Kaulana Ni‘ihau

Kaulana Ni‘ihau





https://www.youtube.com/watch?v=IkQiPIVB4Oo


 Ni‘ihauといえば、(そこに暮らす)ネイティブたちで知られる島。
 (彼らが)旅人をもてなす心意気といったら(すごいからね)。
 (「おーい……」と呼び止める声がそのあかし)
 Kahelelaniのシェルレイよ。
 (それはほかの)島々(で採れる貝)のなかでも、ナンバーワン(の美しさ)。

 Kaulana Ni‘ihau i na* kupa ‘a*ina
 Na* pu‘uwai ha*mama aloha malihini
 (E o* mai…)
 E ka lei pu*pu* o Kahelelani
 Helu ‘ekahi o na* pae ‘a*ina

 明るくはずむようなメロディが、その島を訪れたときのわくわく感さながらにこころに響く『Kaulana Ni‘ihau』。それにしても、そこに暮らす「ネイティブたちで知られる」とは、あまりにあたりまえ過ぎるのでは(?)という印象ですが、この素朴さにこそNi‘ihau島のよさがあるといってもいい、この島独特の歴史があったりします。Ni‘ihauは、19世紀なかばに英国人所有の島になり、島の生活を手つかずのまま残したいという所有者の強い意志のもと、近代化や開発とは無縁の歩みを続けてきた島。しかも、ほかの島々との自由な往来が制限されてきたこともあって、ハワイのひとびとにとっても、ちょっぴり謎めいた、まただからこそあこがれや郷愁の対象でもあるような場所だったりするようです*。
 そんなNi‘ihauについて、まずここでは、島のひとびとの「旅人をもてなそうという、開かれたこころ」(na* pu‘uwai ha*mama aloha malihini)がすばらしいと歌われているわけですが、次のバース以降、島のひとびととのやりとりがより具体的に語られていきます。

 (行けば)あなたを呼び止める声が届くはず。
 (それでたちまち)、そこにいる大勢のひとたちと一緒に食事ってことになったりとかね。
 (「おーい……」と呼び止める声がすべてのはじまり)
 Kahelelaniのシェルレイよ。
 (それはほかの)島々(で採れる貝)のなかでも、ナンバーワン(の美しさ)。

 Kau aku ke ka*hea e kipa mai ‘oe
 E pa*‘ina ai ho‘i me ia kini
 (E o* mai…)
 E ka lei pu*pu* o Kahelelani
 Helu ‘ekahi o na* pae ‘a*ina


 私はあなたのやさしげな声にすっかりうちとけてしまう。
 ゆっくりしてってねと誘う、そのおだやかな雰囲気のおかげでね。
 (「おーい……」と呼び止める声がそのあかし)
 Kahelelaniのシェルレイよ。
 (それはほかの)島々(で採れる貝)のなかでも、ナンバーワン(の美しさ)。

  ‘Olu‘olu ho‘i au i kou leo nahenahe
 I ke kono ‘ana mai me ka ma*lie
 (E o* mai…)
 E ka lei pu*pu* o Kahelelani
 Helu ‘ekahi o na* pae ‘a*ina


 どうか遠慮せずに、ともに過ごしましょうね。
 (もう一歩)近づいて、親密なあいさつを交わす(間柄になれるように)。
 (「おーい……」と呼び止める声がきこえるだろ)
 Kahelelaniのシェルレイよ。
 (それはほかの)島々(で採れる貝)のなかでも、ナンバーワン(の美しさ)。

 Mai hilahila ‘oe i ka hui ‘ana a ka*ua
 E ho* mai kou ihu a honihoni mai
 (E o* mai…)
 E ka lei pu*pu* o Kahelelani
 Helu ‘ekahi o na* pae ‘a*ina


 Ni‘ihau(のひとたちには)ホントにお世話になった(なぁと思う)。
 (その)しなやかなこころもちで知られるひとびとに(この歌を捧げます)。
 (「おーい……」と呼び止める声が、いまも聞こえる気がする)
 Kahelelaniのシェルレイよ。
 (それはほかの)島々(で採れる貝)のなかでも、ナンバーワン(の美しさ)。

 No Ni‘ihau ka mahalo nui
 No na* pu‘uwai ha*mama
 E kaulana nei
 (E o* mai…)
 E ka lei pu*pu* o Kahelelani
 Helu ‘ekahi o na* pae ‘a*ina


 こうして、Ni‘ihau島のひとびとへの感謝でしめくくられる『Kaulana Ni‘ihau』。ここであらためて考えてみたいのが、古代に島を治めたチーフの名にちなみ、「Kahelelani」と呼ばれるシェルのレイが繰り返し歌われてきたこと。その変わらぬ美しさこそが、作者がこころに刻んだある日あるときの島の記憶に重なるからだと思われますが、ハワイの島々(na* pae ‘a*ina)で生み出される工芸品のなかでも、とびきり美しいとされる「ka lei pu*pu* o Kahelelani」は、自然の恵みに形を与える、ネイティブの知性や忍耐強さそのものといってもいい宝物。そんな、ネイティブの精神性やどるKahelelaniは、その緻密で繊細な連なりのなかに、美しさを超えたなにか、ハワイのひとびとが大切にしてきた、ある価値観を象徴しているのではないかと思われます。変わり続けてきたハワイにあって、いまも旅人へのあいさつが、「e o* mai」(寄ってらっしゃい)であるようなNi‘ihauの暮らし。その素朴な温かさに対して(no na* pu‘uwai ha*mama)、「ka mahalo nui」と最上級の賛辞を表明するこの歌の意味を考えてみることから、観光とは別の仕方でハワイにアプローチできそうな気がする、そんな『Kaulana Ni‘ihau』なのでした。

Composed by Frank Kawaikapuokalani Hewett

*:Ni‘ihauは、人が住む島の中ではハワイ諸島最西端に位置する、約180平方キロメートルほどの小さな島。この島の特異な歴史は、1863年、Kamehameha4世が、島をElizabeth Sinclair(当時、Kaua‘i島に在住)に売却したことに端を発します。その後、個人所有の島として長年その住民以外の立ち入りが制限されてきたNi‘ihauは、ホテルもなければレストランもなく、舗装された道路どころか電気も水道も通っていないという、いわば近代化の歴史から取り残されることで守られてきました。200人あまりのひとびとが暮らすとされますが、Kaua‘i島の親戚の家とNi‘ihau島をいったりきたりというひとも結構いるようで、実質的な人口はもっと少ない可能性もありそうです。そして、そんな島の産業はというと、雨が少ないうえに酸性でもある土壌は農業に適しないこともあって、牧畜に従事するほかには昔から限られた生業しかなかったようです(Sinclair家のひとびとも、もともと牧場を作る土地を探していてNi‘ihau島を購入したとされる)。唯一、フルタイムの仕事を確保できた牧場も、1999年に閉鎖。かつては、「makaloa mat」(マカロアというスゲ科の植物を使って編まれた、島独自の織物)や、それを美しく飾った「pa*wehe」と呼ばれる独特の文様もありましたが、いまはこのmeleでも歌われる「Ni‘ihau shell lei」が継承されているだけのようです。そんな、シェルレイ作り以外に経済的な基盤のない島ですが、その一方で、ハワイの島々のなかで唯一、ハワイ語を母語とするコミュニティがある島だったりします。

参考文献
1) Tava R, Keale MK: Niihau-the traditions of a Hawaiian Island. Honolulu, Mutual Publishing, 2010, p5, pp34-35
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。