He moani ke ʻala i ke kuahiwi, Wili ʻia me ka maile, maile lau liʻiliʻi.
なにするともなく流れる雲を目で追いながら、心もからだもときはなたれていく……そんな、なんとも幸せなHawai’iの昼下がりを思わせる『He Nani Mokihana』。「愛してやまない」(aloha wau ia* ʻoe)とされ、その美しさがたたえられるmokihana*は、小さく香りのよい緑の実をつけることで知られる、Kaua’i島の固有種。島のシンボルとして語られることも多くmeleにもよく登場しますが、吹き抜ける風にその香りを感じ(he moani ke ʻala i ke kuahiwi)、maileの葉とともに編まれたleiの可憐さにひたっているような雰囲気から、作者の並々ならぬmokihana愛が伝わってくるように思われます。
Ha*ʻale i kuʻu maka, ke ʻike aku, Ka lei kaulana, moku o Kauaʻi.
「小さなmokihanaの実を胸元に飾っていると」(hua liʻiliʻi wehi ana i ka poli)、もうその美しさだけが迫って見えてくる……直訳すると「まなざしからあふれんばかりに(mokihanaを見てしまう)」(ha*ʻale i kuʻu maka, ke ʻike aku)と語られる部分は、mokihanaを目にすると自ずとこみ上げてくる、なにかとても大切な思いがあることを予感させます。Mokihanaを身につけて、あるいは身につけているような親密さを感じながら歌われるこの箇所は、なによりmokihanaだけがクローズアップされて迫ってくるところがありますが、同時にその存在は、作者にとって、Kauaʻi島と分かちがたくイメージされるlei(ka lei kaulana, moku o Kauaʻi)でもあるとされます。おそらく、目を閉じてその香りを楽しむとき、作者の意識は、Kauaʻi島をまるごと感じるくらい果てしなく、どこまでも広がっていくのではないか……そのあたりを一番感じさせるのは、島の中央にそびえるWaiʻaleʻale山が登場するくだり。そう、Kauaʻi島に住まうすべての命は、みなひとしくその水源から生を受けており、その象徴が、「Waiʻaleʻale山に降る雨にこの上なく守られた(mokihana)」(kilipohe i ka ua o Waiʻaleʻale)にほかならないんですね**。
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