在が、気づくと自分をその人のしもべのように感じるまでに至っていた、というわけですね。
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