Ka ‘Upu Aloha

Ka ‘Upu Aloha






https://www.youtube.com/watch?v=4NPGPCS1HN0 


 それはMa*noaでの出来事だった。
 (そこに広がる)美しい風景に促されでもするように、
 (不意にきわき上がった)この思いは、愛というべき特別なもので、
 (自分が)なにか選ばれし者のように思える経験だったなと。

 I Ma*noa au i ‘ike ai
 I ka nani o nei ’a*ina
 He ‘upu aloha ke*ia
 He ali’i no*

 うっとりとまどろむような空気感が、いつだったかの不思議な出来事の記憶をたどるひとの、ゆめうつつの気分を感じさせる『Ka ‘Upu Aloha』。「Ka ‘upu」は、なんどもよみがえってくる思いや憧れ、あるいは期待といった、強い感情のゆさぶりをともなうこころの動きを表現することば。ここではそれが「he ‘upu aloha」(愛することにまつわる思い)であるとされ、そのときめきは、まるで自分がなにか「上に立つ(べく選ばれし)者)」(he ali’i)になったような気分でもあったと語られます。そしてその思いは、ある日、Ma*noaで目にした美しい光景に呼び覚まされたものだったようですが(i ka nani o nei ’a*ina)、風景の美しさとそれに重ねられる思いとが混然一体となった描写からは、なにか理屈では説明のつかない体験をその訪れのままに受け止めようとする、すがすがしいまでに開かれた心のありようがうかがわれます。

 (そのとき)多くのものたちが耳にしたのは、
 そう、あの鳥のさえずりで、
 (それもまた)この愛の思いというべきもの(を告げ知らせていたのかもしれない)。
 (しかもこの私が)、まさに選ばれし守り人のように思える瞬間だったなと。

 Ua lohe ‘ia e na* kini
 Ke kani a ka manu
 He ‘upu aloha ke*ia
 He kahu no*

 鳥のさえずり(ke kani a ka manu)が、なにか特別なお告げのように感じられたあのひととき。しかもその歌声を「多くのものたちが耳にした」(ua lohe ‘ia e na* kini)とあることから、おそらくそれは、世界をいきなり目覚めさせるような、驚きに満ちた瞬間だったのではないかと考えられます。そうして告げられた「he ‘upu aloha」について、ここでは自分が「he kahu」(なにか大切なものを守るひと)のように感じることでもあったとされ、先のバースで語られた「he ali’i」(選ばれし者)という表現が、誰か大切なひとを前にしたときの、ある気づきでもあったことが明かされます。

 ぼくたち二人して(あのひとときを)共有したね。
 そう、静けさに満ちたあの夜、波打ち際で。
 (そうして)この思いが愛であり、
 私が(あなたの)よきパートナーなのだということに思い至ったのです。

 ‘Elua ka*ua i ke kapa ho’okahi
 I ka po* la’i i ka ‘ae one
 He ‘upu aloha ke*ia
 He hoa aloha no*

 Ma*healaniの美しさは息もつかせぬほどで。
 ひっそりと雲間から顔をのぞかせていた。
 (そしてまさにその瞬間に)思い至ったのです。
 私は(あなたの)しもべなのだと。

 Pau ku’u aho ia* Ma*healani
 I ‘a*iki mai i ka ‘o*pua
 ‘A’ole no* i ‘upu iho
 ‘O au no* ke kaua*

 二人して同じ側にいる(i ke kapa ho’okahi)ということは、誰かと並んでともに同じ風景を眺めていたのでしょうか。波もおだやかで静かな夕べ、雲間から顔をのぞかせるMa*healani(満月)はあまりに美しく、思わず息をのむほどに輝いていたようです。そうして、ある隔たりを一気に飛び越えるように、それまで思いもしなかった感情がわき上がってきた(‘a’ole no* i ‘upu iho)―そう、いつのまにか大切になっていた誰かの存在が、気づくと自分をその人のしもべのように感じるまでに至っていた、というわけですね。

 この思いをもう一度こころにひびかせてみてほしい。
 私はあなたの愛すべき吐息に、はからずもこころを奪われてしまった。
 あなたはこれからも、ずっと私とともに(歩むんだなと)。
 そんな思いが不意に訪れたこと(が、いまも不思議でならないのだけれど)。

 Ha’ina mai ana ka puana
 Ua lilo au i ko* hanu aloha
 Me a’u ‘oe a* mau loa
 He ‘upu aloha no*

 「恋に落ちる」という表現がありますが、誰かと特別な関係になる過程には、多くの場合、そのプロセスを語るにはあまりに唐突過ぎる出来事があったりするもの。いったい、あのときなにが起こったのだろう……と、後から思い返してみても、とにかくそういうことになったとしか言えなかったりする……みたいな、そんな感じですね。たとえば、はじめて手をつないだり、ぎゅっと肩を引き寄せたりといった、相手との距離が一気に近づく出来事は、いましかない的な勢いと、もう引き返せないという覚悟みたいなものを抱かせるもの。そんな微妙な感情のゆらぎが、自分が「選ばれし者」(he ali’i)のように思われる感覚や、相手のすべてを受け入れる「しもべ」(ke kaua*)的覚悟として表現されている『Ka ‘Upu Aloha』。全体をおおう夢見がちな雰囲気に、愛する誰かと住まう二人だけの世界の甘美さが充満している楽曲です。

by Kaleikaumaka
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。