Ho‘oheno ku‘u ipo Ku‘u pua ku‘u lei aloha I haku‘ia me ka maile O ku‘u pu‘uwai
美しく響くあまいメロディから、「Ku‘u pua」「ku‘u lei」と歌われるあるひとへの、熱烈な思いが切々と伝わってくる『Pua Lei Aloha』。冒頭の「ku‘u ipo」から恋人を連想してしまうと、そこで想像力がストップしてしまうのですが、もう少しイメージを膨らませるために、まずはmeleの作者およびその主人公のことをたどってみたいと思います。 タイトルに「pua lei aloha」(文字通りの意味は「愛すべきleiに編まれた花」)が掲げられ、美しくかぐわしい花を「’oe」(あなた)にたとえながら、その花をめでることばが重ねられるこのmele。実は、「Pualeialoha」という名の女性のことが歌われているようです。そのひと、Alice Pualeialoha Davis Fredlund(1920-1992)は、夫のWillliam Bell Fredlundとともに、1944年にBell Records(ワイキキを拠点とするレコードレーベル)を設立。1950年ごろまで、多くのハワイアンミュージックのレコードを世に送り出しました。その過程で、レーベルに関わるミュージシャンが共同出資するようになりますが、『Pua Lei Aloha』の作者、Bill Ali’iloa Lincolnもそのひとり。ということは、Bill LincolnにとってのPualeialohaは、所属する組織のボス的存在だったかもしれませんし、少なくとも、ミュージシャンとしての歩みをともにする、重要なポジションにある人物だったと思われます。 そう考えると、「ku‘u pua, ku‘u lei aloha」(私の大切な花、いとおしい僕のlei)と「ku’u」が繰り返されるところも、「好き」といったのでは足りない、深い思いが込められているのではないかという気がしてきます。たとえば、このあとに続く「(その花が)マイレとともに編まれ」(i haku‘ia me ka maile)、さらにそのマイレが「私の思いの奥深くにある」(o ku‘u pu‘uwai)とされるのも、からみあうそのleiの形状が、二人の並々ならぬ絆の深さを物語るものだったりするかもしれないな、と……。
Ka u‘i no* ‘oe ‘O ka pu‘unawai A he pua i mohala Me ke ‘ala onaona
若々しい美しさを思わせる「ka u'i」、あふれる命そのものを感じさせる「ka pu'uwai」(泉)……そんなみずみずしい存在であるとされるそのひとは、いまをさかりと咲く花(he pua i mohala)であるとともに、かぐわしさに包まれている(me ke ‘ala onaona)とも語られます。いろんなイメージのふくらませ方ができそうですが、目には見えないけれども強烈にその存在を感じさせるのが香りであることから、当時のワイキキの音楽シーンにおける彼女の存在感がそこに重ねあわされている、といった見方もできるかもしれません。あるいは、絶えることなくあふれる「泉」(ka pu'uwai)を連想しながら、彼女の知性や周囲への心配り、みたいなものを思い描いてみたりとか……。
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